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1)解糖系

解糖系は、複数の生化学的反応を経てグルコースをピルビン酸・ATPへ分解する経路である。解糖系の反応は細胞質で起こり、一連の酵素を介して6個の炭素を持つグルコース分子を、3個の炭素を持つピルビン酸分子2個に分解。解糖系は酸素を必要としないため、嫌気性生物において支配的な異化反応とされる。

しかし、解糖系は酸素の供給が制限された環境において、好気性生物にも有用な経路でもある。

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1)−1 クエン酸回路 (クレブス回路)

クエン酸回路は別名クレブス回路としても知られ、解糖系に続く細胞内グルコース代謝の次のステップである。クエン酸回路はミトコンドリアで起こり、解糖系の最終産物ピルビン酸の誘導体であるアセチル補酵素A(アセチルCoA)により開始される。

クエン酸回路は酸素を必要とし、二酸化炭素と水を副産物として産生する。この経路は高エネルギー分子の※NADH、FADH2、ATPを産生する、一連の酸化還元反応で構成される。解糖系では、グルコース1分子からそれぞれに2分子のピルビン酸が産生される。

※NADH
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド。全ての真核生物と多くの古細菌、真正細菌で用いられる電子伝達体

※FADH2
フラビンアデニディヌクレオチド。いくつかの代謝反応に必要な酸化還元反応の補因子

つまりクエン酸回路2周駆動され、1周当たり二酸化炭素が2分子、NADHが3分子、FADH2が1分子、ATPが1分子ずつ産生される。クエン酸回路そのものはそれほどの量のATPは産生しないが、細胞の重要なエネルギー通貨であるNADHとFADH2を産生。これらは酸化的リン酸化に共役した、電子伝達系の電子担体としての役割を果たし、高エネルギーを産生する。


1)−2 酸化的リン酸化(OXPHOS)

細胞呼吸(糖代謝)の最後の段階。酸化的リン酸化はミトコンドリアの内膜を挟んで起こり、一連の酸化還元反応において、ミトコンドリア内膜にある5つの膜貫通型酵素複合体が、電子を1つの分子から別の分子に移動させる(電子伝達系)。

酸化的リン酸化では、電子の受け渡しで得られるエネルギーを利用してプロトンポンプを駆動し、ミトコンドリア内膜を横切って※ミトコンドリアマトリクスから膜間腔へプロトンを輸送し、※プロトンの濃度勾配を形成させる。これが酸化的リン酸化を生じさせる電気化学的勾配の起源でもある。

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