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【デザイナーインタビュー】「MIXI TECH DESIGN CONFERENCE 2024」キービジュアル & 映像制作担当者に背景を聞きました

3/18(月)、19(火)にエンジニア・デザイナー向けカンファレンス「MIXI TECH DESIGN CONFERENCE 2024」(以下 MTDC2024)を開催しました。

グラフィック / CG映像 / サウンド / 監修 / 全体ディレクションと、様々な運営メンバーがいる中で、今回はキービジュアル制作を担当した新開さん(写真左端)、そして会場で使用したオープニングムービーやアタック動画等の映像制作を担当した守本さん(写真 左から2人目)に、デザインの制作背景・こだわりポイント・苦労した点などについてお話を聞きました。


キービジュアル制作について

━━キービジュアルを制作する上で、コンセプトはどのように固めていったのですか?

新開:
実は、「Co-Creation」というカンファレンスのテーマ自体がキービジュアル制作の方向性を探っていく段階ではまだ確定していなかったんです。

とはいえ、MTDC2024運営メンバーに私が所属するデザイングループのメンバーがアサインされていたので、「今はこういうふうに話が進んでいる」という情報をつぶさに入手しながら、MIXIが主催する対外的なイベントであることも踏まえて「MIXIらしさ」を訴求するコンセプトにしていこうと模索していました。

MIXI TECH DESIGN CONFERENCE 2024のキービジュアル

━━キービジュアル制作と、カンファレンスのテーマを決めるプロセスが同時並行で進んでいったんですね。

新開:
そうですね。カンファレンスの方向性について検討している軸と、私がキービジュアルを制作している軸がほぼ同時並行でしたし、「Co-Creation」というテーマが決まったタイミングとキービジュアルの方向性が決まったタイミングもほぼ一緒でした。

カンファレンスの企画・運営担当の杉田さん(開発本部 DevRelグループ マネージャー)がもともと大切にしていた「共創」の考え方、つまり事業部同士のつながりや技術者同士のつながり、TECHとDESIGNのつながりは、私も杉田さんから聞いて大事にしたいと考えて制作を進めていたので、両方の軸が合わさっていくかんじでしたね。

━━キービジュアルの方向性を決めるうえで難しかった点は何でしたか?

新開:
私がMIXIに入社して間もないということもあって、「MIXIらしさ」の表現が難しかったですね。

社歴の長い角戸さん(動画クリエイティブ室 デザイングループ マネージャー)などいろんなメンバーに話を聞きつつ、一昨年に実施したコーポレートブランドリニューアルの経緯や意図も汲み取りながら、手探りで「MIXIらしさ」を模索していきました。

ポジティブにとらえると、自分の中に「これがMIXIらしさ!」といった先入観がなく、フラットな状態で向き合えました。
結果的に、「MIXIらしさ」を短期間でインプットし、キャッチアップできるよい機会になったので、ラッキーだったかもしれないです(笑)。

様々な人の意見をヒアリングしていった結果、「温かみ」やMIXIの根本である「コミュニケーション」の文脈からくる、人との交流がMIXIらしさなのかなと考えました。

無機質なデザインにならないように、有機的な温もりが感じられる要素をビジュアル化できればよいなと思いながら、デザインラフ制作を進めていきました。

━━他にも苦労したポイントはありますか?

新開:
「MIXIは多種多様な事業を展開していて、各事業に紐づいてエンジニアやデザイナーたちがそれぞれ活躍していることを表現してほしい」という要望があったので、多様性をカラフルに表現しつつ、MIXIのコーポレートカラーである「MIXIレッド」と「MIXIオレンジ」の中で成立させることを意識しました。

「MIXIレッド」と「MIXIオレンジ」
事業ごとのカラー

キービジュアルを目にするカンファレンス参加者にとっては、「この色はコーポレートを表していて、この色はこの事業で……」という説明がされるわけではなく、視覚から伝わる情報がすべてになるので、そういった裏の設定を知っていても、知らなくても成立するデザインを目指しました。

もちろん各パーツについて説明を求められれば、きちんと納得できるように設計しています。
コーポレートカラーはパキっと見せつつ、各事業のカラーは移り変わっていくものなのでグラデーションで表現しました。

━━キービジュアルのコンセプト「包む」は、どのように行き着いたのでしょうか?

