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物語を詩(うた)にして〜『RiNNe』 project 〜

あのひとが待っている
自分でも理解できない焦燥が
夢で重ねた手の柔らかさが
深い琥珀の瞳が
僕を駆り立てて
僕が知らずに
僕が知っている
あの愛おしいひとを探している
無意識に星に重ねたあのひとを探し求めている


待ち続ける

あのひとが探している
私を呼ぶ夜空が
夢で合わせたすらりとした指が
静かなもみの木が
私を駆り立てて
私が知らずに
私が知っている
あの愛おしいひとを待っている
丘のてっぺんに立つ木の元で待ち続けている


Akane

君は誰だ
星の見えない寒空に問い続ける
まだ何も知らないかつての僕が
月に隠れたあの星に
君の名前をつけた理由を僕も知らない
雲を晴らした夜に泳ぐ
【Akane】に答えを求めて
僕は望遠鏡をのぞき込んだ


トーマの木

鈴の音が聞こえる
沈黙していたもみの木が
私じゃない私に語りかけて
思い出せない思い出が
暗闇に車を走らせた
薄雲が晴れる夜
月明かりに導かれるようにたどり着いた
【トーマの木】の元が
私の待つべき場所


輪廻(碧)

月明かりの丘の向こう
近づく人影に
引き寄せられるように駆け出して
待っていたよと泣き笑う
見知らぬはずのそのひと
重ねた手は夢のまま
12月の満天の星空の下
やっと見つけ出した
僕たちに空いていた隙間がピタリと埋まる


輪廻(沙織)

木の向こう側、星の海から
駆け寄る影は
涙の痕を頬に残して
みつけたと私を見つめる
見知らぬはずのそのひと
重ねた手は心が記憶したまま
12月の満天の星空の下
やっと見つけ出してもらった
私たちの待ち続ける日々の幕が閉じた



さて、こちらは宇宙かっちー。さまの記事(総合企画はミムコさま)のうち、朗読文の部門に参加させていただくもの。

https://note.com/kacchyjp/n/n94c2d7f717bf


内容は、以前参加させていただいた、才の祭にて小説部門特別賞を受賞された七田苗子さまの素晴らしい作品に、詩、声、背景画、人物画、音楽から成る動画を二次創作するというものです。

なんかもう、壮大で、矮小なわたくしは口がぽかんと空いてしまうのですけれど。
まずは詩に挑戦させていただくことにして。
声は勇気が出たら、やってみたいなあ。