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マルチバーティカルSaaSの難しさと面白さ

Hiroki Miyasato

こんにちは。宮里(@miyahirok)と申します。ヘイ株式会社(以下、hey)で STORES 予約 のプロダクトマネージャーをしております。

早いものであっという間に2022年も折り返そうとしております。
2021年末にプロダクト開発サイクルを可視化した話についてnoteに書かせていただきましたが、この半年間でプロダクトロードマップの策定・共有プロセスを透明性高く運用できるようになってきたことに加え、中長期的な事業・プロダクトの目指す方向性についても多く議論をしてきました。

これまでSTORES 予約 は、予約管理という機能を様々な業種で汎用的に利用できるホリゾンタルなSaaSとして開発されてきましたが、未来のありたい姿から中期戦略を議論・検討する中で、STORES 予約 を「マルチバーティカルSaaS」と再定義をしました。
この記事では、マルチバーティカルSaaSのプロダクト開発の難しさと面白さをご紹介できればと思います。

より深いペインを解くためのマルチバーティカル戦略

「予約」という概念は消費者・事業者双方にとって非常にメリットが大きいため、様々なサービスの事業で取り入れられていますが、事業者が予約を受け付けて管理する負担は大きく、消費者が予約をすることも面倒で億劫に感じるものだなと、このプロダクトに携わり改めて実感しています。
STORES 予約 はこの「予約」という行為をテクノロジーで圧倒的に簡単で便利にしていくことで、Just For Funな世の中の実現に貢献することを目指しています。

オンライン予約は「サービスのEC」とも言われ、様々なモノがネットショップで買えるようになったように、これからもっと色々なサービスがオンラインで予約できるようになっていきます。
モノのECがAmazonや楽天のようなモール型から始まり、徐々にそれぞれの店舗が独自にECを持つようになっていったのと同じように、「サービスのEC」であるオンライン予約も、メディア予約サイトに頼る形ではなく独自に予約サービスを提供する流れが加速しています。

そういった流れの加速もあり、STORES 予約 はありがたいことに多様な業種・業態のオーナーさまにご利用いただいておりますが、一言で「予約」といっても予約の受付・管理、その前後に発生する業務も多岐に渡り、課題やニーズも業種などにより大きく異なります。また、それぞれのマーケットの状況も違えば消費者の属性や行動も異なります。

電話やメールで予約を受けつけ、紙の台帳やExcelやGoogleカレンダーで予約管理を行っていると、予約の取り間違いや取りこぼしが発生したり、予約者が予約時間を勘違いするなどたくさんの課題が発生します。そういった「予約管理」は大きなペインであり、多くの業種に共通的な課題ですが、「予約管理」はあくまでオーナーさんの業務におけるほんの一部に過ぎません。汎用的に予約管理の機能を磨くだけでは解決できるオーナーさんの課題は浅いものに留まってしまいます。

「予約」を圧倒的に簡単で便利にしていくためには、特定の業種・業態の解像度をもっと高めて、予約の前後の業務も含めたより深い課題を解きに行く必要があります。
例えば会員制のヨガスタジオの運営におけるCRMの課題と、個人経営の美容室におけるCRMの課題は、内容も異なれば解決策も異なります。同じ業種でも店舗の規模や立地などの条件によっても異なるでしょう。

深いペインを特定するためには勇気をもってターゲットを絞り込み、一定の時間をかけてターゲットのオーナーさんにとってなくてはならないプロダクトとして磨きこんでいく必要があります。

このホリゾンタルSaaSでもなく、特定業種だけに使えるバーティカルSaaSでもなく、1つの業種を深く掘り、また次に別の業種を深く堀ることを繰り返していく、という方向性を社内にどう伝えるかをPM陣で会話していた際に、ちょうどカミナシさんのnoteで「マルチバーティカル戦略」というワードが紹介されていました。これ以上しっくりくるワードはないというくらいしっくりきたので、以来ありがたく使わせていただいております。

