見出し画像

緊急事態宣言が解除された今だからこそ、テレワークとコミュニケーションについて考える②

 これは「緊急事態宣言が解除された今だからこそ、テレワークとコミュニケーションについて考える①」の続きとなります。
 前の投稿では
  ・テレワークという概念が意識されるようになった背景
  ・テレワークが脚光を浴びる契機となったCOVID-19の蔓延と、その沈静化によってテレワークへの取り組みを縮小化する企業が増えている現状
  ・テレワークでのコミュニケーションよりも、直接(会って)コミュニケーションした方が良いという主張と、その意見に対するモヤモヤする感情…。
 について、自分なりに考えをまとめて書いてみました。

 今回はテレワークコミュニケーションに関して発生した事例や意見について、Webや新聞記事や書籍などから引用し、このような状況下に置かれていながら全くテレワークをして来なかった私なりに考えた、テレワークへの取り組みというかテレワークコミュケーションとの向き合い方について考えをまとめていきたいと思います。

どうしてそうなるの?

まず、テレワークコミュニケーションで発生しがちな事象について、新聞記事、Web記事や書籍に書かれているものをいくつかピックアップして見ることにします。
・「余計な連絡は相手に負担をかける」とすることを控えていたらリーダーやマネージャからのフォローが大量にやって来てウザい。
・チームのコミュニケーションをよくしようと思ってライトコミュニケーションをしようと思ったら、相手は集中タイムに入ってきて気まずくなる。
・ライトコミュニケーションなのにやけに堅苦しい口調やチャット文面がイヤで参加する気になれない。

DXにどう向き合うか?で「あるある」に対処する

 まず、一つ目の「余計な連絡」に関してですが、朝会で済むケースと1日の中で定期的なフォローが必要となるケースは当然別れると思います。それは業務状況やメンバのスキルにもよると考えるため判断は難しいと思います。
 前者はともかく、後者の場合は、やはりあらかじめ確認するタイミングと方法を明確にする運用が為されていれば大きな問題は発生し得ないことではあると思います。
 しかし、それが厳密に運用できているか?と言う点には疑問が残ります。
 これは、前述した通り、業務内容やメンバのスキルによる差や、チーム内での意識や見解の相違について合意が取れていないところに原因ではないかと考えています。
 対策としては非常にアナログですが、その判断をタスク(チケット)の作成時、あるいは朝会などのタイミングで確定(合意)していくしないかな?と思います。
 あるいは、時間は緩く(時間帯として)設定し、各メンバに自主的にライトに報告してもらう形をとる方法が考えられます。
 一方で、こういったことを徹底することは非常に堅苦しくなるような気もしなくもありません。
 おそらく、そういったルールがないことが原因なのかもしれません。ルールがないからついついコミュニケーションが疎かとなり、状況が見えないところに不安を感じてしまうことが原因ではないかと考えます。
 ルールとしては設定するものの、状況が安定しない場合、緊急を要する状況下にある場合、業務経験の浅い若手など特別フォローが必要な場合に適用をとどめながらもルールを設定すべきであると私は考えます。

 二つ目の「話しかけるタイミング」ですが、日経BP社の「テレワーク大全」では、コミュニケーションツール(アプリケーション)のプレゼンス機能を利用するという対処法が挙げられておりました。
 プレゼンス機能とはコミュニケーションツールを利用可能なメンバが現在連絡を取れる状態かあるいは別件の都合や不在などで連絡が取れない状態かを示す機能です。この機能の中で集中したい時間帯は「取り込み中」「連絡不可」というステータスがあるので、意図的にそのような状態に設定することでコミュニケーションを取ること自体についてOK、NGを示すという方法です。
 これは一つの解決方法だと思いますし、これで全ての問題が解消するのであれば問題無いと思いますが、プレゼンス機能がもつステータス自体が少ないと感じている人が多いのではないでしょうか?
 例えば「雑談OK」「雑談はNGだけど、業務的な相談事なら(仕方ないけど)受けられる」「緊急事態でもない限りは話しかけないでほしい」と言うところが区別されてもいいと思います。
 また、ツールで突然コール通知がくるものあんまり気分の良いものではありませんし、軽い雑談なのにいちいちチャットで「今お話しできますか?」と話しかけるのもなんかおかしい気がします。
 以上に関して、私はいっそのことライトコミュニケーションのツールを別に用意してしまうのもありかなと思っています。
 例えば、社内コミュニケーションはMicrosoft OfficeのアプリケーションであるTeamsを使用し、社外に対してはメジャーな存在となっているZoomを使用するという使い分けや、あるいはDiscordなどといったサービスで用途別のチャットルームを作成し、話しかけられていい状況下の時のみ入れるような感じですね。
 フレックスタイムで言うところのコアタイムの一部を雑談というかライトコミュニケーションを推奨する時間帯にしてしまうのも一つの方法ではあると思います。

三つ目も基本的には二つ目と同じ考えです。
 ツールを切り替えるか、時間帯を切り替えるかはそれぞれではあると思いますが、切り替えるスイッチを用意して堅苦しさといった雰囲気を排除できる環境が必要ではないか?と私は考えています。

テレワークは働き方のDXじゃないの?

