高望みはいたしません。ですからどうにかなりませんでしょうか。
絶妙に運の悪い人というのが、世の中には存在します。何を隠そう私もその一員なのです。
絶妙に運の悪い人がたとえばどんな人なのか、おそらく運のいい人には理解できないと思うので、私の実話エピソードと共に、その生態をお伝えしたいと思います。
どう見たって急いでいるわけなのですけれども、カメラマンには私をご指名でしょうか
急いでいる、という場面は誰しも経験があるかと思います。早くしないと電車に間に合わないとか、会議に間に合わないとか。あとは、テーマパークで早くアトラクションに並びたいとか優先パスの時間が来ちゃうとか。
そんなこんなで早足、なんなら駆け足くらいで移動しているとき、私は通りすがりの人に記念撮影のカメラマンを依頼されてしまうことがあります。
よくあるところではやっぱりテーマパークでしょうか。誰だって記念撮影をお願いされた経験はおありだと思いますが、私は、急いでいる時に限って百発百中でお願いされてしまうのです。もしや私しかお願いする人いないのか?と思うけれども某夢の国などにはそこらじゅうに人がいるわけで、彼らと私の貸切の状況などありえないわけです。
お気づきかと思いますが、私めちゃくちゃ急いでいて、そこにゆったりと歩かれているお二人連れがいらして、しかもあちらも記念撮影をしたそうな雰囲気を醸していらっしゃるということは、お互いに撮影し合うことで大団円の予感がするわけなのでありますが、それでも私めをご指名でしょうか。あと、そのゴツく立派なカメラの性能を引き出すことは私には無理ですし、そもそもシャッターのボタンがどこかも分からないのですが、それでも大丈夫でしょうか。
という私の心の叫びは一文字も口から出ることはなく、断れない私はにこやかに「はーい、ヨロコンデー。」となるわけです。返事が棒読みになりがちなところは夢の国の雰囲気に呑まれてたぶん誰にも気づかれていないはずです。
リーチが4つできたとしても、それはビンゴではありません
ビンゴというゲームは、子どもの集まりから忘年会、結婚式の二次会に至るまでありとあらゆる場面で活躍する知らない人はいないゲームの代表格と言えるでしょう。これまでに参加したビンゴゲームは、記憶のある限り華麗なるまでの全敗。それもまた、もしかしたら珍しくはないのかもしれません。ビンゴって参加者に対して景品の数が少なすぎるじゃないですか(決めつけ)。みんなに何かしら当たるようにしといてほしいわ(ゲームの価値の否定)。
でも、私の不運エピソードはここでは終わりません。
とある年、まだ大々的に忘年会を開催することに誰も疑問を覚えることのなかった頃、例によってビンゴ大会が開催されました。
司会が軽やかに進行していきます。3つ目の番号が読み上げられたところで、アナウンス。
「さあ、リーチの方いらっしゃいませんか?いたら宣言してご起立ください。」
さすがにまだちょっと早かったのか該当者なし。その後もどんどん番号が読み上げられていきます。
5つ目の番号あたりから1人、また1人とリーチになった方が現れ始めました。
「続いては32!」
「リーチ!」
私は意気揚々と立ち上がります。4番手につけ、上々の滑り出し。
さらに、どんどんと番号が読み上げられ、そしてちらほらとビンゴの宣言とともに景品の獲得者が出てきました。
さらにさらに、どんどんどんどんと番号が読み上げられていきますが、私の手元のカードには穴が空くだけでいつまで経ってもビンゴは訪れません。
そこのビンゴの球出し担当の方、もう4つもリーチなんですけど私の待ってる71はまだでしょうか。
そんなことを思いながら会場前方を見つめていると、私より後にリーチになって、私より先にビンゴになった同じテーブルの皆さんが気遣わしそうに私に問いかけます。
「望月さん、そんな穴だらけなのにまだなの?」
「それがねえ、私も不思議なんですけどまだなんです。」
「何番でビンゴ?」
「56か71ですね。」
鼻息荒く答えたところで、先輩のビンゴ!の声とともに大会は終了となりました。
ビンゴにならないならリーチにならなくていいのよ。ずっと立ちっぱなしだし、みんなに同情の視線が突き刺さるし。しかもこれ、この年だけではなく、恒例なのです。いつもリーチだけは早いの。リーチだけは。
ビンゴ最弱で向いてないからしょうがないって強がって言いたいけど、もらってもちょっと困るなっていう景品のときにはちゃんとビンゴになるんです。余計ひどい。
ババ抜きでは一番最初と一番最後にジョーカー先輩と出会います
皆さまご存知、トランプゲームのババ抜きでは、同じ数字のカードを場に捨てていき、最後にジョーカーを持っていた人が負けとなります。このジョーカー先輩と出会う確率が異様に高いのが私です。
まず、最初の手札にいます。
「あ、おはようございます。」
この時点でいかに先輩に好かれているかっていう話ですが、それでもだいたいゲームの途中で移籍されていきます。
「さよなら。お元気で!」
ここで、先輩がいないうちに華麗に上がれたらいいのですが、私はここでも絶妙な運の悪さを発揮して、左隣の人の手札から、さっき右隣の人に引かれていった数字を引き当て、もんもんとしながら永遠に上がるタイミングを逃し続けます。
終盤になると、ババ抜き世界一周旅行を終えた先輩が帰ってくるわけです。
「オカエリナサイマセー!!!」
なんでこんな終了間際に帰ってくるのかしらと白目になりながらお迎えし、先輩はそのまま私の手元に居座ってしまうので結局私は敗北します。
ちなみに最後の3枚になっても1/2の確率でちゃんと引き当てるので、もはや両思いなのかもしれません。
だというのに、大富豪の場合は先輩には絶対に出会えません
トランプの話になったので、別のゲームの話。
大富豪というゲームをご存知でしょうか。無数のローカルルールを持つというそのゲームの共通ルールは、3が最弱、2が最強となって、前に出されたものよりも強いカードを場に出し続けるというものです。
おそらく、ここまで読んでくださった方はそろそろお気づきでしょう。私の場合、まず、手札に最強の戦士2がいることがほとんどありません。そんでもって、3〜7くらいまでのカードが誰か意図的にそうしたのかなと思うくらいたくさんいます。この時点で大富豪と富豪の夢は絶たれました。せめて貧民になりたい・・・!
大富豪というゲームの中では最強の2を唯一刺すことができるカードが存在します。そう、ジョーカーです。(なお、ジョーカーを刺すことができるカードも存在するのですが、これも当然のごとく私の手元には来ないので割愛します。)
ババ抜きでは頼んでもないのに私の元にいるジョーカー先輩は大富豪というゲームになった途端、別人になったかのように私には見向きもしなくなってしまうのです。
こんな感じで、大したことじゃないっちゃないけど、絶妙に運の悪い私は、サンタさんにちょっとでいいから運をプレゼントしてほしいなと思っています。
サンタさん、よろしくお願いします。
こちらの記事は、xuさんの企画に参加するものです。
サンタさんが物理的に来なくなってから幾星霜。久しぶりのお願い事は何にするべきかじっくり考えてしまいました。異動にするべきか、宝くじにするべきか、異動にするべきか。そんな煩悩まみれのお願い事しか思い浮かばず、私も大人になっちゃったんだなあと実感しました。笑