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Global Business Trend vol.11 |美白化粧品は時代遅れ?!大手化粧品会社が「美白」ラインの販売中止やリブランディングに踏み切る

先週、大手ユニリーバ社とジョンソン・アンド・ジョンソン社が、インドをはじめとした国々での美白化粧品を販売中止を発表。世界各国で人種差別撲滅が叫ばれる今、ついに美白化粧品もこのカテゴリで問題があると指摘が入り、大手ブランドは対応を急かされている。

今回「美白クリーム」販売中止を受けて、日本のSNSでは困惑した反応をたくさん見た。大手ブランドの美白クリームは「インドの女性に、白人の方が美しい」というイディオロギーを売っているという批判が集まり、販売中止の決断がされたからだ。確かに、インドはカースト制度と肌の色の関係が深い。また、西洋に植民地化された地域でも、肌の白さ=裕福さというイメージは強く根付いているボリウッド女優トップ100人を見ても、肌の色が薄い女優が目立つ。しかし、日本や韓国、中国などその他アジア諸国では、「白人になりたい」から女性が美白化粧品を使っているわけではない。日本には江戸時代から美白化粧品のブームがあり、白粉は古くから使われている美白化粧品である。

一方で、「肌が黒い=外で畑仕事をしている=裕福ではない」という古代からの思想がアジアにあるのは事実で、日本でも日焼け肌が受け入れられるようになったのは、ここ数年なのではないか。個人的には、ギャル路線以外で肌が黒くても綺麗・カッコいいとされるようになったのは、SNSが普及し、日本のトレンドが欧米化し始めた2010年代に入ってからだと思う。アバクロなどのブランドが日本に進出し、海で日焼けしたような見た目がカッコいいとされるようになったのはその頃で、日本でファンデーションの色が多様化したのもつい最近。それまでは「健康的な肌色」という分類でまとめられた暗めの色のファンデーションが、夏に焼けてしまった自分の黒い肌に全然合わず、学生時代は海外からファンデーションを取り寄せていたのを覚えている。

アメリカでは、「多様多色」なブランドが大人気で、化粧品・下着業界でこの流れを最近すごく感じる。例えば2017年に立ち上がった、歌手のリアーナがプロデュースする下着&コスメライン「Fenty」。Fenty Beautyはリアーナが手掛けるコスメラインで、肌の色からモデルのサイズまで「ダイバーシティ」というコンセプトが明確。彼女が手掛ける下着ブランドSavage x Fentyも同様。このブランドが発表されてから、80年代から90年代に一斉を風靡したものの、近年では「白人・男性目線・細いモデルのみ起用」と批判されてきたVictoria's Secretがついに今年、経営破綻に追い込まれた

似たような倫理と経営モットーで注目されている下着ブランドは、2016年に発表されたNajaエシカルでサステナブルな製造ラインを維持しながら、試作を重ね、どの肌色にも合う下着の色バリエーションを開発

日本ではまだ「肌の色の多様化」というコンセプトは新しく、日本人の肌の色はみんなほとんど同じと考えがちだ。しかし、私みたいに些細な悩み(学生時代によく屋外で泳いでいて日焼けをしてしまっていた)で肌に合う化粧品が探しづらかった人から、大阪なおみの日清CM問題まで、日本の「肌色問題」も実は奥が深い。そして、現在世界では多様な人種の日本人が大活躍しているのも事実。Fenty BeautyもNajaも日本未入荷のようだが、この機会に、日本女性の肌の色の多様化についても、考えていきたい。

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