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『シュシュシュの娘』2021.08.21 舞台挨拶レポート@シネマスコーレ

『シュシュシュの娘』が全国のミニシアターで初日を迎えた2021年8月21日夜、シネマスコーレで行われたリモート舞台挨拶の様子をレポートしました。入江悠監督に加え、サプライズ登場の井浦新さん・吉岡睦雄さん・安田ユウさんによるトーク。ユーロスペースからの中継です。

個人的な余談ですが、私は「ミニシアターを応援したい」と銘打ち、ついに完成したこの映画を応援しています。入江悠監督との出会いは2010年、『SR サイタマノラッパー』の上映で名古屋に来られた時でした。宣伝のあり方にも本当に驚かされ、自分の人生に大きな影響を与えた大事な作品シリーズです。あれから10年、私にとっても大切な場所であるミニシアターを元気づけようと映画を撮られ、こんなに楽しい完成作を引っ提げて久しぶりにミニシアターへ帰ってきた入江監督。まさに有言実行で前代未聞の上映を展開されており、リスペクトと同時に、小さな映画館を愛する同志のような仲間のような気持ちで(何様?)、本作の成功を見守っています。心強さも感じています。

前置きが長くなりましたが、『シュシュシュの娘』初日名古屋リモートトークのレポートです!

(2021年08月21日 MC 坪井副支配人)

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坪井:実は今日、ユーロスペースさんとつながっています。ゲストの皆さんです!

入江:監督の入江です。

吉岡:こんにちは、司秋浩役をやりましたブラッド・ピットです!

井浦:初日に足を運んでくださった皆さん、井浦新です。

安田:ダナン役の安田ユウと申します! 今日はお集まりいただきありがとうございます。

坪井:初日を終えて、どうですか?

入江:今日は東京4館を回ってきて、いま安田くんが合流してくれました。移動中ずっとスコーレさんの話をしていて、井浦さんも心配していました。

坪井:ミニシアターは、やっぱり夜が本当に寂しくなってしまいました。でも今日から盛り上げたいと頑張っています。

入江:今日いらっしゃるお客様は、超エリートですよ。スコーレさんには安田さんも井浦さんも馴染みがあるので、そこらへんの話を。

井浦:スコーレさんではいろんな歴史を体験させてもらってきて、正直リモートは慣れないです。去年から坪井さんと舞台挨拶を結構やってきましたが、映画を観たお客様と30センチくらいの距離感での白熱ディスカッションがスコーレの一番の醍醐味だったので、リモートは悔しい感じがありますね。早くそちらに行って直接映画を伝えることができたらと思います。スコーレでの思い出は笑い話がたくさんあって、若松(孝二)監督と『実録・連合赤軍』の映画で伺ったのが最初。2007年かな。今作のように自主映画でした。若松監督に「お前ら、俺の映画館が名古屋にあるから来い!」と言われて「分かりました!」と。でも直前になっても一向に行くスケジュールが来ない。「これは俳優部で勝手に来いってことなのかな?」と、車で俳優部4人で行きました。スコーレのお客様は映画体験に慣れてらっしゃるので、作品を観た後に独自のディスカッションができるのがすごいと感じました。

安田:僕は大学時代からスコーレさんにお世話になり、今も上映してもらってるのでお世話になってるんですが、個人的に『シュシュシュの娘』はスコーレさんに合うと思ってて、楽しみだなと。スコーレで観たいです。大学の時に自分が出た作品もそうだし、スコーレで映画を観て坪井さんに「面白いですね!」と話す流れがある。その後にお客さんと話して一緒に飲みに行ったり、そういうのが当時の思い出で感慨深いです。今はリモートですが、僕もそっちで喋りたいなと思ってます。

坪井:ありがとうございます。吉岡さんは来られたことが一度もないですよね。

吉岡:ない、ないんですけど! 坪井さん、聞いてください。お客様、初めまして。吉岡睦雄と申します! 役者というのは、芝居をするのは役者の仕事の一部でしかなく、映画を映画館に届けるのが、お客様に届けるのが仕事だと。

井浦:それ、さっき言ってたやつじゃん。

入江:さっき裏で井浦さんが話してたことです。

吉岡:シーッ!

