フルートカフェ 第5回❶ 「ヨーガと呼吸」 ゲスト:青木陽佳(ヨーガ講師)
音楽のことフルートのことを様々な角度から探求するトーク番組フルートカフェようこそ。無意識の世界に広がる壮大な冒険の旅へ一緒にまいりましょう。
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今回は呼吸と体についてお話ししたいと思います。そして、今回は素晴らしいゲストの方をお迎えしました。私の古くからの友人で、ヨーガ講師として大活躍している青木陽佳さんです。
陽佳さんのヨーガは本当に素晴らしくて私もよくクラスを受講してます。
「からだがよろこぶコンサート」を一緒に行なっていて、
呼吸と音楽つながりについて今までたくさん、お話ししてきました。
呼吸をテーマにしようと思ったきっかけ
最新のミュージックビデオ「プネウマの神殿」というアルトフルートをフォーカスした作品を制作している時に、アルトフルートの音色低い音色は、何か、呼吸が落ち着いていくような効果があると気がつきました。
プネウマの神殿はエフェクトも使っているので、ずっと低い呼吸の音が持続して
いるような状況で、、それを聞くと何かすごく集中力が高まるというか、落ち着いて安定していくような感覚があります。
プネウマは「生命の呼吸」という意味で、その呼吸の道をたどっていくと自分の体の中の神殿に出会えるって言うイメージでタイトルをつけました。
それで呼吸についてお話ししたいなぁと、思っているときに、呼吸について話すのだったら、是非陽佳さんと対談したいという事でお願いしたら、快く引き受けてくださって今回のゲスト出演となりました。
音楽と呼吸 対談
Miya (以下M) : 今回の素晴らしいゲストをご紹介します。ヨーガ講師の青木陽佳さんです。よろしくお願いします。
陽佳(以下H) : こんにちは。青木陽佳です。どうぞよろしくお願いします。
M : 陽佳さんのご紹介はヨーガ / ヨガ どちらが良いのでしょうか?
H:はい、インドのサンスクリット語の発音をするとヨーガになります。
M:なるほど!陽佳さんと私は本当に古い付き合いで、友達としても長いし,
お互い色々な道を辿って、今、クリエイティブな道でも、いろいろ一緒にできてる事が嬉しいのですが、一緒に「からだがよろこぶコンサート」というのを開催していて、私が音楽を担当していて、陽佳さんが呼吸ののガイドをやってくださっています。
M:それで、「呼吸」というとフルーティストの呼吸は私は分かるのですが、
身体の専門家の方の呼吸のお話を聞きたい、という事が自分の中ですごくあって、それで、陽佳さんにお願いしたら、是非いいですよて言ってくださっ
て、いろいろ一緒に呼吸についての考えを深めたり、音楽と呼吸の流れをどういうふうに合わせて行ったら良いのか、日常の中でどういうふうに呼吸を使ったら気持ちよく過ごせるのかっていうことを一緒に長く考えていて、これからも続けていきたいと思ってるんですけども、その一つの過程ということで、今回お越し頂いて本当に嬉しいです。
ヨーガと呼吸
M:まず陽佳さんがどのようなヨーガをやっているのか、聞かせてもらえますか?
H:はい。私はインドで修行をしてきました。インドの伝統をひく、シヴァーナンダ·ヨーガを勉強してきたんですね。それで、帰ってきて日本でも、その同じ、おおもとのシヴァーナンダ先生のヨーガを勉強された先生から教わって、今度はインドのヨーガを日本の暮らしの中で理解する、生かす、そういった方法を教わりました。
M:インドで修行されたっていうのが、すごい本格的だなと思います!ヨーガをやろうと思ったきっかけは何だったのですか?
H:最初にやろうと思った時は、随分前のヨーガがブームになった時だったのですが、当時私の友人がカナダ帰りの人がいて、カナダで当時、とても流行っていたそうです。日本にはまだ今みたいにオシャレスタジオがたくさんあるような時代ではなくて、彼女がこのスタジオのこの先生がいいからっていうふうに誘ってくださったんですね。行ってみたら、あ、なんかこれ、なんて言ったらよいのか、しっくりくる感じがすごくあって、面白いなと思ったんです。ただ当時はちょっとスタジオが
遠くて通いきれなかったので、いい先生がいたら習いたいなぁ、と思っていた、という感じです。
M:私もたまに陽佳さんのクラス受けさせていただいて。本当に素晴らしいんですが、今日は「呼吸」についてお話したいのですが、ヨーガにも色々なスタイルがあると思うんですけど、スタイルによって呼吸は変わったりしますか?
H:どうでしょうね、私もすべてのタイルを網羅している訳ではないで、何とも言い難いんですけれど、ただヨーガっていうのは、どんなスタイルであっても、呼吸を系統立ててトレーニングする事の出来る体操、という側面がある、というのは同じだと思います。
M:私もヨーガをやろうと思ったきっかけが、シンガーの方に、呼吸の事をやるんだったらヨーガをやったらいいよって言われたのがきっかけでした。ミュージシャンでもヨーガをやってる人多いんじゃないでしょうか?
