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今日の気分は? 202400930 No.332

アイコンがハロウィン仕様に替わりました

今朝の京都は曇り空です。1日を通しては曇りのち晴れの予報です。午前7時の気温は23℃。日中は30℃予報です。

「萎えるわ〜」



「学問で身を立ててきた家ではあるし、学問の面白さも知っっていた。だから学問の神として皆に親しまれていることに異論はない」

「現状に満足していらっしゃると」

「しかし、例えば私の家が八百屋だったら? 私は野菜の化身だったろうか? その人物の特性や環境を上手く捕まえて「○○の人」と呼び名を付けるのが上手な輩も確かにいる。私は印象が良かったのかな? それとも怨霊という負のイメージを払拭させようと、学問の神という正のイメージを当ててきたのか。いずれどこかの下級官吏が考えたのだろうが、このネーミングセンスは、今でいう流行語大賞のようなものだろうな。学問とは左様に奥深く興味深い。こんな感じでいかがか?」

「面白かったです」

「興味深く聞かせていただきましたわ。ありがとう」

「そろそろ日も暮れてきました。本日はここまでにしましょう。またいつでもお越しください」

「はい、機会があれば、というより夫が望めば、またお目にかかりましょう」

「何事も竹本氏とご一緒ということですな。本当に羨ましい。ではごめん」

そう言い残して道真公は姿を消された。

『北野天神縁起絵巻』は『清涼殿落雷』のシーンが有名で、教科書にも掲載されているというから、見たことがあるという方は多いだろう。
私などはあのシーンだけが『北野天神縁起絵巻』だと思っていたのだが、よく考えればそんなはずはなく、菅公の一生と北野天満宮に神として祀られるまでの伝説や逸話を描いたものを『北野天神縁起絵巻』というようだ。
しかも、いろんな作家が描いているということで、絵巻は複数あるという。その中でも最大であり、最古であり、しかも未完の大作が『北野天神縁起絵巻 承久本』であり、この本の『清涼殿落雷』のシーンが教科書に掲載されているということだ。
物語があり、幼少期から青年、壮年と続き、太宰府での晩年から亡くなられた後の怨霊神としての面目躍如へと繋がっていく。
宝物殿では、『北野天神縁起絵巻 承久本』の高精細レプリカが常時展示されている。

「あなた、宝物殿へ見に行きません?」

「本物じゃないよ」

「精緻に作られたものなのでしょ?」

「それはそうでしょ、いい加減なものはプライドに掛けても展示できないと思うよ」

「じゃあ、見に行きましょうよ」

「いいねえ、多紀理から望むことって少ないから、叶えて差し上げましょ」

道真公が主人公の回で怨霊神として恐れられた道真公に触れぬわけにはいかないだろう。

「事の起こりは昌泰四年 (901) に起こった昌泰しょうたいの変。当時右大臣だった道真公を左大臣・藤原時平フジワラノトキヒラ、大納言・源光ミナモトノヒカル藤原菅根フジワラノスガネらの讒言ざんげんにより、醍醐天皇が大宰府へ左遷してしまうんだ」

「讒言ということは、陥れられたということですか?」

「讒言の内容に虚偽があったのかどうかは分からないけれど、太宰府への移動はすべて自費、俸給もないし、従者もいないし、太宰府についても仕事もなかったんだ。とんでもなく酷い扱いだろ?」

「左遷というよりは島流しのようですね」

「島流しより酷いと思うよ、だって自費で島流しに行かないでしょ? そして不遇のうちに二年後の延喜三年 (903) に太宰府の地で亡くなっちゃうんだよ」

「これでは島流しにした人たちが恨まれても仕方ないと思うんですけれど」

「そうだよね、だからここから道真公が恨みを晴らす復讐の始まりとなるわけなんだけど、最初の犠牲者は道真公が亡くなってから五年も経ってるんだ」

「それで道真公が仕返しをしたって言えるのでしょうか?」

「そう思うよね。だから道真公がいったように『死んでから何年も経て、私の祟りだといわれても困るし、私にどうすることもできない』となるわけだね。私もその辺は疑問視しているんだ、こじつけっぽいものね」

「そうですよね。例えば、私が死んで五年後に、わたしのためにこんな被害を蒙ったという人が現れても、どうすることもできませんものね。私は元から神なので死にはしませんけれど」

