もしも話
もしも僕が今朝のご飯を残さず食べたら
良かったのかな。
でも、君は「無理しなくていいよ」って
言ってくれたっけな。
もしも僕が上手く笑える人だったら
君に迷惑かけずにすんだのかな。
君の顔も声も忘れられないまま
僕は今でも思い出しているよ。
でもさ、それじゃあさ
君とずっとバイバイ出来ずに
哀しませてしまうから
さようならしないとね。
もしも僕が素直な人だったら
君は最期に微笑んで許してくれたかな。
いつかの夕焼けに沈む太陽のように
暖かい影をうつして。
でもさ、僕は君に嘘をついて、
君の為につくったもの
恥ずかしくて見せてないから、
まだ少し傍にいたかったんだ。
もしも僕が僕らしく生きていたなら
なんだかんだでさ、
ありがとうだけでも伝えられたかな。
嘘の中にある本音を。
でもさ、この唄の答えを赤ペンで書いて
想像した言葉を浮かべながら
追いかけた蝶のゆく先に飛び込んだ僕は
もうずっと叶わない夢の中にいるんだ。
子どものままでいたかったんだ。
弧を描いて空を切って、
どこまでも行ける気がしたんだ。
好きだった、君のこと。
きっと僕は知っていた。
あの日、耳を塞いで目をつむって。
宵闇落ちるあの月は
誰かさんの横顔に似ていたから、
そっと手を差し伸ばして
その瞳に映る僕を見たんだ。
もしも誰かが生きる一秒ずつ言葉にできたら
僕は今もこうして、
君と一緒に生きていたんだよな。
でもさ、
僕は、僕はさ、
君だけを信じて
唄いつづけるから、
どうかお願いだから幸せでいてね。
またね。
※この作品は2015年7月23日に亡くなられた
椎名もたさんの音楽をもとに書きました。
14歳からニコニコ動画を中心に作詞作曲し、
20歳で自ら命を絶ったと言われています。
一部、歌詞を引用させていただきました。
ご冥福をお祈りいたします。
天国で安らかにお眠りください。
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