 「弊社はDXを推進します」でも「リモート勤務はできません」は理屈としておかしいのではないかと思います。リモート勤務は業務のDXです。
 社内情報システムがどんなにPCから利用できるようになったとしても、会議室でレビューをする、紙面で出力しなければならない、判子を押してもらう必要があるなどということによって、出社しなければ仕事にならないのであれば、それは結局DXでもなんでもないように思います。
 そして、セキュリティや承認でテレワークで無理が生じるのであれば、それを解消するサービスがないのか?そのニーズがないのか?という疑問にもぶち当たります。解決策がビジネスに繋がる可能性がないとも言えません…というか、そういうのがDXじゃないの?という気がしてならないのです。
 確かに現実的に困難であったり、無理が生じたりすることはあります。
 ただし、それでも可能な部分から少しづつでも取り組むべきだと思いますし、それを何にもない平凡な日常業務の中に組み込む必要があると私は考えます。
 なぜならそれがBCPに繋がるからだと私は思うのです。

BCP(事業継続計画)の観点から考える

BCPとは、Business Continuity Planningのことで、自然災害や有事や危機に直面した時、事業の損害を最小限に留め、事業の継続を主軸にした復旧計画などをまとめたものです。
BCPは2011年の震災で大きな注目を浴びました。災害により受けた被害・損害は甚大でした。しかし、日本以外の世界に目を向けてしまえば、それでも事業を継続し続けているのです。ですから、事業の継続というのは非常に重要な課題です。
 ただ、現状は多くのビジネスマンにとってBCPは「安否確認という避難訓練のようなもの」という印象を強く受けます。
 実際に2020年から21年にかけて突然出社ができない状況に陥った時、多くの人は大混乱し、挙げ句の果てには強制的に出社率を下げる目的で補助金が出され強制的に出社させないという対処がされました。
 大半の人は普通に生活し、業務もできる状況において、外出だけが制限されたのです。
 このようなことは滅多に起こる事ではありません。しかし一方で、そういったことが今後も起きないとは限らないことが示されたのも、事実として存在していることが明らかになりました。
 逆に言えばCOVID-19だったからこそ、蔓延防止のために出社できないからテレワークに移行する。その後、制限が緩和されたからテレワークを取りやめ出社を要請する。ということができたのです。
 「経営者の判断だから」「上司が言うから」…は、確かにそうなのですが、では「COVID−19以外でこのような事案に直面した場合はどうなるのか?」という話になります。
 かなり極論になりますが、経営者や上司の住む近辺にピンポイントで自然災害が発生したり、ミサイルや爆弾が飛んできたことを考えたらどうでしょう?
 それ以外の人は出社している。そんな時に会社になければ仕事にならない。「今すぐ会社に来てハンコ押してくれ」ができるのか?という話になります。
 まぁ、そんなに大袈裟な話でなくても、朝一番で承認印だか決済印だかを押してもらうことを約束してたのに、関係者の電車が大幅に遅延して、いるべき時間にいなくてイライラする…なんてことは日常でもあり得ることなのです。

そういうとこやぞ

 私の立場は一貫して「別にDXだからといって今すぐ全面的にテレワークに切り替えるべきではないし、そんなことできる訳がない」というところです。
そもそも私がテレワークに適用できてないわけですから、そんなことは全く考えておりません。
ただし
・その会議、対面でする必要がある?
・そのオンラインミーティング、本当にカメラや音声が必要?
・メールやチャットでも済ませられるでしょ?それでよくない?
と思うことは多々あります。
 普段はみんなLINEでライトコミュニケーションをとっているのにも関わらず、テレワークになると途端に雑談がしにくく感じるというのは、別にテレワークコミュニケーションの問題ではなく、業務時間中に業務ツールでのライトコミュニケーションをするという行為自体が憚れるというか悪い印象を持たれていると私は感じています。
 私は、業務時間に多少雑談することに関してはけしからんとは思っていません。チームを円滑に運営していく、雰囲気を良くするためにちょっとした無駄話や豆知識を話したり聞いたりすることは自分は賛成ですし、むしろ取っていきたいという立場です。
 さらに、そのような雑談やライトコミュニケーションの中で違った切り口を見つけ出したり、アイデアが生まれたりするとも思っています。
 ただ、本来の業務連絡にそのような雑多な情報が紛れてしまうと、業務に影響を及ぼす可能性があると思います。ですから、私はツールを分けるとかチャネルを分けるなどして運用面で工夫することでテレワークコミュニケーションを組織としてより良い方向に活用していくのが良いのではないか?と思っています。
 そのためには、テレワークで活用するであろうツールを普段から積極的に活用できる機会を用意し、いざとなった時にスムースに移行できるように準備していく必要があると考えています。
 不満は言うものの、ではどうすればいいのか?が議論されないまま流れていいく。これは組織の問題なのでしょうか?
 確かに「そんな議論をやっても無駄」っていう方向に考えが向かってしまって取り組めない、メンバの声を掬いきれない組織の問題なのかもしれません…。
 ただ、(弊社も一応リモートワークができる環境はありますし、活用している部署もあり、そういったメンバから)リモートワークのやりにくさ、抽象的な愚痴を眺めつつ、具体的に何が問題か?どうすれば良くなるかはあまり議論されない。
 そんな状況を眺めつつ「そういうとこやぞ」とも思いながら、モヤモヤする日が続くのです。

 「DXって一体何なのでしょうか?」とぼやきつつ、今回の話はここで終わりたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?