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日々のこと 0907

なんだかいろいろなことがあり、台風やら地震やらもあり、ずっと気持ちが最低レベルに沈んでいたのだけど、だいぶ元気になった。よかった。

公開中の『寝ても覚めても』という映画が好き。
三回目を見に行きたい。
どこが良いのかといわれると全然答えられない。共感もないし、好きな人物もいないし、脚本がいいとか編集が好きとか「あのシーン最高」も特別ない。
だいたい普通あるでしょ、好きな理由ってもんが。でも思いつけない。
傑作とか聞くと、本当にそうかなあ…と思う。絶賛してる人が意外とたくさんいるっぽい、と驚いたくらい。
「好みである」という理由でも全然いいと思うけど、それをいうと話が終わるので、ダメらしい。結構考えたけど、わからないので、まだもうちょっとフワフワ考え続けてみよっかなあと思います。それは楽しいことなので。

しばらく前に、岸政彦さんの「はじめての沖縄」という本を読んだ。
沖縄にハマり研究対象とし、長年通い続けた社会学者の岸さんが、沖縄について考えることについて考えている本。
何らかの結論を求めて読んだのだけど、答えは書かれていなかった。わからないことを「わからない」として、だから僕はこれからも考え続ける、ということが、誠実な言葉で丁寧に書かれていた。

私も以前、「沖縄病」だった。沖縄に憑りつかれ、十年以上、ずいぶん通った。休みのたびに沖縄に飛んだ。ひとりでも、誰かを連れて行ったりもした。知り合いも増えていき、移住を考えて仕事探しもした。
どんなに沖縄が好きでも自分は内地の人間であり、超えられない壁があることは、多くの沖縄好きがわりとすぐに気づくことだと思う。私は疲れてきて、考えるのをやめてしまった。仕事が忙しくなったのもあり、沖縄に行かなくなった。

そこをずっと考え続け、今も考えている岸さんは偉いなあと思う。「いまだ発明されていない、沖縄の新しい語り方が存在するはずだ」と書き、わからないものをわからないままで終わる本を出版することも、とても素敵だと思った。

うん、そんな岸さんの話と『寝ても覚めても』がわからないことを結び付けようとしているわけではないんです。ないんです。ただ、ちょっと思い出しただけ。
沖縄と違って『寝ても覚めても』に向かい続けることは、私にとって楽しいこと。ずっと考えてていいんなら、ずっと考えていたい。あの世界を漂っていたい。そういう映画なんですよ、私にとっては。



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