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あすなひろし (哀しい人々)

(昭和52年~昭和55年発行)

これを初めて読んだのは20代前半だった。
いい作品だな~。と思った。
それから数年に一回程度フト手にとって読んでみる。
自分が歳をとれば取るほど、この作品の「哀しさ」が身にしみてわかってくるように思える。

1巻、表紙カバー折り返し部分の説明文より
ビルの谷間に、ひしめく群衆の中に、哀しみを背負った男と女の影が流れる!
流れる雲に放浪を知り、くりかえす波に倦怠を感じ・・・・・・それでも生きる哀しい人々の哀しい物語!
あすなひろしの哀切の珠玉集!

これは短編集なのだが、どれも全て素晴らしい。
世の中のいいことも悪いこともいっぱい見てきた<大人の哀しみ>
誰もが皆、精一杯生きようとしている。
誰もが幸福になろうともがいてる。
そして誰もが自分の周りの人たちの幸福を願っている。

コピーライターの糸井重里は彼の作風を「真っ昼間の悲しさ」と評したらしい。
確かにそういう感じの作品だ。

<哀しい>という言葉には
一言で言い表すことの出来ない何かが詰まっている。
一人ひとりの人生にあった
楽しいことばかりではない人生の重み。
決して大声を出して泣き喚く悲しみではない。
じわ~っと涙が溢れてくる、そんな哀しみだ。
そして、そういう哀しみには心の奥底にほんのり温かいものが必ずあるのだ。


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