新開:
案だしの段階では「つながる・ひろがる」「blooming」「包む」「影響・反応・共創」の4案を提出しました。

提出した4つのキービジュアル案

杉田さんと、MTDC2024クリエイティブディレクターの谷さん両名とも早い段階で「包む」案がよいねという意見になり、その頃には「Co-Creation」というカンファレンステーマも固まってきていたので、そこから「包む」案をさらにブラッシュアップしていきました。

「包む」はMIXIの企業理念である「パーパス:豊かなコミュニケーションを広げ、世界を幸せな驚きで包む。」に由来していて、ここでもMIXIらしさの表現に繋がっています。

━━「包む」案はどのようにブラッシュアップしていったのですか?

新開:
MIXIのブランドアイデンティティから着想し、技術とクリエイティビティが共創しあうMIXIのものづくりを縦横に織り重なる「糸」と捉え、「布」に見立てて表現しました。

またMIXIというひとつの「枠組み = 企業」を表現するために、デザインベースにグリッドを採用しています。

実はグリッドデザインには知的でかっこいい印象があり、個人的に昔から憧れがあったんです。

MIXIの多種多様な事業を表現するのにグリッドは合いそうだと思いつつ、実際に手がけるとなると、パターンのルール作りは大変そうだし、もし全体デザインとして魅力的にまとまらなかったらどうしよう……という不安も正直ありました。

でも「包む」案にGOがでたので、もうやるしかないなと。
結果的にカンファレンスとして表現したいことと、グラフィックとして表現したい意図がうまく合致したと思っています。

当日、会場に掲示したキービジュアル制作プロセスのパネル

━━パターンの表現でこだわった点は?

新開:
カンファレンスのテーマと共に、MIXIのタグラインである「心もつなごう。」を大事にしつつ、各パターンは個別の「パターン = 柄」としてつなげて展開できることも想定して作成しています。

また各パターンの形状は、各事業を想起させる形をイメージして制作しているのもこだわりポイントですね。

多種多様なパターンを作成
細かいところにもこだわりポイントが

動くキービジュアル

━━今回のキービジュアルは「布」としての表現を映像でビジュアル化したんですよね。「動くキービジュアル」の制作背景を教えてください。

新開:
布が「はためく・なびく」感じや、布の質感の表現は苦労しましたね。3DCG担当の菅野さん(動画クリエイティブ室 CGデザイングループ)とも「ああでもない、こうでもない」とディスカッションしながらイメージをすり合わせていくうちに、コミュニケーションも密になっていきました。

これこそまさに「Co-Creation」を体現していったと思います(笑)。
それだけに実際に「動くキービジュアル」が完成したときは感激しました。

動くキービジュアル

オープニング / ループ / アタック映像

━━オープニングムービーとループ映像・アタック映像についても制作背景を教えてください。

守本:
最初に新開さんのキービジュアルデザイン案を見た瞬間に「あ、これは動かすしかないな!」と直感的に思いました(笑)。

作り込まれたコンセプトや、パターン1つ1つのモチーフ、グリッドの説明を聞き、これらのキービジュアルの考え方を活かしてムービーとしての時間軸をプラスして表現できれば、きっとかっこいいものになるだろうとイメージが膨らみました。

工数や工期的に茨の道になりそうな予感はあったのですが、3D / カメラワーク / モーショングラフィック / サウンドのプロ達をメンバーとしてアサインしてチャレンジすることにしました。

▼オープニングムービー(カウントダウン入り)

━━オープニングムービーの実制作で「肝」になったポイントを教えてもらえますか?

守本:
約30秒のオープニングムービー制作の中で、パート分けやメンバーの振り分けも重要なファクターだったのですが、最初にサウンド担当の笠島さん(動画クリエイティブ室 クリエイティブサウンドグループ)も交えて映像としてのテンポやテンション、トーン、起承転結の展開、カンファレンスとしてのワイガヤ感の表現について意見を出し合ったのがよかったと思います。

そこからリファレンスを固めて、CGデザイン側としてのセクションを決めて、サウンド側の小節も決めて……と、どちらが先行してということではなく相互に合わせながら進行していきました。

決してゆとりある工期ではなかったのですが、うまくハマったなという感触がありました。

━━幕間用のループ映像とアタック映像についてはどうですか?

