折り紙から生まれた魚の形/テキスタイルデザイン「fishparty」の話
布・生地の通販サイトnunocotofabricさんより発売中のテキスタイル「fishparty」では、海に見立てた布地の中で、色鮮やかに泳ぐ魚たちの様を表現しました。
「fishparty」は紺色の深海でゆっくりと泳ぐ魚3匹をデザインした大柄と、清々しいアクアブルーの浅海で軽やかに泳ぐ小魚たちを表現した小柄・fishparty miniの2種類展開です。
こちらにある幾何学的な魚のフォルムは、無料情報サイト「おりがみくらぶ」で紹介されている「ねったいぎょ」から生まれました。おりがみくらぶは折り紙作家であり数多くの本を出版されている新宮文明さんが考案された折り方が紹介されています。新宮さんの折り紙は簡単に折れるのにそのものに見える、凝縮されたシンプルがそこにあります。
デザイン制作は自分で折った「ねったいぎょ」をパソコンに取り込んでからの作業となりました。ねったいぎょを三角形の集合体と解釈し、Adobe Illustratorのペンツールで折り紙の輪郭をなぞりながら三角形をつくりました。
ここで導き出した4つの三角形をIllustrator上で操作します。幅を広げたり、位置を動かしたり角度をつけたり…。この作業を例えれば、ブルーノ・ムナーリの言う「ファンタジアの操作」でしょうか、つまりは遊びですね。デジタルツールはその実験を容易にこなしてくれますし、何通りものファンタジアを比較検証することができます。
※「ファンタジア」ブルーノ・ムナーリ著/萱野有美訳(みすず書房)
こうして生まれた魚「さんかくフィッシュ」を構成して模様を作ります。さんかくフィッシュをのびのびと泳がせるために、まるや四角、台形など様々な形に共演してもらいます。
続いて大柄の制作です。大柄はスカートの生地になった時に、三角形が美しく見えるサイズ感にしようと、私物のスカートに紙を切って作った三角形を重ねて大きさを検証しました。
そんなfishpartyは私の想像の斜め上に行き、nunocoto wearさんでシャツワンピースとしてリリースされました。
折り紙の形から生まれた魚のかたちが模様となり生活のアイテムとして姿を変える。想像の循環を垣間見る機会をいただけたことに私は感謝の念を抱かずにはいられません。長く愛されるデザインが生み出せるようにこれからも勉強してまいります。最後までお読みいただきありがとうございました!
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