2005年箱根駅伝予選会ポスター_001

本番で力を発揮するための発想の転換〜大学生㉛〜

大学4年間の中で「穏やかな気持ち」で予選会当日を迎えることがどれだけできただろうか・・・

残念ながら、そんな気持ちになれたことは一度もありませんでした。練習日誌を見返してみても「調子が悪い」「これじゃダメだ」そんなネガティブな文字が並んでいます。当時の記憶は実はあまりなかったのですが、予選会の出走メンバーは僕とホソカワさんの二人で話し合って決めていたようで、ホソカワさんが「自分のことに集中できていない」と偉そうに書いていたのですが、実は自分自身も集中できていなかったのかもしれません。

予選会が立川で開催されるので、僕にとっては立川は特別な場所です。ここを通過しないと箱根に出られないから、立川の決戦の地を意識して練習に励むということが自分の潜在意識にありました。ところが、シードを取り続けている大学にとって立川は「縁起が悪い場所」という風に捉えられていて、どうやら立川に近づかないようにしていたようです。大人になってこれを聞いた瞬間、そもそも考え方がここから違っていたのか…と結構ショックをうけました。まぁ、逆の立場だったらその通りですよね。立川なんて縁がない方がいい。本戦に出て当たり前のチームは全然違う次元で箱根駅伝を見ていました。僕の目線はやはり予選会チーム。こういったところの意識を変えられていたらちょっと違ったのかもしれません。。。そんなことを思いました。

今年はそんな因縁?の立川で「関東マスターズ駅伝」に出てきました。何度も走った昭和記念公園。35歳で再び立川の地で駅伝をやるとは(笑)もう今となっては昔の苦い思い出を引きづることはないのですが、何気なくコースを走っていると、次にこんな景色が広がるだろうなって分かるんですよね。そんな心の奥の方に残った記憶が時々僕のこころにチクリと刺さることを、これからの人生の誇りにしていこうと思っています。

ちなみに、マスターズ駅伝優勝!60代〜20代までの各年代の選手がタスキをつなぐというレースでしたが、僕はトップでたすきを渡せませんでしたが、仲間がカバーしてくれました。駅伝はやっぱりサイコーです!!

■予選会

3度目の予選会

日本人は「3」という数字を切りの良い目安としてしばしば使いますよね。「3度目の正直」「2度あることは3度ある」真逆のことを言っているようなので、どっちやねん!と誰もが一度は突っ込んだことがある言い回しですが、実はちゃんと使い分けがあるみたいです。

前者は「挑戦」
1度目、2度目で失敗しても3度目は成功する可能性はぐんと上がる!というポジティブな意味合いの方が強いようです。

後者は「戒め」
同じようなことが2度起こったらもう一度起こる可能性がある!という注意喚起を促しているので、どちらかといえばネガティブなニュアンスの方が強いみたいですね。

根本的に使うシチュエーションが違います。3度目の予選会を「3度目の正直」として位置づけて勝負に向かうのが、日本語的にも自分たちのスタンス的にも正しいのですが、簡単に「3度目の正直」にはなってくれませんでした。夢中で走りました。ただ、調子が上がっていた前年と違って明らかに体が動きません。前回の予選会から1年を経たはずなのに…経験値は上がっているはずなのに…、走れていない自分にレース中焦っていました。そんな中で自分ができたことといえば、走ることに集中しようしようと言い聞かせること。ただそれだけです。

レースの細かいことは覚えてないのですが、走れなかったという苦い記憶だけは結構鮮明にイメージの中に残るもんですね。ゴールしてタイムを見ると62分36秒。全体で118位でした。僕このタイム&順位でチーム一番ですから、予選会通過にはもちろん程遠い結果。ただ、チーム内で一番だったことは幸運にも皮肉にも非常に大きな意味を持っていました。このお話は次回に回したいと思います・・・

■大切な本番で力を発揮するには

大事なレース、大事な仕事のプレゼンなど、“大事な〇〇”は人生のなかで色々あると思いますが、そういったときに、自分自身の力を最大限に発揮するにはどうしたら良いでしょうか?多くの人が言っていて、ほぼ間違いないであろうコツは「平常心を持つ」ということですが、実際にはそれがなかなかできません。

そんな平常心を保つためのポイントは、発想の転換なのかなと最近よく考えています。

今回のケースでいうと、「予選会を突破する」という”概念”を持つのではなく、「1秒でも速くゴールにつく」という”行動”に焦点を当てるということ。やることが明確になり、あれこれ考えなくても今やるべきことに気を配ることができます。概念は達成までの道のりがはっきり見えづらく途中で心が折れやすいです。しかも、頭を使えば使うほど(考えれば考えるほど)同時にいろいろなことが思い浮かんできてしまいます。

少し話が変わりますが、東洋大学の有名なスローガンが「その1秒をけずりだせ」。2011年の箱根駅伝で早稲田大学に 21秒差で負けた時に彼らが味わった想いがそのままスローガンになりました。言うなれば心の声なので、選手が皆この想いに共感し、それを持ち続けることは難しくありませんでしたもちろん実行するには相当な努力が必要ですが、彼らはきっちり1年後に王座を奪還しました。

このスローガンは東洋大学のイメージと結びつき非常に有名になりましたが、行動目標にもなっていますよね。スローガンは具体的かつシンプルなものが効果的です。そして、そのシンプルな行動目標であったからこそ、モチベーションを落とさず1年間血の滲むようなトレーニングが詰めたんじゃないかなと思います。

僕たちは同じベクトルをがっちり共有し、力を発揮できるチーム作りができていなかったなぁ。もっといろんなことができたなという悔いは大人になるとたくさんでてきますね(苦笑)

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