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勝ってはないけど兜の緒を締める

チーム・バチスタシリーズの生みの親、海堂尊先生は超速筆だ。わたしが中学生のころから、気がつくと新刊が出ている、という感覚だった。

先日、『カレイドスコープの箱庭』の後ろについている海堂先生のエッセイを読んだら、「久々に一日百枚超え。十日で六百枚」の記述があり驚愕。ひゃ、ひゃくまいですか。改行があるとはいえ、すくなくとも1日3万字以上は書けるということ?わたしなんの題材でも1日100枚は書けないんですが………

それを読んでから、挑戦してみよう、という気になった。壁を壊そう、と。100枚を目指していれば、30くらいは余裕で書けるようになるんじゃないか。志は大きく。ちなみに、わたしのこれまでの最高記録は、たしか1日25〜30枚。もちろん推敲もあるのでそのまま出せるわけじゃないけど、朝から晩まで書き続けていたらそれくらいは文量としてなんとか書ける。ほうほうのていではありますが。

海堂先生は、「シリーズものは完結してこそ永遠の命を得る」という考えの持ち主なので、それがこのスピード感に繋がっているんだと納得。文庫第一版のカレイドスコープ〜は誤植がちらほらあり、わたしでも4箇所見つけたが、大したことではない。一文字二文字くらい脳内で補完すればいいだけだ。大切なのは物語が展開され、結末へ近づいていくこと。ただ正直申し上げると、Ai標準化国際会議の描写は地の文ベースではなく、もっと詳しくやってほしかった。せっかく!桐生も速水も戻って、彦根も島津も、もちろん田口センセも白鳥もいて、役者が揃ったのに、何を話したのか、どんなやりとりがあったのかが全くわからなかった。そこだけが消化不良だ。文庫化するにあたって削ったのかもしれないけども、気になるなあ、やりとり。こればっかりは、わたしの乏しい知識では補完しきれない。

海堂先生はいつも驚きをくれる。だからわたしは海堂尊作品を読むのが好きだ。今日もまた、読み漁る。これぞ至福のときである。そして、わたしもやらなきゃ、と兜の緒を締める。勝って兜の緒を締めよ、ということわざがあるが、わたしは一度も勝ってはおらんからこそ、締めておかねばならない。つねに。やるぞ、1日100枚。

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