見出し画像

スクラムマスターの舞台裏

こんにちはこんばんは。スクラムマスターの いのもえ です。

「サブパーソナリティ」というものをご存知でしょうか?
1 人の人間の中に複数の人格があるという概念のことです。

先日 1on1 で話していて、自分のスクラムマスターとしての振る舞いに「スクラムマスターの自分(SM さん)」 と「LeSS に参加しているいち個人としての自分(メンバーさん)」の 2 人格が大きく関与しているということに気づきました。

今回は自分が特にスクラムマスターとして気をつけていることと、それを気をつけるに当たって 2 人格がどう自分をサポートしてくれているか紹介してみようと思います。


気をつけてること 1: ハードルが高くても理想形は伝える

私がスクラムマスターとして発言するとき、「教科書が求める理想形」については必ず伝えられたほうが良いと思っています。

チームの状態と離れている理想を伝えると「絵に描いた餅だ」と思われるだろうと思っているのですが、ここは SM さんのパワーで理想だけはまず伝えている感覚があります。
また、 SM さんは "「ハードルが高いから下げる」をチームが選択するのは良いが、スクラムマスターがはじめからその可能性を取り上げてはいけない" という思想があるようなので、そのまま発揮してもらっています。

例えば、 LeSS の技術的長所に「継続的インテグレーション」というのがあります。これは端的に言えば「日々の開発全てがすぐに製品版に組み込まれるようにする」といった考え方です。
現在の開発業務においては git を使ったブランチ運用が一般的ですが、ブランチ運用をする場合は製品版のブランチへのマージが必要になります。つまり、開発した後にマージを待つ時間が必要です。 LeSS ではこの待つ時間をなくすために、ブランチ運用が無くても問題なく開発が進む状況にすることを推奨しています。

しかし、実際に「ブランチ運用をなくす」というのは現在ブランチ運用をしている人にとって想像しづらい方法であり、またそれでうまくいくかかなり懐疑的に感じると思います。
ですが、それを伝えること(そして、そのとおりにするのかはチームが決められるようにすること)が重要だと考えています。

気をつけてること 2: 親にならないようにする

スクラムマスターという役割でないと仮定して自分の振る舞いを想像し「親っぽいかも」と思ったらその行為をしないようにしています。

SM さんの力が自分の中で強いとき、「あれやった?これやった?」と細かく進捗を聞きたくなったり、チームや PO が今はそれほど課題に感じていないことを取り上げて調査し「課題だ!!」と伝えたくなったりします。
実際にこれをやってしまうと、チームの自己管理をかなり阻害すると思っているのですが、この点をメンバーさんに止めてもらっている感覚があります。

例えば、スクラムガイドや LeSS のサイトにある推奨される振る舞いとは反していることをチームや PO が選ぶ流れになったとき、無闇に止めないようにしています。もちろん放置するのではなく、ガイドに即した方が良い理由は説明します。しかし何度もガイドの理由を説明することで、結果的にはコントロールすることにも繋がりえるため、一度言ったらやめるようにしています。

ガイドに沿っていないときに何度もガイドを説明する自分を想像し「自分がメンバーだったらきつい」と思ったら止められるのは、自分の中にメンバーさんがいるからだと感じます。

気をつけてること 3:背景となるものの名前を知っておく

スクラムガイドなどで推奨されているやり方を説明するときに、その背景となるもの(理論や考え方など)の名前も一緒に添えるようにしています。

「ジョシュアツリーの法則」はご存知でしょうか?「名前を知ることでその存在を認識する」という考え方なのですが、スクラムマスターとして考え方や捉え方を説明するときに、心がけていることの一つです。

私がしたスクラムや LeSS に関する説明に対して、全ての質問を想定した上で理路整然と私一人で回答するのは不可能です。また、その説明を全て覚えてもらうことも難しいと思います。
ですが、「自分はこの 理論/考え方/法則 に則っていると考えています」と言えるようになれば、その分野について理解を深めたい人には勉強の助けになるでしょうし、さらに深い考えを持っている人とは一緒に深められるきっかけになるのではと思っています。

SM さんがスクラムとしてあるべき内容を説くとき、説明がフィーリングで終わってしまわないようにメンバーさんが色々な角度で質問しているような感覚があります。
実際には説明してみるまでどんな質問が来るかはわからないので、多方面のキャッチアップはずっと続けるようにしています。

例えば、スクラムではチームメンバーをコロコロと変えない方が良いとよく言われています。私はその背景には「タックマンモデル」があると思っています。実際にコロコロ変わるチームに居たことがなければ、この内容に同意しづらいかもしれません。ですが、「タックマンモデル」と名前があれば個人で理解を深めることも可能になります。

ちょっとスピリチュアルな雰囲気の記事になってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。
少し前にパーソナルコーチングを受けた際に「サブパーソナリティ」を知ってから考えの整理に非常に役立っているのは間違いないのですが、文章にするとちょっと厨二病っぽいのが玉に瑕ですね。

スクラムマスターとしての日々の葛藤が少しでも伝われば幸いです!

よろしければサポートお願いします!いただいたサポートは入浴剤や飲み物など、息抜きに使わせていただきます🤗