マルチバーティカルSaaSの難しさ

この半年間で改めてSTORES 予約 としてマーケットリサーチやユーザーリサーチを重ね、各マーケットのセグメントや強化すべきバリュープロポジションの検討を進めてきました。PM陣だけでなく事業一丸となって取り組んだこともあり以前よりだいぶ解像度も高まったのですが、ターゲットの業種の絞り込みのため、業種ごとにオーナーさんの業務課題や各バーティカルSaaSを含めた競争環境、セールスチャネルの開拓などを見立てていく必要があり、実際のプロダクトの戦略やロードマップを考える上での変数は多くなりました。
現在はマーケットを縦(企業規模 / 業務)に深ぼりながら横(業種)への展開を探索しているフェーズで、取りうる戦略オプションが非常に幅広く、さまざまな角度から検証すべき仮説や開発するべき機能を選定し、定性定量のファクトを踏まえてロードマップの意思決定していく必要があります。

  • どのように業種・業態をセグメント(規模、ユースケース)し、ターゲットとするか。

  • 予約管理の前後も含めたどの業務の課題を解決するのか。

  • オーナーさんの業務課題解消か予約者側の予約体験の向上か。

  • 複数の業界で共通的な課題か、業界特有の課題か、個別の課題か。

  • 魅力的機能か、当たり前機能か。

  • 競合サービスに対する劣位解消か、独自の提供価値の強化か。

  • どのビジネス指標を重視するか。

  • 緊急性、タイムリー性の高い短期貢献への対応か、中長期の戦略的機能開発か。

さらに実際にプロダクトの仕様設計・デザインを行うにあたっては、様々な業種のオーナーさんに既に使っていただいているため多様なユースケースやニーズを理解する必要があることと同時に、特定のユースケースに特化した設計にすることが難しく、毎回非常に頭を使います。

オーナーさんのお商売の環境はますます複雑化していますが、その複雑な課題を解決するためにどうしてもプロダクト内に複雑さを内包することになります。多くのオーナーさんにとって使いやすいUI/UXを実現することの難易度は非常に高いですが、エンジニアとデザイナー、セールスやCSのメンバーも巻き込んで最終的にオーナーさんにデリバリーをしきること、そして多様なオーナーさんからさまざまな観点でのフィードバックをもらって学びを得られることがマルチバーティカルSaaSプロダクト開発の醍醐味と言えます。

前回のnoteでもプロダクトマネジメントの役割として「ストラテジーと実装の一致状態を継続させる」という定義に触れましたが、プロダクト戦略をどのように考えるかはもちろん、まさにその戦略と実装をいかに一致させ続けられるかが肝だと実感しています。

生活の周りにある様々なサービスがターゲットになる面白さ

STORES 予約 は、オンライン予約システムという白地の大きい成長市場において、予約プロダクトとして単体でもNo.1を目指すとともに、中長期的にはECやレジ、決済も含めたSTORES プラットフォーム としてオーナーさんのお商売の課題をまるっとすべて解決することを目指しています。STORES プラットフォーム についてはぜひ下記の記事をご覧ください。

STORES 予約 に限らずですが、ヘイの提供しているプロダクトは身近な人にも使ってもらっていたり、自分が購入者・予約者として利用することもあり、事業・プロダクトの成長を直に感じることができます。また、事業数値や利用状況データからは世の中の変化がリアルタイムに伝わってきます。新しい業態のビジネスを知れることも面白さの一つです。

今回は STORES 予約 をマルチバーティカルSaaSとして再定義した話をさせていただきましたが、まさにマーケットごとにPMFを繰り返し達成していかなければいけません。そしてSTORES 予約 は、まだまだPMFしていない領域だらけです。どんな順番で何を実施していくのか、答えは当然ないため探索と深化を繰り返していく必要があります。

予約システムを利用いただくことで、予約の在庫情報、顧客情報、サービス提供実績のデータ化が進み、データの活用によりオーナーさんの業務負担を減らすだけでなく、よりよいサービス提供をするためのご支援ができる様々な展開の可能があると考えています。

そんなSTORES 予約 のプロダクト開発に少しでも興味をもってくれた方がいれば、是非 @miyahirok までDMいただければ嬉しいです!


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Hiroki Miyasato
heyでプロダクトマネージャーをしています。