食当風景

箱根駅伝に出るために必要な条件の話「モノ」〜大学生③〜

前回は箱根駅伝に出るための条件として「ヒト・モノ・カネ」の話をしました。長くなりそうだったので、「ヒト」の話で一旦区切ったのですが、今回はその続きです。

ヒトに関してはこちらをご覧ください↓

さて、、、箱根駅伝に出るために必要な「モノ」とはなんでしょう。

これはいい始めればキリがないですね。ウエイトルームが欲しい、綺麗な寮がほしい、雨でも練習できる場所がほしい、などなど。必要なものからあったらいいな的なものまで様々。ほんと、ドンドン出てきます。

ただ、最低限必要なモノを考えた時に、衣食住のうち「食」と「住」はなんとか整えたい「モノ」の一つでした。寮を建てるとか、栄養士さんにサポートに入ってもらうとか、そんなことはできませんが、与えられた条件の中でいろんな工夫をしていたと思います。

当時長距離チームは「桐萠塾」と「中嶋アパート」という二つのアパートを丸ごと借り切って集団生活をしていました。先輩から後輩に引き継がれるアパート。部屋のクリーニングもなく、畳を張り替えることもないため、お世辞にも綺麗とはいえず、トラックがそばの道を通れば家が揺れ、夜にはネズミがカタカタと屋根裏を走り回る音がする家でした。

こちらが「桐萠塾」。先輩と二人での一部屋という配置でした。

それでも、集団生活のメリットは大きくて、朝は交代で食事を作り栄養管理をしようと工夫し、大家さんのご好意で一部屋を食堂として使わせてもらい、そこでミーティングをしたりしていました。大家さんが大量の野菜を1回の階段下に置いておいてくれるので、それをいただいて料理に使ったり、いろいろでしたね。

夏になると大きなスイカがたくさん階段の下においてあったのですが、朝練の後に給水の代わりに食べようってことになって、冷蔵庫で冷やしていました。喉をカラカラにした状態で朝練から帰ってきたら、腹ペコ学生が取る行動はもちろん一つ。スイカにかぶりつきながら、アパートの駐車場に止めてある先輩の車めがけて種を飛ばすというイタズラ。もちろん成瀬さんの車もありましたよ(笑)笑いながら怒られました。

私立大学の箱根駅伝常連校にふと目を向けると、立派な寮を備えていて、サポート体制にも恵まれているという話を見聞きします。そういうことを見聞きすると羨ましいなと思ってしまうのは仕方ないですね。ただ、決して自分たちの状況に不満があったわけではなく、むしろ入居者が毎年入れ替わり、どんな大学生が入ってくるかわからない状況で、僕たちを信じてアパートを丸ごと貸してくれた大家さんには本当に感謝でした。どれだけ周りの人が本気で筑波大学が箱根駅伝に出られるかもしれないと思ってくれたかはわかりません。ただ、少なくとも損得勘定なしに応援してくれる人がいたことは本当に幸せだったし、そこをないがしろにしたらきっとアブノーマルな方法で箱根駅伝を目指してます〜といっても誰にも響かなかったでしょう。

肉か魚、卵料理、野菜、汁物を作ることが食当のルールでした。料理なんてしたことがなかった男子大学生もこうやって成長してくんです。

自分が卒業してもう10年以上経ちますが、今の後輩たちもまた僕らとは違った方法で箱根駅伝にチャレンジしています。その話はまた別の機会に譲ったほうがいいですね。


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