好きな短歌と言葉と

「縦書きの国に生まれてこの雨は物語だと存じております」

これは私が一番好きな短歌だ。

初めてこの短歌を見た時、というかそもそも短歌に注目したことすらなかったときに出会った。なぜあの歌集を手に取ったのか覚えていないけど、夏から秋になりかけた涼しい日だった。

抱え込みすぎた悩みやストレスで頭がいっぱいで、私は雨なんか眺める余裕はなかったけど、、
この短歌が無理矢理、でも優しく、その余白を作り出してくれた。

「言葉って美しさを纏えるんだな」
見えなかった世界の覗き穴を見つけたような気持ちで嬉しかったのを覚えている。

美しくてはっとしてしまうような言葉を話す人は、口じゃなくてその姿勢が美しいのかも知れない。そんな風にも思ったり。


思えば、小さい頃から煽るような言葉や棘のある言葉、適当に放たれた言葉に逐一傷ついていた。その分優しく、でも鋭い言葉は心に刺さったまんま、風景を美しく見せてくれたり、人を好きにさせてくれていたなあ。


だから何ってわけじゃないけど、雨が降ったお昼に思い出したよって話でした。

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