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手塚治虫 (アドルフに告ぐ)

もう、名作中の名作!

毎度の事ながら、手塚先生の話の内容、話の組み立て方には脱帽する。
長編になると、よく使われる手法として、一見全然別の話が平行して描かれ、それらが最後に全て合わさるのだが、その合わさった時の「快感」!・・・何度味わっても気持ちがいい。
勿論、この「アドルフに告ぐ」でもその手法が使われている。
ただ、もう新たな快感に出会うことがないのは、非常に哀しい。
手塚さんが亡くなってもうかなりの年月が経った訳だが、あれからも漫画の世界は相変わらず続いている。当たり前だ。と、思われる方もいらっしゃるだろうが、あの訃報を聞いた時は、真剣に「日本の漫画界はどーなるんだー!!」と心配したのだ。

さて、この作品中で私が一番気に入っているのは、憲兵隊の上級将校の本多大佐。
実に渋いいい男だ。
他にも、魅力的な登場人物は数多いが、挙げているとキリが無いので、これだけにするが、手塚さんの持ちキャラ達も非常にいい悪人ぶり(いい悪人ぶりって何か変な表現だけどね)をみせている。

こんなに凄い作品なのに、思ったほど有名にならないのが、ちょっと残念な気がする。
若い人から見ると、どうしても絵柄が古く感じられて敬遠されるのだろうか??

絵柄がどんどん古くなるのは仕方ない。しかし、話はいい。・・・という事で「ブラック・ジャック」を他の漫画家たちに描かせた訳でもないかもしれないが・・・あれは、描いた漫画家さんたちには、非常に申し訳ないが、「ブラック・ジャック」のパロディか、ファンが作る同人誌程度にしか見えないんですよね。

手塚作品は所謂「ダイヤモンド」のようなものだ。
例え、年月が経って古くなったとしても、ダイヤはダイヤ。普通の漫画家の手におえるようなものではないのだ。
ダイヤモンドを加工するのにはダイヤモンドを使うように、手塚作品をリメイクするのにも、物凄い力量のある漫画家でなければ、無理なのだ。

・・・で、現在、それが出来ている唯一の漫画家が浦沢直樹氏であり「PLUTO」のみが手塚作品唯一のリメイク成功作品だと、私は思っている。
勿論、勝手に私が思っているだけでそれは違う!と思っている人もいるだろう。そういう人たちには「ごめんなさい」と謝っておこう。本当にごめんなさい。

この「アドルフに告ぐ」なども、そういうリメイク版なら歓迎するが、これは、どちらかというと人間の演じるドラマ版がいいかもしれない。
2時間程の映画では、この魅力を表現するのは難しいだろうから、出来れば、1年間ぐらい、大河ドラマっていう感じですればどうだろうか?
いい監督、いい脚本家、いい俳優に恵まれれば、かなり凄いものが出来ると思うのだが、・・・無理かなぁ~???

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