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SUBARU ff-1 レストアプロジェクト 第12回

こんにちは。宮城スバル本社です。
今回はシリンダーケースの分解整備の模様をお届けします。

本レストアプロジェクトの目的は、このff-1を新車と遜色ない状態に戻すことにあります。ボディ等の外装だけではなく、エンジンも完全に分解して清掃と修理を行います。

エンジンにはシリンダーライナーというエンジンを構成する筒状の部品が組み込まれています。 役割は筒の中でピストンを、気密性を持たせながら滑らかに摺動させることです。
現在の主流はドライ式といって、シリンダーケースとライナーが一体化しているものが広く普及していますが、 EA61型のライナーはウェット式で、シリンダーケースとライナーが分離式となっており、エンジンを完全に分解する際にはライナーも外す必要があります。

第3回のレストアプロジェクト時点で分解は既に完了していて、その時の模様はお伝えしてはいませんでしたが、なかなかの重労働でした。

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本来の正しい分解手順として、ピストンピンを抜いてピストンとコンロッドを切り離し、ブロックを分解していきます。ピストンピンを抜くためにはシリンダーケース脇にあるサービスホールプラグ(以下、プラグという)を開けなければなりません。しかし、このプラグが全く緩みませんでした。組付け時には絶対に必要となるサービスホール、このプラグを外さないと組付け時に困ってしまいます。よって、ブロックを分解してから力がしっかりとプラグに掛けられる安定した状態で緩めることとしましょう。まずは分解を優先にクランクシャフトとコンロッドを結合しているコンロッドキャップから分解することにしました。
この作業は普段の作業でも稀ですが、エンジンがロックした際に行う分解手順で、クランクシャフトとコンロッド、ピストンが結合されている状態でブロックをできる限り開きます。狭いスペースから工具を入れて、コンロッドキャップを外す非常に根気のいる作業ですがEA61型エンジンはどうでしょうか。

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ん~、やはりスペースが狭く工具を自由に動かせないため、工具を動かせるスペースを探りながらクランクシャフトを回し、少しずつボルトを緩めていきます。
このエンジンは4気筒なので、4つのコンロッドキャップがあります。合計8か所のボルトを外すとても根気の必要な大変な作業でした。

時間は掛かりましたがシリンダーケースを分解できたので、次はサービスホールプラグの取外しです。元々、シーリング剤が塗布されて組付けされている部分でそれにより固着しているのでしょう。どんなに力を込めても全く取れません。アルミ製のブロックの為、過度な熱入れは厳禁。細心の注意をはらい、バーナーで熱入れし大きいスピナーハンドルでやっと取外すことができました。

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次にシリンダーライナーとピストンピンの分解です。
シリンダーライナーの取外しはプレスを使用し簡単に外れましたが、今度はピストンとピストンピンに問題が…。

ピストンピンをピストンから抜く時に渋さを感じていたので再度組付けし摺動を確認するとピストンピンのあたりが強く、ピンがスムーズに挿入しづらい、または回転しないことが判明。おそらく熱による変形が原因と考えられます。

ここでようやく今回のレストア作業となるのですが、ピストンのピンを挿入する穴を人差し指につけたコンパウンドでひたすら磨く作業を行いました。
(あまりにも地味な作業だったので写真を撮っていません。スミマセン。)

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数時間かけて磨き続け、4つのピストンになんとかピンが入るようになり、シリンダーケースやクランクシャフトの清掃も完了したことで、一度エンジンを仮組みすることにしました。ところが、ピストンをシリンダーライナーに挿入する際に、「パキッ」。ピストンリングが折れてしまいました…。これは直せそうにありません。
非常に困った事態になりました。

今回はここまで。次回もお楽しみに。

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