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『シュシュシュの娘』2021.09.03 舞台挨拶レポート@シネマスコーレ

絶賛公開中の『シュシュシュの娘』、シネマスコーレで行われた入江悠監督と吉岡睦雄さんのリモート舞台挨拶レポートです。
!!! 重要 !!!  今回は「ネタバレあり」でお届けします。これから観る方は、薄目でシュシュッと飛ばしつつお読みください!
(2021年9月3日 MC:坪井副支配人)

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入江:入江です。よろしくお願いします。

吉岡:こんにちは、ブラッド・ピットです!

入江:名古屋はお客様が温かいけど、ダダ滑りになる可能性がありますよ。スコーレさんは、僕は日本一舞台挨拶をしてる映画館ですね。

坪井:では、簡単にこの作品の経緯を。

入江:去年コロナ禍で僕の仕事がなくなり、ミニシアターも大変な状況だったので、この自主映画で全国を回ろうと作りました。俳優さんも仕事がなくなった方が多くて、2500人以上の中からオーディションで選びました。その中で司役を射止めたのが吉岡さんです。その頃はブラッド・ピットなんて一言も言ってなかった。最近言い出したんですよ。

坪井:殻を破ってなかったんですね。最初に会ったのはいつですか。

吉岡:2008年か2009年、どこかでちょっとお会いしてるんです。

坪井:監督と俳優としては、今回が初めてなんですね。入江さんは、吉岡さんの印象は?

入江:オーディションではいろんな役をやってもらったんです。福田沙紀さんを追い払う社長役をやってもらったら、いきなり持参した塩を福田さんにかけた。それも滑ってバサーッとこぼしたんですよね(笑)。その辺から「この人はちょっと違うぞ」と。迷った末、最終的に司役がいいなと思いました。僕の地元の深谷で撮ることが決まってて、本人を目の前にしてあれですが、深谷では意外とイケメンじゃない人がモテてることがあるんですよ。こういう人がモテているのはアリじゃないかと睦雄さんにお願いしました。

吉岡:入江さんは、僕だけじゃなく他の人にも、結構ダイレクトな物言いをするんですよ。「吉岡さん、司という役は華が必要なんです、吉岡さんは華がないですよね」とか「吉岡さん、いいですね。昔は吉岡さんの芝居、全然ピンと来なかったんだけどな~」とも言われました。キライだったってことだよね…。他の方にも本質のようなことをさりげなく言ってて、怖いなと思いました。

入江:普通はプロデューサーやキャスティングの人がいますが、今回は自主映画で、対事務所じゃなく個人で話ができるということで、僕も普段とギアを変えてやっていたところはありますね。

坪井:入江さんが演出的に仕掛けたことはありましたか?「こうすれば吉岡さんは面白いことをやるかもしれない」とか。

入江:逆に吉岡さんがどんどん仕掛けてきました。福田沙紀さんと喫茶店でデートするシーンも、パンフレットにある脚本を読んでもらうと分かりますが『いろんなことを話して距離が縮まっていく。内容はお任せします』と書いてあるんです。吉岡さんは、お弁当箱のプレゼントを当日バンとやったんです。そういうアイテムを自分で用意してきてくださった。

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入江:あと、僕のメルマガで、『サイタマノラッパー』主演の駒木根隆介が3回観て「虫眼鏡で見て吉岡さんの演技を語る」というのをやったんですが、吉岡さんが初めて忍者で登場したところ。草むらで消える時に吉岡さんが忍者のポーズをして消えるんです。忍者ポーズは、ベタすぎて僕は演出しなかった。この映画で、唯一の忍者ポーズはあそこだけなんですよ。

坪井:あ、確かに!

吉岡:忍者ポーズは、実はすごく裏が隠されています。『ブラック・レイン』というリドリー・スコットの映画がありましたよね。松田優作さんが悪い役をやってるんですが、捕まる時にこのポーズみたいなのをやるんです! 脚本を読んでる時にそれをふと思い出した。もう一回映画を見直して「これだよね、吉岡。これだったよね」と。

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坪井:まさかの『ブラック・レイン』からの!

入江:細かいことをちょこちょこやってるんです。橋で福田さんと会うシーン、車をバックして戻ってくるところ。吉岡さんは車の運転にすごくテンパって、未宇のめちゃくちゃ近くにガーッと来て。韓国ドラマの悪役が拉致する時みたいに。

吉岡:わざとじゃないんです! あと50センチで福田さんを轢いてました。

入江:危ないんですよ(笑)。

吉岡:僕が気に入ってるのは、そのシーンで福田さんが泣いてて僕が車の中からティッシュを何枚も取り出すところ。後で試写を見ながら「我ながら素晴らしいな」と思いましたね。

入江:どこがですか? 何がですか?(笑)

吉岡:普通の人は、2枚くらい取って「ハイ」って渡しますよね。あれは、10枚くらい「シュポシュポシュポシュポッ!」と取ってるんですよ!

