総集編【クマは見た】①〜⑨

【クマは見た①】さほど広くない部屋。机と椅子が置いてある。でもこの人、椅子に座らずにカーペットの上に座り込んで作業をしている。何だかとても楽しそうだ。この人が何をしているのかは知っている。クマの編みぐるみを作っているのだ。なぜかというと、私も昨日この人が作ったクマだから。

【クマは見た②】ここには他にも仲間がいる。ブルーの子、ピンクの子、紫の子、シマシマみたいな子、そしてボク、赤いクマです。この人、なんでも最近僕たちを作り始めたらしい。普段は本を書いている。もう15冊も書いたんだって。どこからそんなにお話が出てくるのか、クマには想像もつきません。

【クマは見た③】ボクたちは、それぞれ違う毛糸で編まれているので、違うふんいきではあるけど、どこか似通った顔をしている。同じ人が作った兄弟だからだね。この人が編み物を始めたのは小学生の頃なんだって。50年も編み物してるんだね。昨日生まれたボクには想像もできないような長い時間だよ。

【クマは見た④】この人はいつ本を書いているのだろう？ペンやノートを出してくる様子もないし、PCを開きもしない。どうやって書いてるんだろ。あ、スマホだ。さっきからポチポチやってると思ったら、あれで文章作ってるんだ〜。いつもこうやってるんだって。へぇ、そうなんだ。なんだか不思議だね。

【クマは見た⑤】一本の毛糸だったボクが、こうやって編みぐるみのクマとして誕生したのはついこの間。こんな世界があるんだってこと知らなかったよ。今は仲間もいるし、なんだか楽しい。この部屋には先住クマがいて、こっちを見ている。残念ながら会話はできないけど、なんとなく心強いものだね。

【クマは見た⑥】いつもボクがこの人この人って言うもんだから「マミィと呼んで」って言われたよ(笑)呼び方は何でもいいと思うんだけど。そういえば、ボクにはまだ名前がないや。マミィに聞いたら「愛燃える」のイメージで作ったからアイちゃんね！だそうです。これからはアイちゃんでよろしくね。

【クマは見た⑦】マミィには大好きな人がいるらしい。でも会ったことはないんだって。そんなことってあるの？って聞いたら、ブルーのウサギが「フフッ」と笑う。何だよ、ボクよりちょっと早く生まれたからって、ボクを子ども扱いするんだから。マミィは写真を見てニヤニヤ。楽しそうだからいいか。

好きすぎて本まで書いちゃったって！

We Love 轟 Yū　届けたい想い

【クマは見た⑧】マミィは今日はウサギを作っている。普段はクマだけど、リクエストすればウサギもオッケーなんだって。もうすぐ出来上がるというときになって、なぜか少し悲しそうな顔をしている。「お別れが寂しくなっちゃった」って言ってた。そうかぁ、この子はもう里親さんが決まってるもんね。

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★オマケ記事★

【クマは見た⑨】マミィはどこかへ行くらしい。よく、朝に出かけていたけど、ボクには関係ないと思っていた。でも今日は、カバンの中にヒョイッとボクを入れて、外へ出たよ。どこへ行くんだろう。初めての外出、なんだか嬉しいな。あれ？なんだ結構近いんだ。もう着いちゃった。そのときの写真がこれ。