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責任感の強いキャプテンほど陥りがちな憂鬱〜大学生㉚〜

最近思っていること・・

「農業っていいトレーニングになるよなぁ」

自分自身田舎育ちだったので、農業は身近なものでした。それぞれの季節にどんな野菜が採れるかは昔から知ってましたし、山に入って山菜採りやタケノコ掘することも珍しくありませんでした。畑の草むしりをしたり、耕したり、朝から晩までいろんな農作業をしていると、身体中痛くなります。スポーツとして体を鍛えることをしなくても、自然と昔の人はたくましくなっていったんだと思います。これが本来の体づくりです。

先日、葉山で農園をやっている方を紹介してもらいました。その方は脱サラして葉山のヤブを開墾し、そこに農園を作りました。人が足を踏み入れないヤブの状態から5年かけて立派な農園を作り、今では人を呼んで様々なイベントをたくさんやっているそうです。下手な説明をしてしまうと語弊を招いてしまうので、詳しくはホームページをご覧ください。

その方が勧めてくれたのは「野良仕事体験」。農作業ではないですよ、あくまでの野良仕事。ヤブを開拓したり整備したりする作業のことです。体を使う単純作業を黙々とやっていると瞑想状態になると言われたのですが、すごく腑に落ちました。座ってやらない”体を動かす”単純作業というところがミソ。頭を使わずにできる肉体労働は、考えてパンパンになった頭に隙間を作ってくれます。そして、目に見えて綺麗になっていくという結果が出るところもいいんでしょうね。

悩んだり、苦しんだりしているアスリートの話は山ほど聞きます。スーパー中学生、ミラクル高校生、ハイパー大学生と言われた“超○○生級”のアスリートが、将来みんな日本を代表して世界を相手に戦っているかというと、決してそうではありません。もちろんそれを望まずに競技から離れていった選手もたくさんいます。それを無理やりやらせたり、「勿体無い」という無責任な言葉を投げかけるのは論点がずれていると思いますが、世界を相手に戦いたいと強い意志を持って頑張ろうとした選手が伸びなかったケースは結構問題です。

周囲の期待に振り回され、自分で自分に課したノルマに悩み、心と体を疲弊させていきます。すさまじい努力によって素晴らしい成績を残した選手でも、そういう状況に陥ってしまうと自分を否定し、これで良かったのかと悩み、苦しい想いをしがち。すごく残念なことですよね。

そんなアスリートたちのお節介ながら何かできないかなと考えるときにふと上記の野良仕事のことが思い浮かびました。大学を卒業してからずいぶん時間が経ちましたが、今はスポーツを「支える立場」として自分ができることを考えていきたいと思っています。

仲間募集中〜w

■キャプテンの憂鬱

ホソカワさんはキャプテンになってから、色んなことにたくさん気を遣ってくれました。前年の練習日誌を見返し、そこからメニューを作ってくれましたし、自分のこと以上に仲間のことを気にしていたと思います。いいキャプテンでした。

でも、僕にはホソカワさんがすごく苦しそうに見えて仕方なかったです。キャプテンとしてチームを引っ張っているというよりも、コーチっぽかったから。良いキャプテンというよりも良いコーチであろうとしていたように思えました。チームを引っ張ることは確かに大事。だけど、それによって自分を押し殺してしまうのは本来のやるべきことではないはずです。

周りのことを気にしすぎる→自分のことに集中できない→自分が思うように走れななくなる→発言にも自信がなくなってくる・・・という悪循環。そんな中でも気丈に振舞ってくれましたが、やっぱり人間のキャパは無限ではなく、とうとう夏の合宿中にそのキャパが溢れてしまってみんなの前で涙を流したことがあり明日。

「コーチが欲しい」

それが、ホソカワさんの心の声でした。サイジョーさんに頼めばきっと引き受けてくれたと思います。ダイゴさんだって、力を貸してくれたかもしれません。でも、僕は今のままでホソカワさんが自分のことに集中できる状況になったとしても一度狂った歯車を元に戻さないままだと、ヤンチャで明るい細川さんに戻れないと思い、学生主体を続けることを提案しました。ホソカワさんが思った通りに練習メニューを作って欲しいし、ホソカワさんが思うようなチームにして欲しいと伝えました。

その提案が正しかったかどうかわかりません。ただ、腹を割って想いを吐き出したその日から、ホソカワさんの表情も行動もちょっとずつ戻っていったように感じました。

■自分らしくあること

名伯楽、名コーチと言われる人たちは陸上界にもたくさんいます。

ここでその名前を挙げていってもキリがないですが、そういった人たちの真似をすれば皆が名伯楽、名コーチになれるかといえば、そうではありません。青学の原監督が東海大の両角監督のように指導してもうまくいかないでしょうし、東洋大の酒井監督が駒沢大の大八木監督のやり方を真似してもうまくいかないと思います。(分かりやすいので箱根駅伝でおなじみの大学の中でお名前を拝借しました)

その人のが持つオーラだったり、歩んできた人生だったり、表情だったり、そもそもの性格だったり。。。そういったものが絶妙に絡み合ってこそ、指導に味が出てくるのものだと思っています。そっくりそのまま真似しようとするのはやっぱり無理。どの指導者も様々な指導者を参考にしつつ、自分の色を出すことで実績を作ってきました。

ホソカワさんはこれまでたくさん力を尽くしてくれた熱血コーチたちを追いすぎていたと思います。それがホソカワさんを追い詰めホソカワさんらしさを消してしまったんだと思います。

ホソカワさんはもともとすごいアイディアマンでした。ミーティングで勉強会やろうといったり、朝練習がない日はみんなでレクレーションやろうと言って球技を企画したり、短距離のコーチに指導を仰いだり・・・ホソカワさんが本当にチームのコーチだったら、すごく面白いチームになっていたでしょうね。農作業をやろうってアイディア出してたかもしれません!生まれるのが遅すぎましたね、ホソカワコーチと出会いたかったです(笑)

教員志望だったホソカワさんは、大学を卒業した後、保健体育の先生になりました。実際に生徒に指導している姿を直接見たことはありませんが、間違いなく「人気教師」であり「名物先生」でしょうね。その姿が目に浮かびますww

そうそう、ホソカワ先生が指導した子の中にはその世代でトップ級になった子もいます。きっとこれからも、たくさんの子供たちを導いてくれるでしょう。ホソカワ先生らしい指導で!!

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