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足関節(背屈・底屈のバイオメカニクス)

足関節は、脛骨、腓骨(下腿骨)、距骨、踵骨で構成される距腿関節、距骨下関節・遠位脛腓関節の複合関節のことである。複数の関節が連動し、複雑な動きを実現する足関節だが、なかでも底屈・背屈運動のバイオメカニクスを知ることが、クライアントへのトレーニング指導、ケアに大きく役立つ。

1)足関節の背屈

一般的に、足関節背屈の参考可動域は正常値で20℃とされている。10°以下の場合、他関節に対して上行性のストレスが発生し、障害を引き起こしているケースが考えられる。なお、ランニング時には約30°、階段昇降や屈む際はそれ以上の背屈運動が要求される。

足関節背屈運動は、距腿関節の「背屈・外返し・外旋」の3つの複合運動により生じるが、下腿、距骨下関節、ショパール関節、リスフラン関節、足趾など、各部位が背屈運動に制限を及ぼしている。

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(1)下腿外旋

荷重位において足関節背屈時、下腿外旋がある場合、同時に足部の内返しを誘発するため、距腿関節の外返しの運動制限=背屈制限が起こる。

(2)脛腓関節の可動域制限

足関節背屈時、近位脛腓関節では脛骨に対して腓骨が前上方へ滑り、遠位脛腓関節では腓骨が後上方へ滑り外側に変位する。この動きが制限されると、距骨下関節の動きにも影響を及ぼす。

(3)距骨下関節の外返し制限

距骨下関節は、前額面上の踵骨の内返し・外返し運動に関与する。足関節背側時に外返しは欠かせないものの、可動域が乏しく制限を起こしやすい。

(4)距骨の滑り

足関節背屈時、距骨は果間関節窩に入り込む形で、後方に滑るように動く。アキレス腱、後方関節包の短縮、長母指屈筋の伸張性低下が起こると、踵骨の背屈および距骨の動きを制限しやすい。

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