「そうだね、だけど確かに道真公の左遷に関係した人たちに不幸が多いのは事実なんだよ」

「そうなのですね」

「最初の犠牲者は、延喜八年 (908) に藤原菅根が五十二歳で病死。あまり若くはないけれど、彼は道真公左遷のきっかけを作った人物だよね」

「そのお歳なら当時の平均に近いのじゃないかしら、それを道真公の仕業といわれても迷惑でしょ」

「次は翌年の延喜九年 (909) に政治のトップに上り詰めた藤原時平が三十九歳の若さで突然死」

「この方も左遷に追い込んだお仲間ですよね」

「次は四年後の延喜十三年 (913) 、道真公の後任として右大臣を勤めた源光が、狩りの途中で沼にはまって溺死。でも七十歳に近かったというから長命だよね」

「本当に道真公が原因なのか、はっきりしない方ばかりですね」

「お次は更に十年が経過します。延喜二十三年 (923) に左遷を申し渡した醍醐天皇の息子、保明親王ヤスアキラシンノウが二十歳で崩御されるんだ」

「天皇御本人じゃなくて息子さんというのがなんだか意味深ですね」

「だから、亡くなってから二十年が過ぎているのに祟りを恐れて、職を右大臣に戻して、加えて位を正二位にされるんだ」

「道真公の左遷に関わった方々には本当に恐れられていたのですね」

「まだ生きている人には余計にね。でも、まだまだ災難は続くんだ」

「二十年も経っているのですよ?」

「次の犠牲者は醍醐天皇のお孫さん、保明親王の第一皇子の慶頼王ヤスヨリオウが皇太子となった二年後の延長三年 (925) に五歳で崩御」

「これも道真公の影響?」

「そして、延長八年 (930) に超有名な事件が起こるんだ」

「亡くなって二十七年後ですよ? それも道真公のせいなの?」

「『北野天神縁起絵巻』ではそうなっているね。というか最大の見せ場として大きく取り扱われているよ」

「先程見ました。例の落雷のシーンですね」

「そう、それは朝議中の清涼殿で起こります」

「亡くなった方ばかりじゃなく、逃げ惑っている方も多くいらっしゃいますよね」

「そう、道真公の関係者では、左遷に追い込んだ藤原清貫フジワラノキヨツラ平希世タイラノマレヨなんだけど、他にも朝廷に多くの死傷者が出たらしいんだ。そして遂に醍醐天皇も体調を崩し、同じ年に崩御されてしまうんだ」

「これで終わりですよね」

「実はまだあるんだな、藤原時平の長男保忠が承平三年 (933) に三十八歳で死亡」

「ずいぶん多くの方が亡くなっているのですね」

「それ以外にも、自然災害の日照りや大雨、洪水、疫病などもすべて、道真公の責任にされてしまうんだ」

「それはあんまりじゃないですか」

「遂に道真公が亡くなってから四十四年後の天暦元年 (947) 、ここ北野社で神になるんだよ」

「今度こそ終わりですよね」

「復讐劇は終わるんだけど、まだ恐れられていたのか、正暦四年 (993) 、没後九十年後、に贈正一位左大臣、さらに同年太政大臣となるんだ」

道真公ご本人が仰られたように、『死んでから何年も経て私の祟りだといわれても困るし私にどうすることもできない。』とは本音なんだろうなとも思いますが、同時に感謝もされているようです。『怨霊と恐れられたお陰で、学問の神として私を祀る神社が全国に一万社を超えるほどあるのだから』と、これも本音なのでしょうねえ。

「あなたは本当にスゴい方ですのね」

「どうしてそうなるのかな?」

「だって、世間では大怨霊とされる菅公と普通にお話しされているし、ご自分の意見もちゃんと仰るし、神々とのお喋りの会に是非呼んでほしいとお願いされるのですもの。素敵ですわ」

「褒め過ぎだよ。皆さんと話しているうちに耐性ができちゃったのかな? それにお喋りの会も皆さんが勝手に来て勝手に話されてるだけだよ」

「そんなことはありません。あなたの元に皆さんがわざわざお話しをされに集われるのですよ。月読のおじ様を初め、皆さまに慕われている証拠じゃないですか。わたくしも妻としてちゃんと支えないといけないと改めて思いました」

