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子ども・思い出の詩

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2024年6月の記事一覧

【詩】ボタン

【詩】ボタン

目の前にボタン
おしちゃダメよ
とママの声

おしちゃダメ
ってどういうことか
わかってる

だけどなんだか他人事で
そんなことよりボタンが呼ぶんだ

押して?
音が鳴るよ?
どんな感触かな?
ランプが光るよ?
すごいでしょ?
かっこいいよね?
今なら1番だよ?
押してみて?
ほら
ほら!

喉が乾けば水を飲む
そのくらい自然な流れに乗って
気付いた時には沈んだボタン

ピンポーン

と同時に

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【詩】狭い部屋

【詩】狭い部屋

その部屋は成長した私には少し狭かった

普段ならたくさんの子どもがわいわいと遊んでいるが
今は自分しかおらず
部屋の狭さがより際立つ

部屋の窓から直接見える外
キキィー!と締め付けられるブレーキ音がなる度に
ハッと見上げるが
門を通る人影は目当てのものではなく
まるで一攫千金をかけたビンゴ大会で
ずっとリーチから抜け出せないような
そんな一喜一憂を繰り返す

これだけ人で溢れているのに
どうして

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【詩】お隣さん

【詩】お隣さん

何も持たないこの両手が憎かった

空っぽの手のひらを見つめる度
自然と心は溢れてしまった

ある日誰かがやって来て
私の隣に座ったけれど
心地が良いので放っておいた

気付けば私の手のひらに
1つ何かが乗っていた

どうやらお隣さんがくれたらしい

何かわからなかったけど
嫌ではないので放っておいた

気付けば私の手のひらに
沢山何かが乗っていた

どうやら探検したくなって
自分で拾い集めたらしい

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