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【詩】お隣さん

何も持たないこの両手が憎かった

空っぽの手のひらを見つめる度
自然と心は溢れてしまった

ある日誰かがやって来て
私の隣に座ったけれど
心地が良いので放っておいた

気付けば私の手のひらに
1つ何かが乗っていた

どうやらお隣さんがくれたらしい

何かわからなかったけど
嫌ではないので放っておいた

気付けば私の手のひらに
沢山何かが乗っていた

どうやら探検したくなって
自分で拾い集めたらしい

そして不思議とお隣さんに
集めた何かを報告し
返る笑顔に安心していた

ああ、今日も良い日だ


『そういえば、今まで良い日はあったかな?』

そんな記憶を遡る頃
心は優しく凪ぐ日々で
代わりに溢れてしまうのは
空っぽなはずの手のひらだった

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