「今サラリと妻と言い切りましたね?」

「エヘヘ、気が付かれました? もう、こだわるのはそこじゃないでしょうに」


菅公との会話は楽しかったけど、あの人少し自慢癖があるんだな。
もう少し後になるけど、もみじ苑にも来てみたい。多紀理と二人で。

限られた命だけど今を生きてると感じられる。ずっと続けばいいのに……。

第十巻終わり

「ちょっと待った、萎えたままだよ」



◆新規掲載の企画 (今日のみ)

10/1 20:00まで


10/2 20:00まで


10/4夜まで


10/10 23:59まで


10/25まで


◆近々最終日を迎える企画 (今日+7日)

9月末日まで 本日最終日です。


9/30まで 本日最終日です。


後夜祭:9/30まで 本日最終日です。


10/1 20:00まで


10/2 20:00まで


10/4夜まで


10/6まで


◆最終日までしばらく時間のある企画 (今日+30日)

10/10 23:59まで


10/25まで


◆最終日までずいぶん時間のある企画 (今日+30日以上)

2025/7/5まで

「これから徐々にだなぁ……」



久し振りにシロクマ文芸部さんに挑戦してみました。
期限が切れているので、単独にはせず、タグ付けもしていません。

お題は「風の色」から始まる小説・詩歌・エッセイなど。

月末なので? なんのこっちゃ?

Scarborough Fair/Canticle  Simon & Garfunkel

「だってこれじゃあ無理だよね?」



◆期限なし企画が新しい順に並んでいます。

※投稿された日付から1か月で削除されますが、イベントが終わったわけではありません。

10/28で削除します。ただし、コメント数が100を超えると新しい巻に変わりますのでご注意ください。


10/28で削除します。ただし、毎週土曜日に新しいお題が提供される予定ですのでご注意ください。


10/20で削除します。


10/20で削除します。


10/18で削除します。


10/8で削除します。

「まだ言うか」



毎週日曜から始まる Doudoitu de Rennka 100 にご参加いただきありがとうございます。

最後 (予定) の『Doudoitu de Rennka 100』がスタートしています。どうぞお楽しみください。
今回も初日に予定数の半数を超えました。今日で終わるのかなぁ?

今回にご投稿いただいた方と都々逸の作品です。(2024.09.30. 07:00現在)