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坪井:先日うちでは城定(秀夫)監督の特集上映をやっていて、半分以上が吉岡さんの出ている映画でした。

吉岡:反省します! よろしくお願いします!

坪井:いつか吉岡さんもタイミングが合えば来てください。吉岡さんは『シュシュシュ』はどうでしたか?

吉岡:オーディションから始まり、現場そして公開と続く中でいろんなことがあって、撮影日誌をホームページの中のnoteに書かせていただいてるので、ぜひ読んでいただければ。今まで一つの作品に深く関わることがなくて、1-2シーン出て試写で見て終わりというのが多いんです。深く映画に関わっていろいろできるのは楽しいし、嬉しいことなんです。……あれ、聞いてますよね!?

坪井:聞いてますよ。イイこと言ってるなーと聞いていたんです。

吉岡:お客様、聞こえてたら、こうやってもらっていいですか?(ポーズ)あっ、ありがとうございます!

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入江:このポーズは吉岡さんが劇中でやってたポーズなんです。

坪井:入江さんは久しぶりの自主映画で、どうでした?

入江:ぶっちゃけ、今日東京でお客さんの顔が見えてようやく実感が湧いてきたところです。やっぱり顔色に出るんですよ。去年リモートで映画を撮るオファーをもらったんですが、俳優さんの顔色を見ないと演出できない。相手がどれくらいの満足感なのか、映画が皆さんにどう届いていくのか。上映後の舞台挨拶をやらせていただくと話ができるので、アクセルの踏み方が分かります。

坪井:今日公開した全国21館の反応がこれから上がって来ると思います。入江さんも全国へ行かれるんですか?

入江:行きます。宣伝部もいないし、初日に来てくださった方は本当にありがたい。足を運んでどう受け止めてもらったか聞きたいです。

坪井:新さんが初めて来てくださった翌年に入江さんの『SR』だったと思います。新さんは、入江組はどうですか?

井浦:緊張しました。入江組は初体験で、監督が「バカヤロー!」とか言うタイプかな…言われたら、燃えちゃうな…とか。

(一同笑)

無題22

井浦:入江監督が現場の中心にどう立たれているのか楽しみだったし、すごい緊張感で最後までいました。

入江:新さんは、本当に初日だったんです。宇野(祥平)さんに気持ちを吐露する重いシーンが初日。今回は学生スタッフが多くて「プロの俳優って違うんだ」という緊張感が皆に走り、一気に上げてくれる感じがありました。吉岡さんは、逆に緊張し始めましたけどね。

吉岡:僕も現場に来てたんですよ。本当に緊迫して、シーンとしてて、その中で繰り広げられる芝居を見て「ヤベーーー!」と。

(一同笑)

入江:でも吉岡さんは、宇野さんとすごくキャリアが近い。

吉岡:そうなんです! でも宇野さんは、皆がガーッと集まってくる感じ。確かにあの初日があったから撮影がうまく乗れた感じがします。俺がもし初日だったら後半グダグダになってたと思います。

坪井:そんなことはないと思います(笑)。福田沙紀さんはどうでしたか?

吉岡:フクダサンは・・・

坪井:喋り方が変わりましたね!

入江:バレてますよ!

吉岡:フクダサン・・・あのね、すごく助けられました。僕は撮影前に緊張してウワーッとなって、視野がこうなっちゃうんです。イノシシみたいに、イノシシ吉岡になるんですよ。それを「吉岡さーん」と広げてくれて、すごく助けられた記憶があります。

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坪井:嬉しかったんですね。

吉岡:そうそう、大好き。撮影中に「福田さん、福田さん」と言ってたら途中で「沙紀ちゃんでいいですよ」と言ってくれたんです。でも僕はどうしても恥ずかしくて、福田さんとしか言えなくて、今ここにいないので言っちゃいますね。沙紀ちゃーーーーん!

