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緊急事態宣言が解除された今だからこそ、テレワークとコミュニケーションについて考える①

元々はDX・働き方改革の一要素だったテレワーク

  テレワークは、注目される機会はあまりありませんでしたが、以前から働き方の一つと方法として存在していました。「テレワーク」という若干古い響きのする言葉と「リモートワーク」といった言葉が混在するのはそのような事情があるのだと思います。
  テレワークが大きく注目されるきっかけとなったのは、2018年9月に経済産業省が発表した「DXレポート」であると私は考えています。
 「2025年の崖」というフレーズと、レガシー化したシステム、その運用ノウハウの伝承が停滞し、DX…デジタルトランスフォーメーションなしにはいよいよ世界と戦えなくなるという主張で、データの活用というアプローチの提示とアジャイルという手法でシステムと働き方の軸の更新を促しました。
 そこから2年ほど経ち、ちょうど一年前に「DXレポート2(中間とりまとめ)」が公表されました。そこには以下のようなことが書かれていました。

・コロナ禍による外出自粛により、テレワークやデリバリーサービスが加速し、電子マネーや電子チケットサービスの利用が促進され、手続きのデジタル化の意識が高まった。
・しかしながら、依然として日本企業の大半はDXへの取り組みの成果が出ていないだけでなく、取り組みすら出来ていない企業も少なくない。
・危機感に乏しく、現状維持を選択している状況。

 さらにそこから1年間が過ぎ…といっても、その大半が緊急事態宣言ないしは警戒宣言という況下でしたが、10月から徐々にそういった宣言が解除され、まだ予断を許さない状況ではありますが、徐々に2年前にあった日常を取り戻しつつあるといった印象です。
 そういった中、テレワークをやめ、出社を再開する企業も徐々に増えてきました。
  例えば、2021年11月22日の読売新聞の「企業コロナ対策調査」記事によると、6割の企業がテレワークへの対応を維持・拡大すると回答する一方で、3割弱の企業が縮小すると回答したそうです。
  「テレワーク、やってみたら意外とできそう」「むしろ、テレワークの方が良いのでは?」という声がある一方で、これは一体どういったことなのでしょうか?
 セキュリティと開発環境の確保という都合で、この状況下にもかかわらずほぼ毎日出勤していたエンジニアであった私が、テレワークについて考えてみることにしました。

COVID-19蔓延による外出自粛要請により注目されることに

 そもそも、「テレワーク」「リモートワーク」といった言葉がどんな道筋を辿っていったかを自分なりに考えてみます。
  先述した「DXレポート」では、働き方のデジタルトランスフォーメーションとして「テレワーク」よりも「アジャイル」を軸にスタイルの転換を打ち出した主張をしていたという印象で、「テレワーク」に関しては、あくまでその中の一つの手段や可能となる働き方という印象が強く、そこまで大きくは取り上げていないと私は感じました。
 ただ、そこに政府主導による「働き方改革」も加わり、副業と共にテレワークも注目されるようになりました。
 しかしながら、注目こそされはしたものの結果的には「副業」の表面的な部分だけに注目が集まってしまい、大きな変革を促すきっかけにはならなかったような気がします。「副業が自宅(リモート)でできる」という主・従の関係が成り立っていた印象が強く感じられました。
 瞬間的に注目を浴びた副業に関しても、労働基準法という労務的な問題と企業の機密保持という情報管理との兼ね合いもあり、なかなか簡単に実行に移せない状況もあると思います。
 これは、会社としても個人が身につけたスキルやノウハウを行使して副業を行うことで、結果的に情報漏洩というリスクを孕むだけに全面的に支援しにくい背景があるのではないかと個人的には考えています。
 さらに、労働時間管理や、健康保険、厚生年金、労働保険、税金といった制度上の問題もあり、難しい課題を抱えているように感じます。

退っ引きならない非常事態

 ただ、テレワークに関しては、2020年初頭から大きく流れが変わりました。「COVID-19」の蔓延と対策です。

 日本におけるCOVID-19への注目は、2019年末から20年の2月くらいまでは「渡航の注意」みたいな社内メール通知や、海外メインのお客様からちょくちょく話題にのぼる程度の感じでしたが、その後2ヶ月くらいで状況が一変しました。
 出社率を下げるためにテレワークや輪番での休暇(政府支援によるもの)が始まり、一気にテレワークに注目が集まりました。
 この頃にオフィスを縮小化し、オフィス向けの賃貸物件が増加したり、テレワークが転職や就職の理由になったりするという報道がなされた記憶があります。

緊急事態宣言解除でリモート勤務を継続する企業と解除する企業

 しかし、緊急事態宣言が解除され、交通機関のラッシュアワー時間帯に混雑が目立ちだしてきました。一部企業のテレワークから従来の出勤スタイル切り替えみたいなことがニュースに報じられることもあったようです。
 一方で今でもなおテレワークを継続している企業はあり、ちゃんとメリットを享受している企業も存在しています。
 当然のことですが、出社しなければ仕事にならない仕事もあります。ただ、そうではなく、テレワークが実施できるかもしれない状況にも関わらず、ただ漠然と出社をお願いする…そういった企業も少なくはありません。
 継続するか、継続しないか判断が分かれることは当然双方にメリットとデメリットが存在しているからだと思います。ただ、そのなかで「直接会って話をすることで見えてこない部分が見えるようになる」みたいなことを主張されているケースもあります。果たしてそれは真実であったり、本心だったりするのでしょうか?
  先述した読売新聞調査記事によると、現状維持を基本とする企業でも、出社率が1割ほど向上し「コミュニケーションの取りやすさなど、それぞれの職場でメリットがあると判断している」という回答があったとのことです。
  また「テレワークを有効活用する一方、現場を大事にした働き方も実践し、部署の特性に応じたパフォーマンスを実現する」と、一瞬「その通りかも」と思う一方で「2年前であればともかく、今の緩和状況でコメントするような言葉なのか?」とモヤモヤするような記述もありました。

直面したことを思い返す…

  事実、お客様との打ち合わせはその殆どがリモートによるものになりましたが、その中でもやはり、情報共有がうまくできるケースと、うまくいかないケースと明確に分けられるケースが発生しているように感じます。
  そして、うまくいかないケースに限って、とにかくまずリモート会議を要望され、準備のないまま実施され、話題が発散したまま時間切れとなり、いくつかの宿題を互いに持ち帰ることになるのですが、議事録も発行されず、後日言った言わない論でまた紛糾し、打ち合わせを要求されるケースが目立っている印象です。
 雑談でも、話題のテンポに乗れず相当前に流れてしまった話題を引きずって流れが停滞したり、話題自体に乗れずに強引に自分の持っていきたい方向に捻じ曲げようとして微妙な流れになったりすることがあります。
 対面での雑談の場合であれば、その場を共有していてそのような事はあまりないのかもしれないのですが、リモートで実施しているが故に対面ではあり得ないような心境の変化(例えば妙な強気な姿勢になりがち)であったり、チャットログで残ってしまい普段なら聞き流すようなことでも「え?それどういうこと?」に端を発し、無駄に追求されたりイジられたりする…。

これは一体どうしてなのでしょうか?
…と言ったところで記事を分けたいと思います。


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