全社横断デザイン組織の現役マネージャーが語る!ディレクターのお仕事とは?
こんにちは。MIXI デザイン本部 プロダクトデザイン室 室長 姜少眞(かん そじん)です。
私は2007年にMIXIに入社し、ディレクターとしてSNS『mixi』や韓国語版モンスターストライクの運用を担当しました。
2015年からはクリエイティブ支援を担当するクリエイティブグループに参加し、コミュニケーションデザイングループのマネージャーを務めたのち、現在は全社横断的なデザイン組織「デザイン本部」で、4つのグループから構成されるプロダクトデザイン室の室長を行っています。
デザイン本部 プロダクトデザイン室には、デザイナー、エンジニア、ディレクターなどが在籍しています。私自身もマネジメントに専念するまでは、ディレクターのお仕事を(MIXI入社前も含めると)18年行なっていました。
今日は、デザイン本部プロダクトデザイン室のディレクターの役割やお仕事の流れをお伝えしたいと思います。
プロダクトデザイン室のディレクターのお仕事って?
MIXIは主に、スポーツ、ライフスタイル、デジタルエンターテイメント、投資の4つの事業領域があります。デザイン本部は全社横断組織として、各事業部のプロジェクトに入り、デザイン支援を行います。
プロダクトデザイン室のディレクターは、事業部とデザイナーを含むプロジェクトメンバーのハブとなり、要件定義や調整を行いながらプロジェクトを推進するのが役割です。
ディレクターの4つの役割
ディレクターの役割は大きく分けると4つです。この4つを軸にプロジェクトを推進していきます。
プロジェクトにまつわる情報の集約点・ハブになる
プロジェクト完遂のためにアサイン調整/リスク・進捗管理を行う
プロジェクトメンバー間の橋渡し役(通訳者)になる
言語化・見える化(要件整理/仕様/スケジュール策定など)を行う
ディレクターのお仕事の流れ 5つのステップ
ディレクターのお仕事は、次のように進んでいきます。
1)情報収集と情報の構造化
まず初めに、プロジェクトの情報収集を行います。ここで言う情報とは、
プロジェクト概要(目的/KPIなど)
制約条件(人/予算/スケジュール/ステークホルダーなど)
ドメイン知識(プロダクトやサービスなどに関連する知識)
などです。
情報が足りないと、プロジェクトを進める上で判断に迷いが生じます。
判断基準を明確に作るため、プロジェクトの詳細まで自分でしっかり説明できるよう、自分の中の疑問点がクリアになるまで情報を収集し整理しておきます。
事業部のプロジェクトオーナーから必要な情報が明確に提示されない場合は、壁打ち相手となって目的やKPIを言語化し、設定します。
自分たちデザイン組織と事業部のそれぞれの役割の定義、承認フローも明確にしておくとより進行がスムーズです。
2)必達事項と希望事項、スコープを定義
必達事項と希望事項でプロジェクトの要件を分け、まずは必達事項を達成するために資源(人・モノ・カネ)を調達・調整していきます。
同時に希望事項も優先度を決め検討し、事業部と議論を重ね全体におけるスコープ(プロジェクト範囲・期限・役割)を定義します。
資源は限られているので場合によっては必達事項をすべて実現できない場合もあります。その時は、目標達成のためにできうる最大の計画を提案し、事業部と調整を行いながらスコープを定義します。
決められたスコープについては、具体的に文書化しておくのが大事です。
3)仕様/スケジュール等、ざっくりから詳細へ
デザイナーやエンジニアなどプロジェクトメンバーと議論し、プロジェクトの目標達成のためのまずはざっくりとした案(デザインの方向・仕様・やり方など…)を提案し、共通認識を作ります。
その後、ざっくりとした要件定義(例えば、Webのページ毎の流れや遷移図など)をし、プロジェクトの目的とぶれないかプロジェクトメンバー間で再度調整・合意形成を行います。
次に、合意形成されたざっくりとした要件定義を細かくブレークダウンし、制作可能なレベルの仕様に落とし込みます。
ここで制作現場と実現可能性や工数について細かく調整し、詳細仕様を確定させます。
確定した仕様はいつでも最新のものが閲覧できる状態にしておき、アップデートがあった際も細めに周知します。
もし、詳細仕様を策定していく中で不確定要素が残った場合は、不確定要素を確定させるスケジュールも含め、全体のスケジュールを策定します。
4)リスクマネジメントと進捗管理
本格的な制作が開始されたら、定期的に進捗確認を行います。
遅延気味なところは、デザイナーのタスクの調整をしたり、社内外デザイナーのヘルプの調整をしたり、全体スケジュールへの影響を最小限に抑えるための対策を行います。
どうしてもスケジュール遅延が起こりそうな場合は、外注デザイナーの調達の検討や仕様変更などの調整を事業部を巻き込み行います。アラートは早ければ早いほどよく、一番まずいのは調整タイミングを逃すことです。
状況の変化についてアンテナを張り、情報を最新に保つ。適宜、現場周知を行いながら、場合によっては仕様・アサイン・スケジュールの調整も行う。ここの判断がとても大切です。
5)効果測定と振り返り
プロダクトやサービス、プロモーションがリリースされた後は、効果測定と振り返りを実施します。
継続的なプロジェクトはもちろん、単発的なプロジェクトでも似た案件で活用の機会があるので、しっかりと効果測定/振り返りを実施し、ナレッジ化しておくことが大事です。
プロジェクト初期に設定したKPIに対しての振り返りと効果測定を行い、継続すべき施策・見直すべき施策を明確にし、次のプロジェクトに反映します。フローや進め方についても振り返りを行い、プロジェクトメンバーがより効率的に・より気持ちよく働けるよう改善を繰り返します。
成功も失敗もなかったことにしないために、事業部も巻き込みしっかりと振り返り、ドキュメントなどの形として残すことが大切だと思います。
ディレクターが大事にしていること5か条
これまでの経験から、わたしが考えるディレクターにとって大事なポイント5か条をご紹介します。
その1 制作現場の迷いを最小限にするために、先回りして動くこと
ディレクターは判断を求められることが多いです。正しく判断するために、先に情報を収集し、色々なケース(最悪なケースまでも)を想定しておきます。
その2 制作現場のメンバーの時間を確保するために、優先順位を決めて動くこと
現場の制作は、ディレクターの仕事の後工程になることが多いです。ディレクター自身の動きが現場の制作メンバーにとってのボトルネックにならないように、制作メンバーの時間の確保を優先事項として、優先順位を決めて動くことが大事です。
自身がボトルネックになりそうな場合は、早くアラートを出して周りに助けを求めます。
その3 意思をもって動くこと
ディレクターのお仕事は、ふわっとしているものを具体化していったり、不確定要素を減らしたりなど決めの仕事が多いです。〇〇までに△△を推進・確定させていく!という意思をもって動くのが大事です。
その4 効率的に動くこと
ディレクターは並行して複数のプロジェクトを持つことが多いです。
それぞれのプロジェクトを効率よく推進するための自身のタイムマネジメントがとても大切です。
その5 情報共有を徹底すること
情報の取り方/共有の仕方を工夫し、常に最新情報がメンバーに共有できている状況を作ることが大事です。
まとめ
ディレクターは自分でガンガンモノを作るよりは、モノづくりの現場を作ったりつなげたりするのがメインのお仕事です。「自分はこうあるべき!」よりも「求められる役割」を意識することが大事だと思います。
プロジェクトの中で周囲から求められる役割に意識を向けながら、制作の現場とも認識を合わせて進めることが大切だと思います。
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