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特捜最前線「凧をあげる女」


 人生論は、今日はお預け。

 「特捜最前線」のような昭和ドラマが好きです。うろ覚えで、詳細が異なっていますが、正確な描写で著作権法違反になるにならないように努めています。しかも本当にその通りのストーリーではなく、あえて焦点をぼかしたり、触れていないところもありますので、興味がおありなら、ぜひ重厚な本編をご覧ください。

 今回は「凧をあげる女(題名も正確ではない)」で、桜井刑事、真面目そうな主婦、その息子、純朴な同僚刑事、母子家庭だけを狙う指名手配になった強盗殺人容疑者らが登場します。 

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 桜井は巡回中に団地の前で凧あげに難儀している主婦を手伝った。車椅子生活を送る息子は、ベランダから凧を見てよろこんでいた。

 半年後、桜井は繁華街でその主婦に売春を持ちかけられた。主婦は桜井のことに気づかなかった。

 その後、傷害事件が発生した。全身を刺されて瀕死の重傷を負った被害者はそのときの主婦だった。持っていた銀行の通帳から最近500万円が引き出されていた。手口から犯人は母子家庭のみを狙って皆殺しにする男、通称107号の犯行と推定された。

 調べると主婦は母子家庭で結婚式場で働いていた。勤務態度が良く、子供の送迎のために定刻5時に仕事をあがる。男の影は全くない。

 桜井が刺された主婦の住む団地に向かうと、養護施設の送迎車が待っていて、「その息子さんを施設に送る途中だが、母親と一緒でないと嫌だというので困っている」という。その息子に会うと、凧あげの時の人だと覚えていた。その息子を母親が瀕死の状態にあると告げて病院に連れて行く。意識不明の母親を見る息子の様子から母親への愛が感じられた。

 同僚刑事は主婦を真人間だと思っている。しかし桜井は主婦に誘われた繁華街近くのラブホで聞き込みを続けた。その間、そんなことはありえない、非人間的だと非難される。

 その途中、その地域の売春の元締めを尋問し、107号の顔写真を見せる。見覚えのある元締めは逃げ出そうとしたがその場で締め上げられ、使っている売春婦の名簿を桜井に奪われる。その中に、あの主婦の名前があった。

 主婦を好んで指名していた男のところに聞き取りに行くと、会うのは決まって仏滅の日で主婦は夕方5時にはきっちり帰るのだという。結婚式場は仏滅を休業にしていた。男の口から出る主婦との聞くに堪えない逢瀬を知った同僚刑事は裏切られた気持ちになった。

 元締めの取調べが始まった。桜井はそこに息子を連れてきて、母親がどんなことをしていたのかを、周囲の反対を押し切って息子に聞かせた。ショックを受けた息子は涙を浮かべて母親を憎んだ。息子は近いうちに別の施設に預けられることになっていた。それを、再婚の邪魔になった自分のことを母親が遠ざけるためだと思い、悲観して自殺しようとするが、桜井が体当たりで阻止する。

 母親の日記が出てきた。日付、毎日買う日用品と金額、そして天気、特に空の様子が細かく書かれていたのに気づいた。過去に遡ると、凧の購入記録があった。そのときの楽しそうな母子の情景を桜井は思い出していた。母親もまた息子を愛していたのだ。

 ようやく107号と主婦の接点が見つかった。107号は主婦に結婚の約束をし、そのために金が必要だと言った。その話を真に受けた主婦は仏滅の日に売春をして貯金していた。

 その男は息子を邪魔者扱いし暴力を振った。息子はその男を憎んでいた。足を怪我したのはその男が自分を殺そうとしたせいだと信じて疑わなかった。

 まもなく107号は逮捕された。しかし、母親の容体が急変した。

 死ぬ直前にかすかに意識が戻ったとき、母親はこう述べた。子供の遊具に細工をして足に大怪我をさせたのは自分だ。子供を障害者にして遠くの施設に預け、その男と一緒になろうとしていた。しかし銀行からおろした預金を渡したところで刺されたのだと。

 そして母親は亡くなった。母親を恨み続けている息子が施設に送られる前に、桜井は「あんな女のだけど」と言いながら母親の日記をまとめて渡した。母親を嫌悪する息子はそれらを放り出した。するとその間から切符が出てきた。息子の施設に行くためのものだった。息子は母親が自分のことを見捨てずにいてくれたと嬉し泣きしながら施設に向かった。

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 ここではあえてある人物評価に関する重大な部分に触れていません。それでもこれだけ面白いのですから、それを明確にすれば、登場人物たちの評価が大きく変わり、さらに面白さが増すこと請け合いです。

 内容を簡単に追いましたが、これで事足れりとせず、ぜひ、本編をご覧ください。

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