綾瀬さんと真谷くん28「原因」

「優、夏風邪の原因とかって心当たりありますか? というかそもそもいつから体調が悪かったんですか」
優くんに問いかけます。こんなに悪化してるならそもそもどこかの時点でちょっと調子が悪いくらいのことはあったはずです。
「ん……図書館いった次の日からかな……なーんか体調悪いって思ってたんだけど、別に、風邪とかそんな感じは、しなくて……っけほ、それがしばらく続いてて……んー、だいじょぶだと、思ったんだけど、今日起きたら、頭痛いのがひどくなってて、でも響くるから、着替えなきゃって思って……それが最後」
「そうだったんですね………」
「響は最近どう?元気だった? っごほ、ごほごほっ! 風邪とかひいてない……?」
「私は元気でしたよ」
何も知らなかったですけども。
「そうか良かった………」
喋らせすぎてしまったでしょうか。少し疲れてるみたいです。
「ちょっと水飲んでくる」
やっぱり喉が渇くのかそういって、優くんがベッドから降りて立ち上がろうとしますが、上手くバランスを取れずにその場にへたり込んでしまいました。
「大丈夫ですか⁈」
支えてあげればよかったと今更ながらに思います。
「………ん、大丈夫だよ」
優くんはそういいますが咳込んでいますし、一瞬何が起きたかわからないと言った顔をしていました。もしかしたら熱が上がってきて体が思うように動いてくれないのかもしれません。
「優、熱が出てるんですよ? お願いですから休んでてください」
へたり込んだ優くんを抱えて、ベッドに寝かせます。推測が正しければ多分階段を降りることはまずできないでしょうから、絶対に部屋から出ないように言っておかないと怪我の元です。
「水は私が取ってきます。だから、絶対に寝ててくださいよ、心配ですから」
1階へ降りていき、キッチンでコップに水を汲んで部屋に戻ります。
「優、水を持ってきましたよ」
「ありがとう」
コップを受け取ると、ゆっくりと飲み始めました。
優くんが水を飲み終えてしばらくすると、お兄さんが帰ってきました。
「ただいまー」
「お帰りなさいお兄さん」
階段を降り、お兄さんを出迎えます。
「風邪薬とゼリー買ってきた。風邪薬はなにか食べた後に飲んだ方が良いってあるから、ゼリーを食べさせた後に飲ませてね。」
「分かりました」
お兄さんから風邪薬とゼリーが入った袋を受け取り、優くんの部屋に戻ります。
「優、ゼリー食べますか?」
お兄さんから貰った袋からゼリーを取り出します。
「ん……食べる」
「ちょっと待っててくださいね」
階段を降りてキッチンに行き、スプーンを取って部屋に戻ります。
「おまたせ優」
きゅ、とこちらを見る優が可愛いです。
「私が食べさせてあげますね」
せっかくなので。
「はい、あーん」
はむりとスプーンごと口に入れた優くん。しばらくもぐもぐとして、ぴゅ、とスプーンを吐き出したあとこくりと飲み込みました。
「ん、美味しい……」
味を噛み締めるようにもにゅもにゅと口を動かしています。可愛いです。
「もう一口、行きますか?」
「ん……おねがぃ……っ!」
急に優が俯きました。どうしたんでしょう。
「優、大丈夫ですか?」
「……ん、ごめん、これ以上は無理かも。なんか、急に吐き気が……」
あぁ、いきなり胃に物を入れたからですかね。背中をさすって落ち着くまで待ちます。しばらくすると体が重いのか優くんがもたれかかってきます。
優くんの体温が伝わってきます。しばらくすると寝息が聞こえてきました。
ふと優くんの方に目をやると寝ていました。寝ている優くんもかわいいです。愛してますよ私だけの優くん。

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