綾瀬さんと真谷くん45「職場体験」

来週は職場体験だ。事前にどこでやってみたいかなどのアンケートを取り、それを元に決める。
僕と響は出版社に決まった。
あともうひとり出版社に決まったのが居たと思うから後で確認しておこう。
注意事項が書いてある紙に名前があったはずだ。
注意事項を読んでいると後ろから声をかけられた。
「ま、真谷くん」
「どうしたの?」
「わ、私、職場体験で一緒の班になるい、井崎と言います」
「何かわからないことでもあった?」
「あ、いえないですけど先生が、体験先が一緒になる人とコミュニケーション取っておいてって言ってましたので…」
そういえばそう言ってたな。
心做しか視線が集中してる気がするな。
視線の元に目をやるとこちらに気づいたのか慌てて前へ向き直った。
「そうか。 じゃあ当日はよろしくね」
「は、はい」
井崎さんはそういうと自分の席へと戻って行った。
なんだかコミュニケーション取るのが苦手そうだったな。
気にするほどでもなかったし大丈夫だろう。

職場体験当日

集合場所の駅の近くに行くと既に響と井崎さんが来ていた。
「遅くなってごめん」
「私達も今来たところですので大丈夫ですよ」
「そうかなら良かった。 じゃあ行こうか」
数分ほど歩くと出版社が見えてきた。

中へ入り、受付で職場体験で来たことを話す。
しばらくすると担当の人がやって来た。
「初めまして今日1日担当をさせていただきます樫野と言います。 よろしくお願いします」
なんだか名前に聞き覚えがあるような気がしたけど気のせいか。
「こちらこそよろしくお願いします」
「まず簡単に自己紹介してください」
「2年1組真谷 優です。 趣味は読書やプラモデル制作です」
「綾瀬 響です。 趣味はお菓子作りです」
「井崎 智絵です。 趣味は読書です」
「3人とも同じクラスですか?」
「はい。 そうです」
「早速なんですが、出版社ってどんなことをしていると思いますか?」
そう聞かれると難しいな。
「雑誌の制作とかですか?」
「それもありますね」
「ほかの出版社との関わりを作ったりとかですか?」
「それも仕事のうちですね」
「誤字脱字がないか確認したりとかですか?」
「そうですね。今答えてもらったように出版社では書籍や雑誌の企画、営業、管理に分かれています」
なるほど。
「校正は誤字脱字や文章の書き間違いなどをチェックします。その時に、校正記号というものを使います。」
「校正記号とは、削除したい文字があった時はその字に斜め線を入れて引き出し線を伸ばし、余白に『トル』と書きます。
また、一度原稿に書いた修正事項を取り消したい時は、指示内容を斜め線で取り消した上で、原稿の該当ヵ所の余白に『イキ』と書きます。」
「では皆さんに校正の仕事を実際にやってもらいます」
早速やるのか。
原稿用紙が渡される。
全体をよく見て、誤字脱字がないか確認する。
あ、ここ余計な文字だな。
他には……ここだな。
この原稿の間違ってるところはそのくらいかな。
右側に積まれている原稿用紙を取り、ミスがないか確認する。

何枚か確認し終えて、時計を見るともうすぐ昼休憩の時間だった。
椅子に座った状態で少し伸びをして再開する。
途中まで進めると昼休憩の時間になった。

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