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偏差値30台の医道②

高校を卒業すれば、自動的に大学生になれるようなシステムが、人生には備わっていると思っていた。しかし、現実はそう簡単ではなく、僕が6万円の受験料を払った受験会場では、いままでのどんなゲームより難解な文字が並んでいた。テストを解き終わるのは誰よりも早かった。わからない問題しかないので、思考のプロセスが存在しないからである。不思議と危機感はなかった。この時はまだ、無限の自信により自分が合格すると思っていたからだ。

ゲームで言うところの、ボスとの力の差がありすぎて力量を図ることができない状態だったのだ。

高校卒業までほとんど勉強をしてこなかった、僕の医学部受験は、まず医学部がどれだけ難しいか、それもわからない状態から始まっていた。敵を倒すどころか、目の前にいるのが敵かどうか、それもわからなかった。

そもそも、高校の中での試験だって、敵の大きさが図れずに勝負していた。戦場にひとたび出ようものなら、ぼこぼこにされて帰ってくるのが常であった。

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