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星の終わりに (夢からのはなし)
きざしはもう 見えていた。
空は厚い灰色の雲が一面にとぐろを巻き、生き物の生息地を一日一日飲み込んでいた。小さな芽吹きは草地をはぐくむ間すら与えられずにもみ消され、嵐は続いた。
太陽を見ないときがどのくらい続いただろう。
生き物のほとんどは死に絶え、残ったものたちは岩陰に身を潜め、そのいのちを耐えていた。
人間は、嵐とともに消えていったもの、自ら悲観して終えていったもの、生き残れど本能が占めてしまったもの、、、生き、強いられた忍耐をもって思考力を保っていられたものはごく一部だった。
そのシェルターのある場所はかろうじて森林が残り、暴風雨から守られていたが、ここもいづれは飲み込まれるのだろう、住人たちはその覚悟のなかにいた。
信じられないことに訪問者が現れたのは、最後の大嵐の数日前だった。どこからどうやってここにたどり着けたのか、他の地域はどうなってしまったのか、誰もそれを彼に訪ねなかった。
訪問者はただ静かに、その最後の日までともにいた。
その日、ついに突風の壁が現れ、住人たちが覚悟を決めなければならないそのとき、彼は住人たちの間に割って出た。
‘ この星は もう終わります
今から別の惑星次元へ いのちの転送を行いましょう ’
極限のなか、住人たちは訪問者のいうプロジェクトに参加した。
彼を中心に円陣を組むと、そのなかに嵐の遠心のごとく、 いのちの渦を、 住人たちは見た。
だれかとか、どの種とかのない、この星そのものの、真っ白ないのちの渦だった。
‘ かぎりなく純粋な意識だけで
あちらへ送ってください
くれぐれも 邪心をいれないで
いのちの純粋さを保つために ’
彼らは祈った。
大嵐の渦が彼らの肉体を飲み込んだその瞬間、いのちの渦は中心一点に吸い込まれて、、、消えた。
それは、彼らの意図した惑星方向へ、発現した。
そこに、生まれた。
純粋思考をコントロールできない彼ら人間としてのわずかな乱れが、生まれ出た生命にわずかな不完全さをもたらしてしまったとしても、、、
とある星のいのちは、はじまった。