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若者会議「若者はいつまで名乗っても許されるか」

もうすぐ30歳の私:
本日は若者会議にご来場いただき、ありがとうございます。
本日、僭越ながらご指名によりモデレーターを務めます、もうすぐ30歳の私でございます。
最後までどうぞよろしくお願いいたします。
続いてパネリストのお二方をご紹介いたしましょう。
まずは10歳の私さんです。
一言、ご挨拶いただきたいと思います。

10歳の私:
若者っていうかまだ子どもなんで、よく分かんないけど呼ばれました。
今日はよろしくお願いします。

もうすぐ30歳の私:
はい、よろしくお願いします。
お二人目は20歳の私さんです。
一言頂戴できますでしょうか。

20歳の私:
なんか知らんけど、しょうもない会議にお招きいただきありがとうございまーす。

もうすぐ30歳の私:
・・・はい、ありがとうございます。よろしくお願いします。
それでは、本日のこの会議のテーマなんですけれども、「若者はいつまで名乗っても許されるか」です。
まずは、10歳の私さんお願いします。

10歳の私:
え、20歳までじゃない?それ以上はもうオバサンじゃん。

20歳の私:
おい、ひよっこ。ふざけんな。20歳はまだ断然若いんだよ!
私とあの人見比べてみてよ。どう見ても全然違うでしょ?

10歳の私:
えー。分かんない。

20歳の私:
分かんなくないだろ!
よく見て!
お願い!!
一緒にしないで。

もうすぐ30歳の私:
10歳の私さんくらいの年頃だと区別つかないよねえ。
一定の年齢以上は全部一緒だよねえ。
20歳の私さん、歳下相手にあんまりカリカリしないで、ね?
大丈夫、あんたは若いって。

20歳の私:
オバサンと一緒にされたうえに、オバサンに慰められた・・・。辛い。

もうすぐ30歳の私:
次に20歳の私さん、お考えはどうでしょうか。

20歳の私:
30歳以上は一律オバサン。
むしろアラサーと呼ばれ始めたらもう終わり。
28歳とか29歳になって、20代にしがみつく感じ、みっともないからやめてほしい。

もうすぐ30歳の私:
おい小童、お口が過ぎるぞ。
その発言、あとから後悔するからな。
10年後の自分に突き刺さるからな!
あとな、20代にしがみついてるんじゃない。
純然たる20代なんだよこっちは!!

20歳の私:
その必死な感じがみっともないんだって。
時が来たら、私はちゃんと受け入れるもん。

もうすぐ30歳の私:
その言葉忘れんなよ。

20歳の私:
オバサンの負け押しみは醜いよ?

もうすぐ30歳の私:
(コノヤロウ。)

10歳の私:
(どうでもいい。)

もうすぐ30歳の私:
最後に私の意見も申し上げさせていただきます。
若者は永遠だと考えます。

20歳の私:
何でよ。オバサンの現実逃避がひどいのよ。

10歳の私:
さすがにそれはないんじゃない?

もうすぐ30歳の私:
君たちは、間違いなく若者です。
それは私の目からも明らかですし、世間一般でもそうでしょう。
けれども!
私とて、人生の先輩方から見たら若者なのです。

20歳の私:
詭弁じゃん。

もうすぐ30歳の私:
違うもん。職場の先輩が言ってたんだもん。
「私から見たら、望月さんだって、というかほとんどの人が若者なのよ。」って言ってたんだもん。

10歳の私:
急に子どもみたいになるじゃん。

20歳の私:
必死が過ぎて、かわいそうになってきた・・・。

もうすぐ30歳の私:
ほんとだもん。近所のおじいちゃんも言ってたんだもん。
「最近の若いもんは・・・。」って。
そんでよく話聞いたら、若いもんの対象が60代だったんだもん。

20歳の私:
確かに、最近のおじいちゃんおばあちゃんて元気で、いつからそう呼ぶべきかわからないよね~。

もうすぐ30歳の私:
そうでしょ!?みんないつまでも若いなってそう思うでしょ!?

20歳の私:
え?う、うん。

10歳の私:
ねえ、どうでもいいけどもうまとめようよ。

もうすぐ30歳の私:
取り乱したことをお詫びします。
さて、今回のテーマ「若者はいつまで名乗っても許されるか」について議論してまいりました。

10歳の私:
議論できてたかなあ?

20歳の私:
コホン。様々な意見が出ましたが、

10歳の私:
出たかなあ。

20歳の私:
しっ。もうあの人を刺激しないであげて。

もうすぐ30歳の私:
ゲフン。世代によって「若者」の定義は異なるということが本日の概ねの意見だったように思います。
そこで、この会議の結論として、上の世代がいる限り、私たちはいつまでも若者ということをご報告して、本日のまとめとさせていただきたいと思います。
10歳の私さん、20歳の私さん、ありがとうございました。
ご清聴いただきました皆様も誠にありがとうございました。

10歳の私・20歳の私:
ありがとうございました~。



(終了後)

もうすぐ30歳の私:
お二人ともありがとうございました。

10歳の私・20歳の私:
ありがとうございました。

もうすぐ30歳の私:
今日の会議はいかがでしたか?

10歳の私:
なんて言っていいか分からないけど、デリケートな問題だってことは分かりました。

20歳の私:
なんて言っていいか分からないけど、オバサンって軽々しく呼ばないように気をつけようと思います。

もうすぐ30歳の私:
君たち、ちょっと距離置きながら私のことかわいそうなものを見る目で見てますけど、10年後、20年後の君たちが私なんだからね!
本当に後悔するんだからね!!