第2章 なぜみやこやをつくったのか_ボランティア体質でいいのか②

前回、支援やサービスにおいて、ボランティアを活用することに対しての危険性や疑問について書きましたが、今回はボランティア依存体質でいくことの限界について書いて見ます。

前回も書きましたが、私は、町づくりや様々な支援をボランティアに委ねることに対しては、昔から疑問を持っています。

理由は、

1.支援は労働。本人の意識付けと身を守るためにも、然るべき「対価」「保障」をつけなければならない
2.ボランティア人口の減少。ボランティア活動の内容の変化。

ということが挙げられます。今回は、そういうものをデータを活用しながら説明してみたいと思います。

【次世代育成が困難な時代】

「若い世代がいない」

このキーワードは、色々な場面で聞きますね。ボランティア団体、町づくりなど、後継者不足に頭を抱える地域や団体はとても多い。

この現象は、最近始まったことではありません。私は市民活動の中間支援組織を運営していた時期がありますが、携わるずっと前からこの話はいたるところから出てきます。

理由は色々とあります。一番の理由は若い世代は仕事や育児、子育てで忙しいということ。

時代背景もあります。

全体的な家庭の経済状況が変化し、私たちの世代というのは「夫婦で働いてようやく1世帯が生活ができる生活費を維持できる」という状況になっているという事実があります。

後はプライベート(余暇)の使い方に変化が出ている。

現在、働き方改革という言葉が出始めていて、副業という考え方が広がり始めています。ボランティアをするよりも、「プチ起業」「プチ副業」をすることでちょっとした収入を得ようとする動きも出てきていますね。

こうした、生活のスタイルの変化に伴い、ボランティアをするという感覚に少しずつ変化が出始めているのは否めません。

総務省統計局「平成28年社会生活基本調査の結果」から抜粋
http://www.stat.go.jp/data/shakai/2016/kekka.html

【特定非営利活動促進法】
少し、NPOについてのお話も書いてみます。この辺りは指定管理や介護事業運営母体の話と絡んできますので、知っておいて損はないかと思います。

今から20数年前の1998年12月に特定非営利活動促進法が施行されています。いわゆるNPO法ですね。

この頃、阪神淡路大震災が起き、その流れの中でこのNPO法が施行されました。少しだけ簡単な流れが書いてありましたので参考までに。

○内閣府NPOに関するHP
https://www.npo-homepage.go.jp/about/seidokaisei-keii/sokushinhou-koremade

当時は、NPOマネジメント講座が盛んに行われていたのですが、この流れとあわせて介護保険が施行されており、ここで「有償ボランティア」についての概念みたいなものが説明されました。

介護サービスだけでは行き届かない部分に、「ボランティアを入れる」しかし無料でやるには労力がかかる。そこで「有償ボランティア」という考えを導入し、介護サービスよりも安価に介護のサービスができるようにするという話がありました。

あの頃盛んに言われていたのが「隙間産業」「隙間ビジネス」「ソーシャルビジネス」「コミュニティビジネス」

隙間のニーズをサービスに変えよう。こういうニッチなサービスがビジネスとして成立する。というような内容の話が連日至るところで出ていて、当時は私自身もこの流れに大きな期待を持っていた部分がありました。

思うに、NPO法ができたきっかけは震災であったものの、法ができた背景には介護保険の流れもあったんですね。

NPO法ができる頃から、私自身も市民活動をスタートしたのですが、この辺りから既に市民活動とビジネスが曖昧になる感覚はありました。

市民活動(ボランティア)とビジネスがはっきりと分けれない支援サービスが生み出され、どこかいいこと(支援)を有料で取ることに対しての躊躇というか、いいことをするのにお金を取るのか・・・といった風潮があったことも事実。

ソーシャルビジネスの概念は、意外に説明が難しく、この分野を確立している人は多いようで少ない。

例えば、市民活動センターにおいて、同じ市民活動であってもソーシャルビジネスをしている団体は登録NGになるという事も県内外でありました。

事業系のNPOはボランティアの感覚でやると、かなりやりにくい印象があります。イメージと現実のギャップに翻弄される人も多いのではないでしょうか。

市民活動として成功している人というのは、経営(運営)能力に長けている人が多く、実際ボランティア志向の市民活動は継続することが難しいというような問題も出てきました。

少し話が脱線してしまいましたが、福祉支援に関する「隙間サービス」というのは、ニーズがあってもビジネス化しにくいという現実があり、運営者側もなかなか踏み込めない分野ではあります。実際やっている人達の事業概要、事業計画などを拝見してみると、通常の株式会社や福祉法人と同じような経営体制をとっていることが多い。

少し現場レベルで話してみます。

これまでたくさんのボランティア団体や市民活動に関わってきたり、コーディネートを行ってきましたが、ボランティアだけを継続して何年も続けている団体はあまりいない。

周囲のNPO法人で活動を継続しているところは何かしらの収益事業もしくは指定管理等の委託事業をやっていることが多いですね。

まずボランティアをしてくれる人材がいない。

当初は頑張れていても何かしらライフステージが変わり、収入のある仕事へとシフトをし始める。団体創始者もはじめは思いが強くても、次第に人が離れ資金不足に陥ると、自分の気持ちが落ちこみ団体継続ができなくなる。
気が付くと、NPO法人化したものの「一人NPO」という状態で会員は名前だけになっているところもいます。

そういったパターンを多く見ていると、ボランティアのみで活動をお願いするのはかなり難しいことが分かります。それよりも、しっかりとした対価を支払い仕事として関わり、+αの気持ちでボランティアをしてくれる。そういう方が支援をする側もされる側も幸せかなあと思います。

あと、ボランティアの種類が若干変化してきている。

ボランティア人口も減少していますが、実際に、高齢者支援に繋がるボランティアというのはあまり高い比率ではありません。
ただ、一つ希望としていえるのは町づくりの為の活動はとても高いということ。そして、増えているということ。この辺りも含めて次に書いてみることにします。

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