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ヘアカットと祭りの記憶

髪を切りにいったら美容師さんが髪の状態がすごく良いと褒めてくれたので身体はストレスフリーで健やかなんだと思うけれど、気づいたら心が脱水にかけられた洗濯物みたいに潤いを失っているかのように感じられたりするのが季節の変わり目のこわいところで。週末から急激にしんどさの波に翻弄されている真っ只中、けどその美容師さんにカットしてもらうタイミングは何故だかいつもそんな感じのときで、あれこれおしゃべりするうちふいに涙ぐんで恥ずかしくなったりも(今日は大丈夫だった)、終わる頃には頭も気持ちもすっきり軽くなりまるでカウンセリングかセラピーかっていう、美容のみならず、気負いなく人を楽にしてくれるその姿勢に、プロはすごいな市井にひそむ必殺仕事人だ、と毎回感心。尊敬。一年前の九月に髪を短くしたのは近所の安い美容院だったけど、今はバイト先を経由して知り合った個人経営の美容師さんお二人に、切りたくなってから予約の取れたほうにお願いしてるのだけど、やはり独立してやってらっしゃるにはそれだけの理由があって、喋りやすいし仕上がりも素敵で二ヶ月三ヶ月経ってもショートが派手に形崩れせずそこそこ見栄えがする、美容院がとにかく苦手だし節約一辺倒でひたすら髪を伸ばして雑に団子にしてた自分には知らなかった世界がそこにはあった。

元バイト先は、年に二度の祭りの際は街をあげて盛り上がるため、店外でも生ビールをはじめとする飲食物を販売してスタッフ一丸となっての稼ぎ時となり、最初の年に人混みが苦手な自分は店内から窓の外の人の流れをそれとなく目で追っていただけで酔って気持ち悪くなってしまったほどで、楽しかった反面なにかと大変だった印象も強く、今年は夕飯どきに家でYoutubeで中継を眺めてたけど、定点カメラが一箇所のみで同居人は退屈して途中で寝てしまい、わたしは人や山車のざわめきやらなにやらが馴染み深く感じられて、記憶の中のいろんな想いが意識の表面化でうごめいているかのような、不思議な酔い心地に飽きずにたゆたっていられました。来年は祭り、遊びに行こうかな。

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