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「そういうふうにできている/さくらももこ」でちょっとラクになる
夏の終わりに、図書館でめぐりあったこちらの本を読みました。
![](https://assets.st-note.com/img/1661934877875-wBqQFqsDLO.jpg?width=1200)
寝る前にベッドの中で読んだのですが、くすくす笑ってしまってぜんぜん眠れませんでした……。
今日はこの本のことを書いてみたいと思います。
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この本は、1995年に新潮社から出版されたさくらももこさんのエッセイです。
さくらさんが「子供が欲しいなぁ」と思ってから、妊娠、出産にいたるまでを描いた本になっています。
あらすじ
この腹の中に、何かがいるのである。大便以外の何かがいる……! テスターによるショーゲキの妊娠発覚、どん底でバカバカしいギャグを考えてた悪阻期、悪魔の封印石のような強情な便との壮絶な戦い、と、期待にたがわぬスッタモンダの十月十日。そして、とうとう生まれたよ。あたしゃ、おかあさんになっちゃったよ。そう、まる子も人間、人間も宇宙の生命体、そういうふうにできている、のです。
いやもう、面白かったです。(語彙力)
基礎体温をなんと夫にばれないように適当につけていたり(下図参照)、あらすじにある便秘の話はなんと17ページも割かれているので、さすがはさくら先生と言ったところです。
(全189ページだから、大体1/10!)
![](https://assets.st-note.com/img/1661934982555-ySKld5SQJX.jpg?width=1200)
面白いだけでなく、妊娠中の「辛い」「不安」な気持ちについても丁寧につづられています。
例えばこんな感じです。
(悪阻中、夫がTVの秋元康に夢中だった時)
このように、どんどん秋元康の面白い話の存在に私のアイデンティティーは追い詰められていった。そしてとうとう私は突然わんわんと泣き始め「どうせ私なんてこの世にいても秋元康の面白い話より意味がないんだよぅ」と具体的なことをわめきながら食べかけのサンマの皿を流しに持って行って捨てた。
妊娠中でなくても「自分ってほんとにダメ人間だ……」と思っている時って、こんなふうになるなぁと、胸の奥がきゅーきゅーしました。
*
この本を読んであらためて思ったのが、さくらさんは、すごい「天の目」の持ち主なのだということです。
昔読んだ別の本で「芸事には天の目と地の目が必要(うろおぼえ…)」みたいな言葉がありました。
要はじぶんのことを客観的に見れる人が面白いのだ、みたいなことなんですけど、さくらさんはその究極系だと思うのです。
はじめての出産なんか、ふつう怖くて主観でいっぱいになってしまうけど、さくらさんはそうじゃない。
辛い時でも、じぶんのななめ上ぐらいにあぐらでぷかぷか座っていて「おもしろいなぁ」「ふむふむ」と観察しているような気がするのです。
もしかしたら、自分のことをこうしてななめ上からぷかぷか見るというのは、
生きていったり、つらいことを真正面から受け止めないためには、必要なことなのかもしれないなぁと思いました。
*
そして、あとがきのこの文も。すてきな考え方で楽になりました。
子供が生まれるという体験は、子供を産まなくてはできないが、子供を産まないつもりの人や子供ができない人の場合は、子供がいない人生という経験ができる。これはこれで、子供を持った場合とはまた違う楽しみが体験できるという事なのだと思う。~略~ 子供を持たぬ人生も、持った人生もどちらも面白そうだと思うが、両方いっぺんに体験する事はできないので仕方がない。
寝る前、電車の中以外でしたらオススメな一冊です。
お読みいただき、ありがとうございました🐾
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