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レンタル猫のハイジ

ハイジは近所の同級生の家の猫だった。

毛が長くてずんぐりしていて、結構いい年のオバサン猫。何でハイジ何だろう?と不思議なくらい。

当時中学生だった私は猫を飼いたくて、でも家では飼えなくて。

外で猫を見かけると直ぐに近寄って、猫さんの機嫌がよければ、ちょっとだけ戯れさせてもらうくらい。

          ※※※

同級生がハイジを貸してくれたのは、たまたま母親同士が知り合いで私の猫好きが話題に出たのだ。

『そんなに好きならレンタルしてあげるよ。』

もちろんお金は取らないけど、扱いが分からないだろうから、妹と一緒にね、と。

同級生の妹は、まだ小学2年生。
でもハイジのことはよく知っていた。

今で言う保護猫だったこと。
あまりおもちゃでは遊ばないけど、新聞紙は凄く好きなこと。
チャイムの音が怖いこと。
背中の一部分の毛がすぐに絡まること。

ハイジのこと以外も色々教えてくれた。

クラスで流行っているキラキラのロケット鉛筆。
昨日やってたアニメのあらすじ。
今度のピアノの発表会で着るドレスのこと。
同じクラスの好きな男の子のこと。

そうかそうか、妹っていうのはこんな感じなのか。
よっぽど私より大人っぽいじゃないか。

男系一族で育った私には縁のなかった世界。

フワフワした猫とキラキラした妹のレンタル家族。

これはこれでとても良いもんだなと、私は楽しんでいた。

そんなレンタル生活は約2年ほど続いた。

その後、私も彼女たちも成長し忙しくなり、だんだんと会わなくなった。

          ※※※

後にも先にも猫や妹をレンタルしたのはこの時だけだけど、不思議な2年だったと思う。

毎週のように来ていたハイジと妹は、猫を見るとふと思い出すことがある。

いつかご縁があれば、また猫とセットで妹をレンタルしたいものだ。

          ※※※
最後までお読みいただきありがとうございました🍀


娘の印鑑ケース。可愛くてズルい。


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