うちの愛猫
私は大阪の実家で猫を一匹飼っていました。
私の母親が愛知県に観光で来たとき、
とある神社の隅のゴミ箱に入っていたそうです。
まだ手のひらサイズにも関わらず親猫は居なく
体中にダニや虫がついていたので、
すぐに動物病院に連れて行きました。
動物病院の受け付けで猫の名前を尋ねられて
咄嗟に『チビ』と名づけたそうです。
もちろんのことですが、すくすく育つうちに
とっても大きくなりました(笑)
実は、チビを飼う前に
既に家でもう一匹の猫を飼っていました。
名前は『ドロン』と言って、祖父が好きだった
有名な俳優さんから由来しています。
ドロンもチビと同じく拾い猫です。
二匹とも雄猫で、ドロンは気性が荒い方でしたが
先に飼われた方が先輩面をするような
ペットあるある行為はしばしば…ですが、
チビに対しては好意的でした。
和歌山県にある別荘の庭でくつろいだり、
日向ぼっこをするのが好きでした。
別荘とは言っても豪華で大層なものではなく、
山の麓にある丘にある二階建ての家です。
祖父は自分でものづくりをするのが好きで、
庭に植物や果物を育ててデッキを作りました。
チビはデッキの柵の上を歩くときも必ず
ドロンの後ろをついていきました。
私が生まれたのはドロンが亡くなる数年前で、
その後もチビは家族全員で溺愛されました。
まだ幼い私がチビをべたべた触って嫌がれて
一度だけ甘噛みされたことはありましたが、
母親に叱責されたチビはそれ以来噛まなくなり、
とても優しい、というよりも優しすぎる性格に
なってしまいました…
私が大阪の実家に岐阜県から帰省すると
ゴロゴロと喉を鳴らしながら甘えてくれて、
また岐阜に戻って居なくなると、私を探して
部屋中をぐるぐる鳴き歩いたそうです。
おやつは鰹節が好きで、車酔いしやすく、
道路の騒音や家族以外の男の人の声、掃除機など
うるさいものが嫌いだったので、
いつも静かで大人しい叔父に対しては特別に、
驚くほど懐いていました(笑)
歳をとるにつれて病気がちになり
どんどん体重も減っていきましたが、
十七歳まで生きました。
長生きしてくれた方だと思います。
家族全員に幸せな時間をくれた私の猫に、
今もただ感謝の気持ちしかありません。
わたくしごとではありますが、
私の母親は四十歳という若さで突然死したので
遺骨は和歌山の別荘に咲く桜の木の下に、
三人で安らかに眠っています。
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