H:そうですね。私が担当させていただいているクラスに通っている方でも
いらっしゃいます。
M:普段練習する時も、管楽器、特にフルートはエアリードという事もあるのですが、呼吸がうまくいけば、呼吸が95%、後の運指などのテクニックは呼吸さえうまくいけば、どうにでもなると思っていて、色々な練習の段階はあると思うのですが、どこかの段階では、指の練習を集中的に行なったり、ハーモニーや楽典を学ぶ時期もあると思うのですが、ある程度技術が身に付いたら、毎日続けてやる基礎練
の部分、楽器を出さなくても出来る、という事はヨーガから教わったと思っています。
M:ヨーガの中で呼吸はどういうふうに捉えられているのでしょうか?
H:そうですね、ヨーガの中での呼吸というと、皆さんがやっている中で
感じられるものというのは、まず呼吸によってリラックスできたりとか、
あとは、エネルギーを持続することができたりとか、そういったところからおそらく気が付いて行かれるのではないかなというふうに思います。
M:呼吸って絶対行なっているじゃないですか。常に。だから、本当だったら常に
リラックスしたり、常にエネルギーが持続しているはずなんだけど、意識するとこんなに変わるものなんだなって思いますね。
M:ヨーガの呼吸の捉え方は、どのように呼吸に意識を向けるか、という事を学ぶ、という事もあるのでしょうか?
H:そうですね。呼吸って、私達の体の機能の中で、ほぼ唯一に近い意識的にもコントロールできて無意識に勝手にも行う、随意的に動く事もできれば、不随意に動く事もできる、そういう機能だと思うのですよね。(※注1) 寝てても、勝手に息はしているじゃないですか。でも、息を自分で止めたりとか、思いっきり深呼吸したりとか、コントロールすることができる。【※注1 他に「まばたき」などもありますね (青木・記)】
H:この呼吸がですね、体が走れば呼吸が荒くなったりとか、寝てる時はゆっくりの呼吸になったりという身体の運動と連動しているということもあれば、心とも連動しているのは、きっと心当たりがあるんじゃないかと思います。緊張していると、息が上手く吸えないとか。
M:あります!緊張していないと思っていても、MCで喋ってると、やっぱり息継ぎしていないのですよね。気が付いたら、すごい苦しい!見たいな事になります。
H:そうそう、息が上がっていると、吸う息が浅くなって、息が上手く吐けない、という事とか、きっとあると思うのですけど、そこの所を、心によってコントロールされている呼吸を、逆に心のほうをコントロールしていく、というものでもあるのですよね。
M:なるほど。そう言われると。すごく納得します。ヨーガでやる呼吸法を何種類か私も体験させて頂いて、当然なんですけど、フルートの呼吸法とは違うっていうか、でもなんだか繋がっている気もするのだけど、実際、行なってみると随分違うな、と思っていて、そこが何なのだろう、とずっと思っていたのですが、今の説明で納得しました。
フルートの場合は呼吸を意識的にコントロールする事がメインですが、今、陽佳さんが言ってくださったのは、意識で呼吸をコントロールするだけではなくて、あ、この場合、心=意識と置き換えても大丈夫ですか?
H:あ、ちょっとその置き換えはヨーガの場合は難しいかも知れない。別のものとして説明されることがあり、
M:ヨーガの場合は心は何になるのでしょう?
H:感情とかですね。【※注2 ヨーガの理論において「心」=「感情」と表すのは言葉足らずですが、会話の流れの中でわかりやすく「感情とか」と表現させていただきました。ここでお伝えしたいのは、「呼吸と精神活動全般は、相互に密接に関わっている」という事です。(青木・記)】
M:感情!
H:感情と体ってすごく密接な関係がありますね。悲しい時には胸が締め付けられる思いをしたりとか、笑うと顔がほころぶとか。その身体と密接な関係にある感情ですね。
M:その感情を呼吸を通してコントロールするという事でしょうか?
H:コントロールしていると思います。やっぱり、たぶん皆さんもやってると思います、緊張している時に深呼吸したりとか。
M:うん。なるほど。面白いですね。音楽に関しては、私は感情はないと思ってて、
完全に情報だと思ってるんですね。そこが、ヨーガと音楽の違いかも知れませんね。悪い違いではなくて、ただ、フルートの呼吸とヨーガの呼吸のすこし違う所なのかな、と思ったりしました。
H:私たちの日常のレベルでは、おそらく感情をコントロールしている事ができる、という風に扱えるんですけど、呼吸は呼吸ですよ(笑)呼吸は感情ではないです。
H:感情に関わらずに、いつも落ち着いた呼吸をしていれば、私たちは、いつ、何時、どんなに緊張していても、落ち着いた呼吸で良い演奏ができる。
M:はい。
H:なので、そういうところを目指してるんだと思います。
M:それもわかります!意識では絶対に緊張していない、怖くないと思っていても、何か身体の、物理レベルで何か障害があって、上手くいかなかったりとか、先ほどお話したように、MCとかで普通に喋っているつもりでもめちゃくちゃ苦しくなったりとか、自分が全然客観視できていない、できていると思っていても、できていない。
H:はい。
M: そういう時に呼吸が助けてくれるという事ですよね?
H:そうですね。はい。
M:なるほど。面白いですね。
次回へ続く….
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