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【映画】ブレイブ群青戦記の感想と原作壊しについて

この作品はよく映画の話をする
先輩に『これは酷いぞ』と言われて
あまりにも言うから気になって見た作品であります。
先輩の言う通り酷かったけど
感じる事がたくさんあったので
ここに記しときます。

自分の思ったこと
気持ちは出来るだけ鮮明にして
表現した方が健康に良いって考えであります。

私はこの原作である群青戦記を
何巻か読んでおり、本作はウォーキングデッドのゾンビの部分を戦国武将に置き換えて出来ないか?みたいな所から発想した様なストーリーで
優秀な高校生アスリートや文化系の生徒達が
それらのスキルを駆使し
ゾンビ的に現れる戦国武将たちを退けるっていう
ドキドキハラハラのホラーアクション文脈でとても面白い漫画作品です。

上記を踏まえて映画の方の感想は
2時間という時間に無理矢理収めるために
無茶苦茶な設定に変更されてる。
1番印象的な無茶苦茶としては
結構序盤の方で
高校生達が敵の武将に捕まっちゃうんですよね。
私の意見としては
高校生が戦国時代で
どこまで生き残れるか?みたいなところが面白いし意外と高校生もやるな!
みたいな所が一番の旨味だとおもっていたので『速攻捕まっとるがな!もう浪漫ないやん!ほいで命令されて織田の城攻めるんでしょ?最悪だ!終わりだ!』
ってのが正直な所であります。
捕まるにしてももう少し後半の方が
良かったのかなって思いました。
もっと高校生だけで戦国時代をサバイブしないと、ブレイブ(勇敢な)なんだから。

他にも
要所要所に記号的な演出が見られます。
ボクシング部がずっと片手だけにグローブ嵌めてたり(グローブしてないとボクシング感出ないと思ったのかな?)

初めて主人公が敵の兵士に
弓矢を放つシーンで
敵が同級生の女の子を襲おうと
してるんだけど弓矢を放つまで
待ってる感じ、台詞入れたいから
ゆっくり、ぬるっと襲ってる
『え?なんですぐ殺さないの?』
って感じは"いにしえ"からある
仮面ライダー的ご都合主義なシーンを令和の世で観れるのは感動→恐怖→笑いを通り越して無の境地でした。

などなど

ここまで酷く原作の良い部分を抜き取って
余計な設定入れて再構築された作品は
なかなか珍しいなってのが
総合した感想です。

なのでここからは本作ってよりは
邦画の典型的な原作壊しって現象に
ついて語りたいと思います。
世間では『あの俳優が合ってない!』とか
『監督が悪い!』など言われたりしますが
私個人の意見では
これはもはや役者どうこうとか
監督がダメだとかそこじゃないと思ってて
見えない風潮とか風習みたいなものが
作用して、演者・スタッフがちょっとづつ
おかしくなっているとしか思えない
そんな印象であります。
実の所
私が漫画原作の邦画を観る理由として
純粋に人に対して表現したいとか
映像表現の根本にある部分
以外の所で暗躍してる圧力みたいなもの
それがなんなのかって
『え?なんでこんなことなんの?』
っていうあの感じを推理・推測する
その辺が楽しみになってるところはあるのです。
そう考えてみると
製作者側の意図とか見えてくる部分あります。
でも、役者とか監督とかは良いもの作りたいに決まってるのは間違いないし。
徐々にずれていくんかなって感じなんすかね。

今回のブレイブの件で言うと
なんか信長協奏曲みたいにしたかったのかなってのは感じました。
ヒットしたし、あんな感じでやりたいな的な
だから原作の群青戦記の群像劇的側面を
かなり薄めて主演でメインの2人にスポットを当てたりしてたのかなって
信長協奏曲だと小栗旬と柴崎コウで
ブレイブだと新田真剣佑と三浦春馬です。
だからこの作品に置いてメインは
この2人なので
ヒロイン的キャラ(山崎紘菜)とのロマンスが記号的に見えてしまったのかなと思いました。本質がロマンスじゃないのに
ラストがロマンス的なシーンだったってのが原因だと思います。


 本作を観てる途中である作品のことを思い出したんです。
それは池井戸潤著 7つの会議
主人公の居眠り八角が
『会社の不正って無くならないと思うか?』
って質問に
『無くならない!』って堂々と答えた後に続けて言うんですよ。
『会社の常識が
世間の常識より大事になってしまう。
これは日本人に組み込まれたDNAみたいなもんで侍の生き様なんでしょうなぁ。』
って
この現象はエンタメとかものづくりにもあって
単純に良い作品が作りたいとか
新しい芸術をやりたいとか
そんなことよりエンタメ業界やアート業界の
常識の方が大事になってしまう。
そう言うことなのかなって
思ったんです。
侍を扱った作品で
現代に残る侍文化の悪しき部分
を表現してしまったってことでしょうね
なんとも皮肉な話です。

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