(一同笑)

入江:吉岡さんはスコーレさんと相性がいい俳優だと思います。

坪井:これで分かりました。安田さんは、歴史を作ってきた先輩たちとの現場はどうでしたか?

安田:僕も大きな役を任されたのが初めてかもしれないです。僕の撮影は3日間でしたが、さっき話に出た緊張感のあるシーンが初日で、僕の時にはもう皆がまとまっていたんです。映画は生き物ですが、その中でどれだけ自分が柔軟に対応できるか。監督の言葉と、空間にある言葉をひたすら自分の中で研ぎ澄ませ、自分の面白さをプラスしてお芝居を作っていく。さっきの話のシーンも僕は見てないのに伝わってきて、もっと高みの良いものを作りたいと。だから現場で学んだというより、背中を見て勉強しました。分からなければとりあえず真似してみようぜって。今25歳で、まだ映画のえの字も分からないかもしれない。でもカッコいい人たちと一緒に作れたことが嬉しいです。

入江:井浦さんは映画祭でご一緒したんですが、その時は同じ空間にいるだけでした。去年はお互い、一緒にミニシアター頑張ろうぜ、と応援する活動をしていました。コロナはいろいろ奪っていきましたが、唯一こうしてつながる機会を与えた気がするんです。スコーレさんもそう。名古屋に降りたらあるのが当たり前だと思っていたら、そんなことないと教えてくれた。唯一良かったことじゃないかと思います。吉岡さんも、15年くらい前に携帯番号だけ交換していたんです。オーディションにお呼びしようとしたら何故かメモリーに入ってて、なんで入ってるんだろう? と。コロナのことがあり、もう一回出会い直したような気がします。その意味ではスコーレさんとも『サイタマノラッパー』以来じゃないですか。お互い厳しい状況で、もう一回ゼロから構築する気持ちで行きたいと思うんですよ。

無題

坪井:では、最後に。

安田:今日から上映がスタートしました。いま観てほしい現代の映画だと思います。ミニシアターで上映されるのが胸アツな映画なので、SNS等で感想いただくと嬉しいです!

井浦:本日シネマスコーレに映画を観に来てくださった皆さん、ありがとうございました。気に入っていただけたらお友達やご家族にも伝えていただけたら嬉しいです。よろしければ明日またお代わりしに来ていただければ。ありがとうございました。

吉岡:楽しい時間にはいつも終わりがつきものです。『シュシュシュの娘』おとぼけカルテットでお送りしました。笑いあり感動ありの時間も間もなくおしまいです。さよならだけが人生だという言葉もありますが、またいずれ劇場でお会いしましょう!

入江:本日はお越しくださってありがとうございます。今、映画ファンでも映画館へ行く習慣が切れてしまった方がいますが、戻るイメージが持てないだけだと思うんです。僕ら製作者がイメージを変えていき、先に進まなくてはいけない。今日いらっしゃるお客さんは多分そのイメージを払拭して来ていて、そこにヒントがあると思います。僕らが一歩先に進める話がしたいです。よろしくお願いします!

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『シュシュシュの娘』
全国公開中!
瓜連あまや座・シネウインド・ほとり座・深谷シネマ・ユーロスペース・池袋シネマロサ・ポレポレ東中野・下北沢トリウッド・シネマジャックアンドベティ・長野千石劇場・上田映劇・シネマスコーレ・出町座・京都みなみ会館・第七藝術劇場・豊岡劇場・横川シネマ・シネマルナティック・熊本Denkikan・別府ブルーバード劇場・シネマ5・宮崎キネマ館・ガーデンズシネマ
8/27- 静岡シネギャラリー・シアターシエマ
8/28- シネマトーラス
9/4- シネマ尾道
9/10- THEATER ENYA
9/18 松本シネマセレクト・元町映画館
9/25- シアターキノ
調整中 シネマイーラ・シネヌーヴォ・福山駅前シネマモード



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