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腸腰筋について極める

腸腰筋は、腰椎と大腿骨とを結ぶ筋群の総称であり、腸骨筋、大腰筋、小腰筋が含まれる。小腰筋は作用が非常に弱いほか、約50%のヒトが欠如しているともいわれるため、今回は腸骨筋、大腰筋の2筋を主に扱っていきたい。

キャプチャ-2

(1)バイオメカニクス

腸骨筋は名称の通り、腸骨に直接付着するため、大腰筋よりも直接的に骨盤前傾に作用することが分かる。

腸骨筋
起始
 腸骨上縁、腸骨窩
停止 小転子
作用 股関節屈曲・外旋
支配神経 腰神経叢の枝(L2~4)

一方で、大腰筋は深層・浅層の2層に分類でき、浅層はTh12~L4の椎体に付着し、深層は全腰椎の横突起に付着する(個人差あり)。

大腰筋
起始
 Th12~L4椎体、肋骨突起
停止 小転子
作用 股関節屈曲・外旋
支配神経 腰神経叢の枝(L1~3)

腸骨筋・大腰筋はいずれも小転子に停止するが、その途中ではほぼ合流せず別々に動く。大腰筋は骨盤を通過して、そのまま小転子に付着するため、骨盤への作用は少ない。椎体の前弯、股関節屈曲を伴いつつ、骨盤を前傾方向へ動かすという筋肉である。

大腰筋はその起始部の特徴により、多くの筋と筋連結する。日本では「腰痛=大腰筋」と言われるほど、腰痛との関連性が深いと言われている。その要因の一つとして多くの筋群と関連していることが挙げられる。

そのなかでも、大腰筋は特に腰方形筋、横隔膜との関連が深い。

1)大腰筋の重要な作用

大腰筋には大きく2つの重要な作用がある。

①大腿骨頭の求心化
大腰筋は起始停止の関係性で、大腿骨頭を寛骨へ押し込むような力が働いている(大腰筋以外では、内閉鎖筋が後方から大腿骨頭の求心化に働き、それぞれで支えている)

②腰椎の前弯
股関節の軽度屈曲位(約30°)で特に強く働くとされている。

2)大腰筋の外旋作用

直立位において、大腰筋の外旋作用はほぼ働いていない。同作用が強く機能するのは、内旋位→外旋位へ変位するだとされる。

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