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入江:何が素晴らしいんですか、それ?

吉岡:いや・・・

坪井:スピードですね!(笑)

吉岡:自分で見ながら「吉岡、いいねー!」と思ったんですよね。

入江:まあね、こういう時代だから、皆さんも吉岡さんを見習って、自分のことを褒めた方がいいと思います。吉岡さんは、他に自分を褒めたところはあるんですか?

吉岡:いっぱいありますよ!

入江・坪井:・・・(笑)

吉岡:これは自画自賛の会でいいんですよね? 福田さんが店に生地を買いに行って、次の日に僕と会った時に「元気になった? よかった!」と僕がポーズしますよね。あれは、俺はすごい大発明だと思いました。

入江:でも、あれは何か、昭和の漫画とかのポーズですよね(笑)。

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坪井:吉岡さんくらいのキャリアじゃないとあのポーズは出ないです。流石です。

入江:もしメジャー映画なら、キャスティングでイケメン人気俳優とかが来る役だと思うんですよ。そういう人の方が、ぶっちゃけお客さんも入ると思う。でも、それだとあのポーズは出ないです。

吉岡:いや、この10年で公開された日本映画、世界の映画を見てくださいよ。このポーズやってる役者、いないよ!?

入江:すごいですね。お客さんの反応が見えないのに、こんなに自画自賛。

坪井:吉岡さんは宇野祥平さんとも長いですよね? 宇野さんの役はどうでしたか?

入江:吉岡さんは現場でずっと見てたんです。物陰から宇野さんを見てブツブツ言ってました。嫉妬深いんですよ。お互いインディーズ出身でミニシアターでやってきてるから、すごく気になるんです。ね、吉岡さん?

吉岡:見ながら「あ、ダメだな。間が長い」「本番に弱いな」「ダメダメ。テストの方が良かった」とか、独り言をブツブツ言ってました。聞こえないようにですよ!

入江:それはそうですよ(笑)。

吉岡:入江さんはお見通しだわ~。

入江:偉いなと思ったのは、僕が昔「みんな!エスパーだよ」というドラマをやった時、染谷将太くんは出番が終わってもずっと他の人がやるのを見てたんです。現場が好きな俳優さんは、自分が終わっても帰らずに見てたりする。吉岡さんもずっと現場で見てて、それは偉いなと思ったんですが、宇野さんだけには嫉妬心はハンパなかった(笑)。ほぼ同い年なのもあって。

坪井:宇野さんの役は特殊メイクで、役に憧れがあったんですか?

吉岡:憧れは全然ないです。あいつに対してだけです。

入江・坪井:(笑)

吉岡:宿に帰るとずっと話してて、大好きで、悩みを唯一言えるような人なんです。「宇野くん、ここはどうやってやればいいんだろう」とか。「知らないですよ、自分で考えてくださいよ」「いや教えてよ」とか、ずっとそんな関係でやってるんです。

入江:宇野さんは他の俳優さんのこととか一切言わないタイプ。宇野さんは普通の方で、吉岡さんと並ぶと「聖と俗」みたいな感じ。今日は「俗」の方がいるんですけど(笑)。吉岡さんは欲望が丸出しなんですよね。

吉岡:(笑)

入江:クランクアップで皆さんに挨拶してもらうんですが、宇野さんの挨拶の時に福田さんがちょっと泣いてたんです。それを見た吉岡さんが「自分の時はもっと泣かす!」みたいな。

吉岡:いや違う! 僕はその場にいなくて、それを宇野くんから後で聞いたんです。だから「絶対負けられない」と最後の土手で転がってクランクアップして、挨拶で僕はスゲーいいこと言ったんです。「福田さん…」ってわざと語りかけて「よく頑張ったよね」と。福田さんの目を見たら、カラッカラ! 今回の撮影で、あの挨拶が一番緊張しました。

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入江:そういうことを狙う。あの吉岡さんの転がりは皆「すごい」と言ってたんですよ。

吉岡:こんな僕ですが、またシネマスコーレに遊びに来てください!

入江:そろそろ吉岡さんもスコーレさんに行ってください。よろしくお願いします!

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『シュシュシュの娘』まだまだ絶賛公開中!

シュシュシュの娘サブ





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