綾瀬さんと真谷くん71「Coming out」

海外留学になる以上響に遠距離恋愛になることは伝えないといけない。
そして留学中に奪われるのも嫌だからピュリティリングも買っておかなければ。でもまずは響を呼び出してこのことを伝えておかないとな。
「響、放課後ちょっと話があるから体育館に来てくれない?」
「わかりました」
ちょうど今日はバスケ部とかが体育館を使わないと聞いていたので好都合だ。
辺りを目だけ動かして見回すと何かあったのか、とこちらを見る目が多かった。なんか嫌な予感しかしないけど気にしたら負けか。
僕は響に伝える段取りを整理しながら授業を受けた。
ーそして迎えた放課後ー   

僕は体育館の中央で響を待った。
しばらくすると荷物を持った響がやってきた。
落ち着け。慌てると全てが台無しだ。
「それで、わざわざ体育館に呼び出してどうしたのですか?」
「響……僕が大学に合格したら、響とは遠距離恋愛になるかもしれないんだ」
「そうなのですね……」
「でも、できるだけ毎日電話とかするよう心がける」
響は黙って僕の話を聞いてくれた。するとおもむろに僕に抱きついてきた。
「優と離れるのは寂しいけど、毎日電話くれるなら少し安心しました」
響の背中に腕を回し抱き締める。
「合格したら1番先に教えてくださいね」
「あぁ。わかった合格したら1番先に伝えるよ」
その後、どうしたらいいのか分からず最終下校の放送が鳴るまでずっと抱き合っていた。

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