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日々のこと 1018

子猫を飼い始めた。もともと野良だった子で、名前はチビ。

この夏、野良として暮らしているチビと出会い、時々遊ぶようになった。
ある日、いつものようにチビに会いにいくと、チビはゲージに入っていた。猫を保護する猫ボランティアさんに捕獲されていたのだった。
「良かった、やっと保護できた」と喜ぶ猫の人たちに「これで安心ですね」と、私も笑顔で去っていくチビを見送った。
チビは里親さんを探してもらえることだろう。めでたしめでたし。

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だが、私はチビに会えなくなった。「今頃なにしてるかな」と毎日考えた。
いろいろ悩んだ末、猫の人に連絡し、チビを我が家で引き取った。
それが2ヶ月ほど前の話である。

チビはとても甘えっ子で、私の後をついて回る。
「チビ」と呼ぶと「みー」と鳴く。私の足音を察知してドアの前に座り「おかえりー!」と毎日出迎えてくれる。座ると膝に乗ってきて、ゴロゴロ離れない。
私にとってチビは初めての猫だ。猫はみんなそんなもんかと思っていたら、どうも違うらしい。「こんな可愛い声じゃない」「膝に乗っても数秒で去っていく」「これはまるで犬」と、周囲の猫飼いのプロたちが言う。チビは特別に甘えっ子で、特別にわんこのような猫らしい。

そんなチビに先日、去勢手術を受けさせた。
チビは男の子である。早めに受けた方がいいと猫プロたちに言われていた。
病院の先生にチビを預けた。間違って死んでも文句は言いません、みたいな誓約書にサインした。「では手術します。元には戻せません」と言われ、一瞬考えた。考えるまでもなく当然の話だった。「お願いします」と答えた。

その夜、手術の終わったチビを迎えに行った。
「取ったものを見ますか?」と言われて迷ったが、見せてもらった。トレイの中に白い小さなラッキョが2つあり、手書きで「チビちゃん」とメモが貼ってあった。
この世に「中性」のチビが爆誕していた。

傷を舐めないようカラーをつけられたチビを連れて帰宅した。混乱して真っ直ぐ歩けず、カラーを外そうと必死で暴れるチビに、こちらが焦った。餌も食べようとしない。
その夜は初めてチビと一緒に寝た。今まで寝室に入れていなかったが、その日は私がソファに寝た。チビは朝まで私のお腹の上で眠っていた。

去勢とか避妊とか、これまで普通に猫や犬に対して私も使ってきた単語だが、チビの人生を考えると、これは大変なことだ。本人の意志に関係なく、チビは去勢された。もしも自分ならどうよ。
性格が変わる場合があるよと猫プロたちは言う。よそよそしい猫になるのかしらと思ったが「きっと今より甘えっ子になる」とも言われた。どうなるのだろうか。

カラーをつけたチビは不自由そうだが、多少慣れてきたようだ。餌もお皿から食べられるようになった。カラーごしに身づくろいをするのが不憫ながらも、ちょっと面白い。本人は舐めているつもりで舌は届かず、エアー身づくろい。カラーを外してやりたいが、先生が5日間はつけておけと言ったので従っている。野良猫の去勢ならカラーなんてつけないだろう。私が過保護にしている。

チビは徐々に調子を取り戻してきた。
あと少しだよ。

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