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脂質摂取と糖代謝、たんぱく質代謝の関係

スポーツ栄養学において、北米の栄養・スポーツ医学関連団体が示した「脂質摂取」の公式見解は以下の通りである。

・脂質摂取は、一般人向けの食事摂取基準値を参考にしつつ、個別化が必要である。
・減量で脂質摂取量をへらす場合でも、総エネルギー比の20%未満とならないようにする

※なお、本レポートでは低糖質・高脂質食について「メリットも報告されるが、必ずしも推奨される食事ではない」という考え方を示している。
(2016年発表「Joint Position Statement:Nutrition and Athletic Performance」より)

糖質、たんぱく質と比べて特筆すべき項目は少ない。そのなかから、脂質摂取が糖質、たんぱく質それぞれの代謝に与える影響を考えていきたい。

(1)運動(長距離走)と糖代謝(および脂質代謝)の関連

吉岡らは、19歳〜23歳の健康な男子学生(長距離選手と一般学生)を被検者として、長距離走(3,000〜20,000m)を実施時の血糖値、血中遊離脂肪酸濃度の推移を測定(速度は全力走に近い形とした)。

すると、ランニング初期では血糖値は安静時よりも上昇。この状態は、長距離選手では10,000m以上まで、 一般学生では1,000〜2,000mまで続いたことが確認されている。ランニング距離を延長すると、血糖値は安静時の値の53〜90%に減少した。

安静値を100とした場合の血糖値の推移
①一般学生
・2km時点 110〜120
・5km時点 64〜91
・10km時点 58〜72

②長距離走選手
・10km時点 123〜174
・20km時点 53〜93

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