守本:
当初の予定では、オープニングムービーの一部を流用して幕間用のループ映像とアタック映像を作る予定だったのですが、オープニングムービーはオープニング用に特化して制作してしまったので、結果的にループ映像もアタック映像も個別に制作することになりました。
このへんの経緯は、ヌルっと現場の勢いで進めたというか……(笑)。

新開:
確かに「ヌルっと感」はありましたね(笑)。

守本:
とはいえ、流用できるデータは協力会社さんにもサンプルとしてお渡しして、タイミングを調整したりモーションの大きさや緩急を変更したり、柔軟にかつ臨機応変に対応できるようにしました。

使えるデータはチーム内でも外部との連携でも活用し、工数が肥大化しないようにしつつ、狙いは実現できるように探りながら進行していました。

ループ映像

アタック映像

振り返り

━━カンファレンスが無事に終了して、振り返ってみての学びや今後の課題はいかがですか?

新開:
多くの人が関わる仕事ほど、密にコミュニケーションをとることが重要なのだと一層意識することができたと思います。

自分の頭の中にあるイメージが、そのまま他の制作メンバーに転送できるわけではないのだと感じることがありましたし、会話の重要性を実感しましたね。

守本:
オフィスへの出社も増やしましたし、たくさん喋りましたもんね(笑)。制作時期はいたるところで打ち合わせが行われていました。

カンファレンス自体もひとつのイベント = お祭りという感じでした。
制作作業も文化祭の準備のようにワイガヤな一体感があったと思います。

映像制作の仕事って、1人である程度作っちゃって、ポイントごとに誰かにチェックしてもらうことが多いんです。

でも今回は制作メンバーに随時いろんな意見をもらったり、時には画像素材の作成を急きょ手伝ってもらったりしてチームワークでやりきった感じがありましたね。

━━次回のカンファレンスに向けての改善点などはありますか?

守本:
今回はカンファレンスの直前までデータの準備をしていたので、本番で上手くいくか心配になるときもありました。もっと前倒しで進行できたんじゃないかという課題感はありますね。

キービジュアルもそうだと思いますが、映像もやろうと思えばどこまでもやり込めてしまうので。

新開:
見極め大事ですよね(笑)。

私は大人数で取組む案件に慣れていなかったこともありますが、もっと早めに動くことと、もっと早めにメンバー同士で仲良くなっておけば、コミュニケーションのタイムロスを減らせたんじゃないかと思います。

今回はメンバー間の関係値がよくなってから加速度的に進行が早くなりましたし、お祭りモードになれたので。

来年も私が担当することになるのかはわかりませんが、それは次の担当者にも引き継ぎたいポイントですね。

実制作に携わったメンバー
デザイン : 角戸/新開(動画クリエイティブ室 デザイングループ)
3DCGと映像 : 守本/菅野(将)/田野(動画クリエイティブ室 CGデザイングループ)
サウンド:笠島/橘井(動画クリエイティブ室 クリエイティブサウンドグループ)/外部パートナー 2名参加
プロジェクトマネージャー:菅野(優)(動画クリエイティブ室 プロジェクトマネジメントグループ)
監修と各種全体ディレクション:谷/越智/松田(動画クリエイティブ室)

その他制作物

  • ビジター・スピーカー・スタッフパス、台紙シール

  • 受付用バックパネル

  • 会場装飾

  • レザーマルチケース(ノベルティ)

  • ダイカットシール(ノベルティ)

  • デコチョコ

  • 宣伝水

  • ロールアップバナー(サブステージ用)

  • スタッフ用Tシャツ

  • キービジュアル制作プロセス説明パネル

  • OGP

  • POP

  • 配信周りの制作物

会場の様子や制作物の一部

受付用バックパネル、キービジュアル制作プロセス説明パネル、台紙シール
会場装飾(左:メインステージ 右:サブステージ)
どら焼き、デコチョコ、宣伝水

各セッションのアーカイブ動画公開中

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発表資料(SpeakerDeck)

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