見出し画像

ビタミンDとパフォーマンスへの影響

(1)ビタミンDの働き

ビタミンDの代表的な役割として、腸管・腎臓でのカルシウム、リンの吸収を促進し、骨形成・成長を促すというものである。実際に、一般やアスリートを対象とした研究でも、ビタミンDの摂取量と骨密度、骨折との関連を調べたものが多い。ビタミンDの欠乏は、骨の軟化・弱化をもたらし、骨粗鬆症やくる病といった症状の発症リスクが高まる。

1)筋細胞への影響

近年、骨格筋細胞にビタミンD受容体(VDR)が発見されている。VDRを欠損したマウスによる実験では、除脂肪体重の減少、自発的な車輪走行距離の減少、平均走行速度の減少、握力の減少など、様々な運動量・能力の減少が見られたという。

運動量・除脂肪体重減少に伴い、マウスの脂肪量は13%→20%と増加した。こうした結果から、ビタミンDが骨格筋細胞の機能調整に働いていることが示唆されている。

(2)ビタミンD不足の問題

世界各国の研究で、アスリートのビタミンD不足が問題視されている。プロフットボールリーグ(NFL)のチーム、ピッツバーグ・スティーラーズを対象とした研究で、1か所以上の骨折が確認された選手は、ビタミンD量が非常に少なかったということが、2015年発行の米スポーツ医学誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・スポーツ・メディシン」で発表されている。

ここから先は

2,843字 / 1画像
このマガジンを購読すると栄養学的な知識がかなりマニアックに身に付きます。月2本以上読まれる場合は購読されたほうがお得です。

Nutrition Special Magazine

¥1,980 / 月 初月無料

栄養学の知識を様々な分野から解説していきます

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?