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エイジング

今日も今日とてチェーン店のモーニングで小腹を満たしてコーヒーのみつつ、スマホ用キーボードを叩いています。いかにも無粋なデザインで味も素っ気もない安物ですが、とにかく便利。

仕事を辞めて長い旅行に出てしばらくぶりにゲストハウスに泊まってみて気づいたのは、年取ったんだなーという身も蓋もない事実でした。貧乏旅行が似合わない年齢にいつの間にかなっていた。地元で最近知り合った二十歳の女の子は好きな音楽が被ってて嬉しかったけどお母さんが自分より三つも年下だそうで。そういうことなんだな。かと言って、自分を卑下することもなく、変に若ぶるでもなく、ニュートラルでいられたらと思うけど、それなりの覚悟や理性や、時にはやせ我慢も必要かも。でもそれが、ひょっとしたら本質的には年齢とは関係なく、生きていくってことなのかもしれません。変化の速度が急すぎる、よりいっそう先の読めない時代だからこそ、内心の構えだけでも柔軟でいられたらと思います。

けどまあやっぱり、これしか選べなかったんだから、しょうがない。少数派の宿命。夜行バスで、シートベルトして寝ていて姿勢を変えようとちょっとベルトを外したらすーごく楽に感じて、あ、そうか、昔何度か病院で拘束されたときの苦しい感覚が記憶に残ってるんだ、と気づきました。本当に若いときは、四十代まで自分が生きてるなんて想像もできなかったし。ここまで来れただけでも幸運だった。

日常から離れた旅先では、普段の生活では思い出せないような遠い記憶が不意に蘇って楽しいです。昨日だったら、尾道の坂道を歩いてて、前に友だちと歩いたときは妊娠中でお腹の大きい友だちにこっちがハラハラしたけどいつも通りのピカピカな笑顔であちこち案内してくれたこと。そういう記憶を追体験して上書きできることが、年齢を重ねた旅行のプライスレスな醍醐味なのかもしれません。

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