Kei
  十五夜の月 山も輝き  空の雲さえ 君の顔
Kei
  君に焦がれて 1日千秋  空の雲さえ 君の顔
松下友香/ともか|週末note|感謝
  君に焦がれて 1日千秋  会えぬ時間が 恋を増し
三羽 烏
  妄想嫉妬に ただ胸焦がす  会えぬ時間が 恋を増し
Kei
  待てどくらせど 帰らぬあなた  会えぬ時間が 恋を増し
三羽 烏
  待てど暮らせど 帰らぬあなた  戻らぬことを 知りながら
松下友香/ともか|週末note|感謝
  あなたの分の 夕食つくる  戻らぬことを 知りながら
すーこ
  あなたの分の 夕食つくる  好物並べ 献杯す
歩行者b
  あなたの分の 夕食つくる  嘘つくクセは 知りながら
たつきち (10)
  素知らぬ顔で 騙されてあげる  嘘つくクセは 知りながら
ムーンサイクル
  それでも欲しい あはんするキミ  嘘つくクセは 知りながら
Kei
  あなたと共に 未来を語る  嘘つくクセは 知りながら
ゆらゆらミルコ
  話していると 安心するの  嘘つくクセは 知りながら
音葉
  話していると 安心するの  似ている影の あたたかさ
ナウのセカンド
  横に並んで 手が触れる距離  似ている影の あたたかさ
Kei
  横に並んで 手が触れる距離  ふたり前見て 歩む道
ゆらゆらミルコ
  横に並んで 手が触れる距離  手提げをそっと 持ち替える
ナウのセカンド
  手相も似てる あら不思議な縁  手提げをそっと 持ち替える
Kei
  あなたと採った 栗や柿の実  手提げをそっと 持ち替える
カンナ|をかし探究隊隊長 (20)
  聞こえる方の 耳側にたち  手提げをそっと 持ち替える
音葉
  君がかけこむ 相合傘に  手提げをそっと 持ち替える
虹風 想蒔
  聞こえる方の 耳側にたち  君が好きだと 言ってみた
ゆらゆらミルコ
  きっとできると 差し出された手  手提げをそっと 持ち替える
ゆらゆらミルコ
  聞こえぬほうの 耳側にたち  君が好きだと 言ってみた
ナウのセカンド
  こんな気持ちは 雨のせいか  君が好きだと 言ってみた
音葉
  こんな気持ちは 雨のせいか  君の言葉が 降り続く
ひーさん
  その煌めきは まるで星だね  君の言葉が 降り続く
Kei
  その煌めきは まるで星だね  光りを浴びて 空仰ぐ
歩行者b
  君の身体を めぐりて来たる  光りを浴びて 空仰ぐ
友音 (30)
  辛さ過ぎ行き 涙をふけば  光りを浴びて 空仰ぐ
ning(ねい)
  辛さ過ぎ行き 涙をふけば  背中あと押す 風が吹く
理生 -りお- 
  やりたいことは やるべきである  背中あと押す 風が吹く
緋海書房/ヤバ猫
  奇しきゆかりの 出会いなればと  背中あと押す 風が吹く
音葉
  奇しきゆかりの 出会いなればと  その魂に 触れにゆく
rira
  風のゆく先 見えないけれど  その魂に 触れにゆく
ning(ねい)
  風のゆく先 見えないけれど  友達がいる 太陽の
sanngo
  風のゆく先 見えないけれど  幸も不幸も 連れてゆく
カンナ|をかし探究隊隊長
  一字違いの 誤植に過ぎぬ  幸も不幸も 連れてゆく
Kei
  きみ住む街に 天使の梯子  幸も不幸も 連れてゆく
音葉 (40)
  きみ住む街に 天使の梯子  降りてゆきたい その胸に
三羽 烏
  あの世にも似た その甘美さに  降りてゆきたい その胸に
Kei
  あの世にも似た その甘美さに  ひとり漂ずむ 秋の夕
sanngo
  あの世にも似た その甘美さに  刹那な人の 君を抱く
Kei
  あの世にも似た その甘美さに  我を忘れて 溺れゆく
歩行者b
  あの世にも似た その甘美さに  血色の薔薇の 香に溺る
緋海書房/ヤバ猫
  あやかし思ひ 乙女色さえ  血色の薔薇の 香に溺る
藤家 秋
  果てから果てへ 言葉を尽くし  血色の薔薇の 香に溺る
ひーさん
  果てから果てへ 言葉を尽くし  地獄の底から 這い上がる
ゆらゆらミルコ
  魅せるつもりが 魅せられていて  血色の薔薇の 香に溺る
歩行者b (50)
  果てから果てへ 言葉を尽くし  あたしゃあんたに くびったけ
歩行者b
  魅せるつもりが 魅せられていて  あたしゃあんたに くびったけ
音葉
  果てから果てへ 言葉を尽くし  交わる心 重なる手
ning(ねい)
  懐かぬ猫も 月日重ねて  交わる心 重なる手
たつきち
  懐かぬ猫も 月日重ねて  温もりわかつ 秋の夜
リコット
  懐かぬ猫も 月日重ねて  背中合わせに 星を見る
ひな
  意見が合わない あなたと私  背中合わせに 星を見る
三羽 烏
  意見が合わない あなたと私  どうして一緒に いるのだろ
Kei
  銀婚式も 気付かぬあなた  どうして一緒に いるのだろ

投稿順・敬称略
「私の力が必要かな?」



10/2~10/6


10月4日 0時~10月9日 23時59分


10/10~10/21 フライング? なんでやねん

「う~ん……頼むわ」



1曲目は The Rolling Stones Rocks Off 


2曲目は SUZI QUATRO All Shook Up 


3曲目は QUEEN Don't Stop Me Now 


お気に入りの曲のリクエストやこういう特集を組んでほしいなどがあればコメ欄にお願いします。ジャンルも問いません。

「ほいきた、エヘヘ」


#今日の気分 #iTunes #The_Rolling_Stones #Rocks_Off #SUZI_QUATRO #All_Shook_Up #QUEEN #Don 't_Stop_Me_Now

いつもオビ小説をお読みいただきありがとうございます。
現在のオビ小説は本日で一応の終了とし、
明日からは別のオビ小説が始まります。
引き続きお読みいただければ幸いです。

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