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第2回 おさえておく人や組織(クライアント1)

すべての会社、商売にとって重要なのはクライアントである。これは当然ながら中国でも同じである。BtoBであれBtoCであれ、クライアント、消費者がいてこそ企業は商売を末永く続けていくことができる。

私自身が日本人でBtoB領域で会社を経営してきたので、ここではBtoBを対象として話をするが、中国で商売をする場合、クライアントとなる対象企業は、大きくは中国企業、欧米企業、日本企業に分類される。

日本人の私が経営している会社なので仕事をいただける確率の高さという点で言えば、日本企業>中国企業>欧米企業という順になる。欧米企業よりも中国企業のほうが受注しやすいというのは意外かもしれないが、これには理由があるので後述する。

大前提として、日本企業であれ、中国企業であれ、欧米企業であれ少なからず自国関係者の付き合いの中で仕事を回すことを好むという点がある。日本企業なら日系の会社に発注をしたがる傾向があるし、中国企業は中国人の間で商売を回す。

これは単に自国びいきというだけでなく、コミュニケーションの敷居が低いという点が大きい。特にサービス業の場合人と人のコミュニケーションが膨大な数発生するため、外国語よりも母国語のほうが楽だからだ。

結果として私の会社でも、クライアントは日系が多かった。クライアントが最も分散した2015年頃では、日系:中国系:欧米系の割合は、6:3:1だった。それが最終的に会社を売却する頃には大部分が日系、一部中国系という割合に収束した。

日本人からみれば、欧米企業というのは異なる言語圏からやってきた同じ外国企業であり、彼らが日系の会社に業務を発注をするという動機はほとんど生まれないと言って良い。なので、よほどの縁がなければ日系企業が欧米企業から仕事を受けるということはないし、実際に仕事をしてもスタイルや作法の違いで様々な困難が発生する。

一方、それに比べれば中国企業は、母国のためその意味ではフラットであり、基本的には中国人同士で仕事を回すとはいえ、日系企業に発注をする可能性もゼロではない。ただ、仕事のスタイルや作法が日本企業とは異なるという点では欧米企業と大差はなく、また日中関係という非常にセンシティブな問題も抱えていることもあり、日系企業にとって中国企業をクライアントにするというのは課題も多い。

結果的に日系クライアントが多くなるということになるが、これはこれで問題も多く、私が最終的に会社を売却することを決心したきっかけだったとも言えるので、次回詳しく書いてみたいと思う。

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