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BOOK REVIEW

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#読書感想文

橋本治 「巡礼」

橋本治第3弾、近隣に迷惑をかけまくるもゴミを(本人はゴミだと思っていない)集めまくる下山忠市の生涯を描いた作品。序盤はゴミ屋敷を巡る「現在」に焦点を当て、近隣の住民がどのようにその「ゴミ屋敷」を見つめ、その側で暮らしているのかが、住民の心理描写を中心に描かれていた。だから、最初は「ゴミ屋敷を巡るトラブルの全容」を描いた、ワイドショー的作品なのかと思ったが、読み進めていくうちに内容はその「ゴミ屋敷の

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橋本治『橋』

私は同じ作家の本を立て続けに読む習性があるので、またしても橋本治。前回は、「結婚」という現代のワーキングガールに寄り添った内容(とはいえおそらく対象はニッチ)だったけれど、「橋」は2人の女の一代記だ。

「2人の女」と言ってもその二人に接点はほとんどなく、物語の終盤で明らかになる、「あることをした」という共通点があるにすぎない(そして母親同士が同級生だということ)。

内田樹が橋本治のことを「説明

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