フリーランスと借金の話

フリーランスになって4年ちょっとが過ぎた。「好きなことをして生きていく」というのはだいぶ達成されていて、会社員時代に抱えていたストレスはほとんどない。もちろんゼロというわけではないにしろ、フリーランスになったことでだいぶ生きやすい人生になったと思っている。

そんなフリーランス人生を謳歌している僕の最大の問題点が、借金の存在である。これは今まであまり触れてきていない話題だと思うし、やたらめったら人に話すことではないとも思うけど。結局これを解決しない限り「会社員の方がよかった」という点を１個だけ残すことになってしまう。

フリーランスという生き方と、借金の存在に、一度真剣に向き合ってみたいと思う。

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僕には現在、借金が200万円ほどある。多いのか少ないのか、それは人それぞれの感覚によるとは思うけど、現実の金額としてある。これは奨学金とか親に借りているお金ではなく、某銀行のカードローンで借りている金額だ。200万円というのは、僕の借りれる限度額。利率もそれなりに高く、毎月の返済金額は2万円だが、そのうち利子が15000円ほどで、元本の返済は5000円程度しかない。もちろん、この返済額で返していくと総支払額は借りた額の倍以上となるため、どこかで一括返済が望まれる。

この「借金200万円」の理由は何かというと、それこそまさしく、フリーランスになったことによる収入の低下であるといえる。一度会社員を経験している身としては、収入が減ったからといって、いきなり生活スタイルをガラッと見直すのはなかなか大変で、実際支出はあまり減っていないと思う。その分の補填で、いつの間にか借金は増えてしまっていた。

映像撮影の仕事は機材を買い足したり買い替えたりで結構な金額の投資金が必要である。投資に全く回さなければ、収入も増えなくなるだろうし、ある程度の機材投資は必要だった。同時に、仕事が少ない状態で生活はしていかないといけないから、独立当初ほど多くのお金が必要になる。実際、会社を辞めた時点では貯金が200万円ほどあったのだが、それは1年も経たずになくなってしまい、そこから借金生活に突入したのである。

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なぜ借金に手をだしたかと言われれば、それは「歩みを止めたくなかった」からだった。独立当初、仕事も少ない中で、最速で仕事を軌道に乗せたかった。そのためには、全力投球するしかなかったし、余計なことはしたくなかった。要するに、時間を金で買うような感覚。人生にレバレッジをかけるために、僕は借金という選択をした。

ちょっと考えれば、「借金をしない選択」というのも十分考えられた。例えば、実家に帰る。家に多少のお金は入れることになっても、家賃・光熱費・ある程度の食費など、かなり節約することになれば、こんなに借金することなく生きることもできたと思う。もしくは、お金がなくなった時にアルバイトをするという選択肢もあった。実際、僕は会社を辞めてから、アルバイトをしていたのは2か月だけで、それもすぐにやめてしまった。

ただ、ここで僕は、借金をした自分のことを後悔はしていない。あの時借金をしていなければ、今の時点で今の自分にはきっとなれていなかった。アルバイトや、実家に帰るなどの寄り道をしていては、遠回りになる。それに、最終的にはそのアルバイトを辞め、実家を出ることにどうしてもなる。だったら、最初からそんなことはしない方がいいだろう。要するに、問題を一か所にまとめる作業をしたということになる。

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借金が200万円になったのはいつだったか、多分もう2年半くらい前にはそんな金額になっていたと思う。2016年から2018年にかけて、ゆっくりとその金額は増えていった。借りていく中で、利率を計算して、「あー、これ以上の金額を借りると返済額が大変なことになるなー」という金額に到達した時のことはよく覚えている。

それでも、生きるために借金をした。家賃を払うため、新しい機材を買うため、日々の生活のため、息抜きの飲み会のため…そしていつしか、僕の借金は2018年で限度額いっぱいになった。だが、それ以降、僕の生活は、限度額ぎりぎりの状態で、一応、なんとかやっていけるようになった。

「借金が増えるのが止まった」

これは、僕の中ではなんとも嬉しい結果だった。やっと、やっと、自分の収入で暮らしていける基盤を作ることができた。借金が増えない。つまり借金に頼らなくて生活していけるようになるまで、2018年まで、会社を辞めてから実に3年ほどかかった。

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僕は借金をして本当に良かったと思っている。回り道をせず、全速力で今のポジションまで登ることができたのは、足踏みをしなかったからだ。そのためにレバレッジを利かせるのは、大切なことだった。

借金というのは、金融機関からお金を借りることだと普通は思うけど、僕はちょっと考えが違う。未来の自分に、お金を借りるのだ。借りたお金を、過去の自分に返してあげるんだ。あの頃に自分に、とてもその時の収入だけじゃ暮らせていけなかった昔の自分に、ありがとうと言いながら、お金を返してく。それが借金の正体だと思っている。

昔より稼げるようになった自分。もちろん今の自分が生きるためにも使うが、頑張ってくれた昔の自分に、お金を払ってあげたい。だから、そのために、もっと稼げるようにならないといけない。稼ぐことは、自分への恩返しになる。

僕は今、借金によって生かされている。